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7.

アリスミリアとアランジェールはいとこという関係性もあり、幼いころから家族ぐるみで仲良くしている。


アリスミリアという令嬢は、アランジェールのこれまで見た人間の中で最も愛らしい外見の持ち主だ。


小さなころは誰からも『天使』などと呼ばれていたが、成長してからはさらに大人びた表情をすることも増え、より一層魅力が増している。


アランジェールが婚約破棄を予想できたのは、そんなアリスミリアですら婚約が破談になっていたからだ。


アランジェールにとって、彼女は何もかもうまくいく、挫折のないタイプの人間に思えていたので、その話を聞いた時は驚いた。


アリスミリアのような外見と精神の強さをもってしても婚約破棄にあうのであれば、アランジェールが破談されるなんてことは当然のように思えるのだった。


(そういえば、エルミーヌも少し前に婚約破棄をされている。ここに集まっている3人ともが婚約破棄にあっているなんて何だか縁起が悪い。)


ただし、アリスミリアは破談になった後すぐに別の婚約者ができたらしいし、エルミーヌもすでに別の相手がいると聞いている。


やはりいい女はいくらでも次の相手が見つかるのだ。

かえって境遇が似ているだけに、そこから立ち直った幸せな2人に会うのは、気が重かった。


「待たせてしまったわね。」

「テラスに行こうか。お茶でもしよう」

「すてき。今日のお天気なら外じゃなくちゃ!」


「デザートは何があるのかしら?私、アランジェールのシェフの料理の大ファンなの」

「お任せでお願いしているんだ。届くまでのお楽しみだよ」

「アランジェールに食べられる前に手を付けないと。私たちはあなたの取り巻きと違って何も譲らないからね」


従者と合わせて列をなしながら、テラスに向かって歩いていく。


今日は程よく雲が出て、ほのかな日差しがある。庭のバラを眺めながら話すのは心地よいだろう。


テラス席への扉を開けると、使用人に出させておいた白いテーブルとイスが見えた。日差しが少し強いかもしれない。


「傘を持ってきてくれる?」


使用人に指示すると、アランジェールは2人をイスに座るよう促した。


「さて、今回の本題だけど」

アリスミリアが口火をきった。


「アランジェールも婚約破棄同盟の一員になったらしいじゃない?」


「……やっぱりその話だよね。ずいぶん気軽な言い方をするじゃないか。」


(2人にとってはもう過去の話かもしれないけど。)


アランジェールにとってはまさに悩みの渦中なのだ。


「いいじゃない。落ち込んでいるなら話を聞くわ。」


「噂ではあなたが婚約を断った話も聞くけど、フラれたんでしょ?」


「アリスミリア、もう少し優しい言い方をしてちょうだい。」


(エルミーヌの言う通りだ。こっちの気持ちも考えてほしいものだ。)


「まあ、婚約破棄を言い出したのは向こうからだね」

隠しても仕方がない。


「何が理由だったの?」

「私が女らしくないことが気に入らなかったみたいだ。他の令嬢と婚約するつもりみたいだよ」


話しているうちに、ローズティーと軽食が運び込まれる。デザートはヌガーのようだ。

使用人がそれぞれの前に紅茶をついでいく。


「要するに浮気?じゃあ全員同じ理由じゃない。本当くだらないよね」


「むしろ良かったんじゃないかしら?今だから言うけど、正直アランジェールの方が男前なくらいだったわ。」


「ああ、それは本人も言っていたね」


「やっぱり気にしてたのね。バカみたい。アランジェールを超えるために何か1つでも努力したのかな?」


アリスミリアがいいながらヌガーをかじる。ばきりというクルミを砕く音が小さく鳴った。

努力。その言葉は、アランジェールの耳にも痛いものがあった。




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