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2.

フレデリカの両親は優しく、寛容であった。

婚約破棄をされた当時も話を聞いて共に落ち込んでくれたし、次の婚約を急かすようなことはしなかった。


フレデリカには2人の姉がおり、そのどちらもが結婚が決まっていたので、フレデリカ自身にとっては肩身の狭い思いであった。


しかし、その姉の結婚相手が婿入りして家督を継ぐことが決まっていたので、すでに家の存続の心配はなかったのである。


両親がのんびりと「そのうちいい相手が現れるさ」と言い続けてくれることは幸いであった。


実のところ、フレデリカの婚約破棄は、この2年前のものが初めてではなかった。

なんとフレデリカは過去4度婚約にこぎつけており、そのたびに婚約破棄になっていた。


4回という数は、貴族達の中でも断トツの破談回数である。


婚約破棄を繰り返しているにもかかわらず、その回数をものともせず結婚相手が見つかり続けているのは、フレデリカの類まれなる美貌のためであった。


フレデリカは褐色の肌をもち、この国では大変珍しい。

色素の薄い長い髪は絹糸のように滑らかで、肢体に沿うように流れる様は人目を引く。


色気のある厚い唇と、気の強そうな高い鼻とは反対に、自信なさげな伏せ目と長いまつげは、謙虚さを感じる絶妙なバランスで顔に配置されている。


そして何より、長い手足に細いウエストからできる砂時計のようなボディラインは一部の男の理想ともいえる体型であった。


この美しさに魅了された男たちは、多少難があっても彼女を選ぶため、婚約希望者が後を絶たなかったのだった。


しかしあくまでそれは「これまで」の話だ。


最初の婚約破棄の際には17歳だったフレデリカは、何度もの婚約破棄を繰り返し、すでに25歳になっていた。


この年齢は、未婚女性の年齢としては耳を疑うようなものであり、美しさよりも「売れ残り」という肩書が目につく状況だった。


なぜこの美しさをもってして、何度も婚約破棄に合うのかといえば、それは彼女の謎の不幸体質によるものだった。


彼女は男性と出かけると、必ず奇跡ともいえる事故が起こる。


婚約破棄のあったザイオンとは、王都で買い物をしていたところ、荷物を運んでいた荷車がつっこんできたり、露店の焼き鳥売りの火でやけどをしかけたりした。


フレデリカと婚約をすると、男たちは一緒にいるとき以外でも、馬車の車輪がゆるんで動かなくなったり、着ていたジャケットが知らぬ間に泥まみれになっていたりと、謎の不幸が続くらしかった。


こんなことが何度も何度も続くことで男たちは疲弊していき、ついには婚約破棄となってしまうのだ。


不思議なことに、フレデリカはひとりでいるときはそのような不幸にはみまわれない。

この呪いのような現象は、異性といるときだけに起きるのだった。


このフレデリカの呪いの話は貴族の間でも広まっており、人々はおもしろがって、「破滅を招くフレデリカ」なんて不名誉な称号で呼ぶようになった。



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