17.
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アランジェールが自分の屋敷に戻ると、いつも通り大量の手紙が届いていた。
数日家を空けてしまうと手紙の返事を書くのが大変になる。
そのうち1通はよく知っている送り主からのものだった。すっかり忘れていた元婚約者だ。なんの用だろうか。
ばりばりと雑に手紙の封を切る。
『アランジェール、以前はすまなかった。ぼくが間違っていた。
彼女とはもう別れたよ。あんな知性のない女に騙された世間知らずなぼくを許しておくれ。君の凛としたたたずまいが恋しい。どうかもう一度話さないか?』
復縁を希望する内容ではあるが、当然アランジェールの心は全く動かなかった。
(いったいどんな風の吹き回しだろう?)
突然すり寄ってきた元婚約者に、純粋に疑問がわく。
(そもそも彼女と会う前から、彼は私を気に入っていなかっただろう。)
不思議に思いながら他の手紙を読んでいくと、よく手紙をくれるメルネル嬢からの手紙に疑問の答えが載っていた。
『ところでアランジェール様、あなたの元婚約者、新しい婚約相手に「もう一緒に居る意味なんてない。こんなつまらない男との婚約なんてやめにしたい」と吐き捨てられて、結婚が危ういらしいわよ。
彼女、男女問わず浮気をしまくっているらしいわ。何か自暴自棄になるような事でもあったのかしら?』
(なるほど、あの人も婚約破棄にあいそうなのか。婚約破棄をした男が今度は破談されそうなんて、世の中はうまくいかないものなんだなあ。)
自分の身の上が落ち着きそうなアランジェールは、他人事のように思った。
元婚約者からの手紙を破り捨てる。
向こうの家との関係が険悪になっては困る。手紙は郵便局員のミスで届かなかったことにしよう。
後日、アランジェールは家族へ、クロードから婚約の申し込みをされていることと、相手の家の事情を話した。アランジェールの両親は快く結婚を許してくれた。
アランジェールが嬉しかったのは、普段冷静な母親が予想以上に喜んでくれたことだ。
すぐに顔合わせの機会をつくろうと、てきぱきと話を進めてくれた。
それから数年後。女の子のようなきゃしゃだった少年が、アランジェールの身長を通り越し立派な青年になり、妻であるアランジェールを毎日どぎまぎさせるのだが、それはまだ先の話だ。
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次回は呪われた令嬢フレデリカの話です。
アリスミリアとアランジェールも出ます。




