6.人からの好意はあてにならない
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そこから数か月後、アリスミリアは失望を隠せずにいた。
すでに紹介された7人とのデートを終えたアリスミリアだったが、どの相手も、アリスミリアが相手のことを深く知る前からアプローチを開始してしまう。
こちらから好きになれるような状況にならないのだ。
正直に言えば、アリスミリアは相手から好意をいだかれることに慣れている。
婚約前も、何人もの男性から明らかな好意を向けられ、なんなら婚約後でさえも、熱のこもった視線を受けることは多かった。
結局は婚約破棄に終わったブライドネンについても、最初は向こうから猛烈にアプローチをしてきたのだった。
人からの好意はあてにならないと学んだアリスミリアは、次の婚約相手は、自分から好きになった相手を選びたいと考えている。
しかし、アリスミリアの美貌がそれを許さない。
出会った瞬間から目の色が変わり、熱心にアプローチをしてくる相手ばかりなのだ。
しかもそうなると、話の内容も恋愛のことばかりになる。「過去に何人くらい付き合ったことがある?」「前の相手とはどうして別れたの?」「好きなタイプは?」
知り合ったばかりなのにも関わらず、ずけずけと個人的なことを聞いてくる男性たちに、アリスミリアはうんざりしていた。
休みの日のすごし方とか、趣味だとか、そういったもっと性格がわかるようなことを聞きたいのに、踏み込んでくるスピードが早すぎる。
これでは、縁談を申し込んできた貴族から選ぶのとかわらない。
(エルミーヌは何人くらいと会ってからヴォルガラスと出会えたのだろう?)
このままいくと、2、30人などすぐ超えるだろう。
最初はデートという初めての体験を楽しんでいたアリスミリアだったが、同じようなパターンが続くことで、飽きてきていた。
それに、1人紹介をするたびに支払いをするシステムなので、人数が増えればその分お金もかかる。
金銭的にはもちろん困っていないが、さすがに平民との恋愛をするために、いつまでもお金を払い続けることが無駄遣いになることはわかりきっていた。
紹介金額も、なかなかの高額だった。
貴族ですらしり込みするような金額になっているのは、かなりの強固な個人情報保護を約束しているからだ。
貴族が平民とデートをしようとしているなんて、もしばれればよい話のタネだ。
そのため、アリスミリアが貴族であることも、相談所を利用していることもばれないよう、厳重に情報が管理されているらしかった。
そんな高額の相談所をつかって自分のわがままで、いつまでも相手を探してはいられない。
アリスミリアは、10人と会ってみて決まらなければ、相談所を退会しようと考えていた。
その日のデート相手に、相談所経由で断りの連絡を入れてもらった後、別の相手を紹介してもらうためアリスミリアは結婚相談所へ向かった。
『自分から好きになれる相手がいい』という追加条件も伝えた方がいいだろう。
相談所に向けて馬車を走らせ、相変わらずの植物に囲まれた建物に降り立つ。
グレシアナはちょうどどこかへ出かけるところだったのか、大きな荷車を持っていた。
「おや、いらっしゃいませ。ずいぶんお早いですね!」
馬車から降りてきたアリスミリアを見てグレシアナが言った。
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