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「フレデリカお帰り!どうだった?」
「結婚について相談したの。本当にすごく当たるから怖いくらいだったわ。」
「そうよねぇ。私タロットに興味が湧いちゃった。」
「私もよ。自分でやってみようかしら……」
フレデリカは売っている占い道具に目を向けた。
「いいわね。練習したら私も占ってよ」
「もう……。気が早いわ。」
「私も行ってくるよ。」
「行ってらっしゃい。結果を教えてね。」
アランジェールが入れ替わりで占いの部屋に入っていく。
「フレデリカは何を相談したの?」
「……私は、将来結婚ができるかを占ってもらったわ。結婚できそうだって。」
「よかったわね!絶対当たると思う。もうこころあたりのある相手はいるの?」
フレデリカは、結婚相談所で紹介予定の2人を思い浮かべ、ほほえんだ。
「もしかしたらという人は、一応。」
「うまくいっているのね。相手が不幸になるなんて、勘違いだったでしょ?」
婚約相手に次々と不幸が訪れることは、アリスミリアにも相談していた。
「それはわからないんだけど、でもきっと大丈夫。それより、もし結婚したらアリスミリアの屋敷から遠くなってしまうわ。それが寂しいの」
「フレデリカ、どこに住んでいても絶対に会いに行くわ!またいつでも遊びましょう!」
アリスミリアはフレデリカに抱きつく。
「わたしはフレデリカと一緒にいると楽しくて幸せだもの。結婚相手もそうなるに決まっているわ。」
アリスミリアのかわいらしい行動に、フレデリカはメロメロだった。アリスミリアの頭をなでる。
「アリスミリア……。アリスは結婚生活楽しい?不自由はない?」
「うん、わたしの結婚相手は何でもしてくれるから、すごく楽しいよ。最初はだれでも同じだと思ってたけど、今の相手でよかったのかも。」
「そう……。よかった。」
(私もそう思える日が来るのかしら。)
「剣術の練習に付き合ってくれて、向こうのほうが強いからどれだけ打ち込んでも倒れないの。どうやったら勝てるか毎日考えるのがとても楽しくて。」
なんだか特殊な夫婦生活を送っているようだが、人それぞれなのだろう。自分にぴったり合う相手が探せれば、それが一番いい。
「君たちなんだか仲がよさそうだね?」
アランジェールが戻ってきた。
抱き合っている2人の状況をつかみかねているようだ。
悩んだ末、アランジェールもハグにまざってきた。
「皆様、ほかのお客様がお待ちですので……。」
店員が見かねて声をかける。やめ時を失っていたので、かえって助かる。
「すみません!すぐに出ていきますね」
フレデリカたちはそそくさと店を出て行った。
***
占いの後、フレデリカの期待とは裏腹に、紹介された二人とはうまくいかなかった。
幸運だという神父はフレデリカと一緒に居る間に3回転び、2度火傷しかけた。
どうもフレデリカの呪いのほうが、彼の幸運を上回ってしまったようだ。
彼は気にしていないようだったが、このまま一緒に居れば彼は怪我だらけになってしまうだろう。おそろしい目に合わせる前にはなれるのが賢明だ。
屈強な男は、確かに多少のことでは動じなかったが、一言目に「この年で結婚してないなんて珍しすぎないか?」と言い出す男だった。あげく出会った瞬間から別れるまで胸ばかり見ていて、ろくに目が合わない。あまりにも生きている世界が違いすぎてフレデリカのほうからお断りしてしまった。
またスタート地点に戻ってしまった。占いではもうすぐだと言っていたのに。ぜんぜん当たらない。
期待していた分落胆が大きい。
(もう無理なのかしら……。誰かと結婚することで相手を不幸にするくらいなら、一生一人のほうがいいのかもしれないわ。)
どちらも合わなかったことを報告したところ、グレシアナは「神父に勝ってしまいましたか……」「やっぱりだめか~~」とのことだった。プロですら困ってしまう事態なのだろうか。
「強い男は他にもいるのですが、同じようにがさつで粗忽なものが多いのです。あとは、結婚相手としてではなく、相談役としてのご提案なのですが……。植物学者で、フレデリカ様の呪いの原因を調べてくれそうな男がいるのです。この人は異常現象などを調査するのが好きなので、呪いの条件だとか、何かヒントがわかるかもしれません。一度会ってみませんか?」
学者と聞いて、フレデリカは占いの館での結果を思い出していた。
『研究者や知恵が助けになってくれそうです。』もしかするとこのことだろうか?
「あの、私うかつに男性に会ってしまうと、怪我をさせたり相手に迷惑がかかるのです。この方が困るかもしれません……。」
「そうですか......。もちろん無理にとは言いませんが、彼は研究のために危険な野生動物や毒性植物の群生地にも赴きます。強さはありませんが問題ごとには人一倍慣れているので、無事かもしれませんよ。」
(確かに毒よりは私の呪いの方がましかもしれない。)
「彼には単に相談相手として伝えておきます。紹介料金もかかりませんのでご安心を」
フレデリカは少し考えた末、植物学者と会うことにした。




