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6.

「両親に見せ始めると終わらないのよ。回転してみせろとか、この服と組み合わせろとか、ずっと着せ替え人形をさせられるんだから。」


「本当にかわいいわ。どんどん作りたくなってきた。今度肖像画を描かせるときには、絶対これをつけてね」


「いやよ!それでなくても幼く見えるのに。」


「大人っぽくなるのなんてあっという間よ。若さを噛みしめなさいな」


フレデリカは今度はほとんどぬいぐるみのような、うさぎの顔のついた被り物をアリスミリアにかぶせた。


「こんなものも似合うなんて、やはりあなたは私のミューズ!さすがだわ!」

さらにアリスミリアを撫でまわす。


フレデリカは小さなことで落ち込みがちだが、自分の作ったものをアリスミリアに着せている時間だけは、この上ない至福の時間だった。


(憂鬱な悩みが溶けてなくなるよう。幸せ。)


実際には結婚についての問題は何も解決していないのだが、フレデリカにとっては問題から目をそらせる数少ない時間だ。


「すばらしい腕前だね。今度私にも何かつくっておくれよ」


(うっ。)


フレデリカは言葉に詰まる。アランジェールが自分の作ったものを身に着けていたりしたら。さらにそれを誰かに知られたら。フレデリカが糸くずにされるかもしれない。


確かにこの麗人に何をつくろうか考えることは心が躍るけれど……。


「……………………そのうちね。」

フレデリカは長考したあげく、曖昧な返事をしておいた。


「ねえ、せっかくだから、今から占いに行かない?」


フレデリカに頬をもまれているうさぎ頭のアリスミリアが言い出した。


「占い?」

「そう。最近話題の占い師がいるの。当たるって評判で、その占いに行った後は運気が上がるんだって!」


運気が上がる。フレデリカにとってはまさに気になる内容だった。


「おもしろそうだね。暇だしつきあうよ。」

「暇だからじゃないでしょ、気になってることがあるよね?」

アリスミリアはにやにやしながらアランジェールに言った。


「そういう自分は何を占うんだい?」

「これから身長が伸びてムキムキになれるか占ってもらう!」

「ムキムキのアリスミリアにも似合うヘッドドレスをつくるわ!!」

「君はアリスミリアに甘すぎるよ。占わなくても結果はわかりきってるだろう。」


軽口をたたきながら、3人はその占いに向かうことにした。


その占いの店は、アリスミリアの屋敷からそう遠くない場所にあった。

この距離でこれまで話がでなかったとなると、最近できたのだろうか。


店には庶民の行列ができている。

貴族のドレスでは目立つので、侍女に代わりに並んでもらい、順番を待つことにした。


この列からすると、本当に人気なようだ。

店から出てくる人々は、皆占いの結果を話し合っているのだろう。


「うちはお父様が占いを信じないから、そういう人を雇ってないんだよねえ」

「うちには昔いたけど、高齢になって隠居したんだ。子供のころはよく遊んでもらったけど、懐かしいなあ」

「私の屋敷にもありとあらゆる占い師を呼んだけど、当たらなくて辞めたのよね」


フレデリカの不幸を案じ、父親が国中から占い師や祈祷師を集めたことがあった。

みな壮大な儀式を行ってくれたが、どれも効果がなかったことは一目瞭然だった。


祈りの翌日に異性と会えば、その異性はいつも通りひどい目にあう。


「みなさま、順番です。中に入ってください。」

侍女が呼びに来た。

「やったー!」


占いの店内に入ると、まずは占いの道具売り場になっているようだった。

カードや見たことのない円盤、何に使うのかわからないキラキラした道具などがひしめき合っている。ここを見ているだけでも楽しそうだ。


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