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「それは、親衛隊がいるだろうという想像であって、僕の親衛隊が存在するという事実ではありません。そして、僕が指示したというからには、その襲った人物の言質を取っているのでしょうから、実行犯が誰かはわかっているんですよね?」
「これも風紀には報告が来ていないな」
椿木の言葉に佐野が言葉を発する。
「その暴力行為とやらをリコール理由にするくらいなんですから、風紀に報告位するべきなんではないですか、生徒会長」
「風紀に報告するまでもない。雅に対する制裁行為は自分達が確認した」
「暴力行為ではなく制裁行為というからには、相手が親衛隊員だと確信があるんですよね。僕の親衛隊がないのは会長達も良く知ってるのに、一体誰の親衛隊隊員をして僕の指示で制裁をしたなんて訴えてるんですか?」
はぁ…と大きくため息をつく。
「証拠も証人も居ない、誰が言い出したかわからない噂なんて、中傷に過ぎません。これだけの反論証拠がそろっているので、なお僕が職務怠慢とかいうのであれば、言いがかりにもほどがあります。……まったく。ICチップで生徒会室などの管理が成されているのは会長達も知っていたはずなのに、なんでこんなバカげた申請をするんですか」
「とりあえず、椿木。反論は以上でいいのか?」
レーザーポインタを置いてパソコン画面をスクリーンから消す椿木に、佐野がたずねる。
「他にもいろいろと用意はしたんですが、これ以上説明を求めても明確な証拠はなさそうですし、逆にこちらが用意したのも生徒会長・副会長・会計が職務放棄していたという証明の提出だけですから、するだけ無駄かと思いますので、これで終了させていただきます」
「わかった。ではこれから投票を行う」
椿木が答えると佐野が頷いて宣言して壇の下を見下ろす。
その途端に下に座っていた風紀委員一同がさっと立ち上がる。そのまま蜘蛛の子を散らすように通路に散らばった。
講堂全体に均等に風紀が立ち、周囲に目を配る。
スクリーンに映されている映像も、
「徒会役員、書記椿木侑士に対するリコールの是非について投票を行う。椿木がリコールされるにふさわしいと思うものは、左のAボタン。リコールさせずこのまま役員を続行させたいと思うものは、右のBボタンを押してくれ。……ゆっくりと考えていいが、右と左のボタンを押し間違えるな。リコールは左、続行は右だ」
「リコールに決まってるだろ、うそつき!みんな騙されてるんだ!!」
佐野の言葉にかぶせるように大声が響く。
シンと静まり返った一瞬の後、蝶徳寺が立ち上がって喚きだす。
「なぁ、リコールだよな?!」
両脇に座っている取巻き達に同意を求めるが、なんでも雅に同意してきた彼等も流石に投票のこの場になって騒ぐのはマズイという判断はできる。
「雅、取りあえず座るんだ」
「なんでだよ。投票とかするまでもないじゃん。おかしいだろ、こんなの!!」
「そういう訳に行かないんだ。そういう決まりだから」
「みやび、座って」
おろおろと周囲の人間が雅を大人しくさせようとするが、いままで一度も取巻き達にたしなめられて事がなかった蝶徳寺はそれも面白くない。
「そんな決まりなんて変だ!!」
蝶徳寺が騒いでいる間も次々と投票ボタンが押されているらしく、スクリーンに映し出された続行に投票された数字が見る間に数字を挙げていく。
そして、風紀委員と壇上に居る5人を除いた全校生徒1,105人のうち、リコール4票、続行1099票、病欠者分2票の棄権という圧倒的な結果で終わった。




