4.なんてすばらしい筋肉
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エルミーヌはそれから、結婚相談所というものについて説明してくれた。
アリスミリアがグレシアナの元を訪れたのは、それからすぐだった。
アリスミリアは元もと好奇心が強く、目新しいものは好きだ。
結婚相談所という聞きなれない施設も楽しそうだとすぐに飛びついた。
結婚相談所というのは、結婚をしたい男女を引き合わせる紹介所だとエルミーヌは言っていた。
こっそりと利用している貴族が多いらしいこと、ヴォルガラスともそこで紹介してもらったということを教えてもらった。
アリスミリアは相談所の主であるというグレシアナと何度か手紙のやり取りをした後、一度直接会うことになった。
エルミーヌによると、そのグレシアナが相談者のひととなりを見て、相性を検討することもあるらしい。
アリスミリアは手紙で教えてもらった住所に向かって馬車に乗っていた。
長い石畳を抜けると、舗装されていない砂利道が現れる。
しばらく道を進むと、建物がまばらになっていき、ぽつぽつと民家が立ち並ぶ。
そのうちの一角にその場所はあった。
レンガ造りのこぢんまりとした建物。建物の前には大量の花が咲いている。
「ここかしら……?」
「アリスミリア様、あまり離れないでください。」
アリスミリアとその従者ロディは、馬車から降り、建物の前に降り立った。
建物の扉は開け放たれており、中には大量の植物が置いてある。
花屋と間違っただろうか?
ロディが手紙の住所を再確認するが、合っているようだ。
恐る恐る建物に近づいていくと、馬車の音を聞いたのか、中から人が出てきた。
ロディがアリスミリアの盾になるように、警戒するのがわかる。
「ようこそいらっしゃいました!私はグレシアナと申します。お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
目の前に現れた女性に、アリスミリアは面食らう。
声からして女性であることは間違いないはずだが、とにかく、想像を絶するほど身長も筋肉も大きいのだ。
これまで見た男女どちらを合わせても、めったにいないほどに身長が大きい。
きっちりとした服を着こんではいるが、服を着ていてもわかるほど鍛え上げられた筋肉が目立つ。
ただものではないことが、一瞬にしてわかった。
ばさばさとはねた髪は、体格と相まって野生の獣を思わせる。
(なんて……、なんてすばらしい筋肉!!)
アリスミリアは一瞬で虜になった。
彼女は私の理想とする人だ、と。
アリスミリアはもともと、騎士として活躍することを夢見ていた。
アリスミリアの父、ライオネルは武勲で名をあげた騎士であり、「奴を見たら死んだと思え」と敵軍で語り継がれたという戦士だ。
現役を引退した今でも指導官として若い騎士の育成に関わっており、アリスミリアの憧れであり続けている。
そんな父の背中を見て育ったアリスミリアは、子供のころからずっと騎士になることが夢だった。
同じように活躍することを疑わなかったのだが、現実は非情である。彼女は伸びない身長と筋力に挫折を経験したのだ。
幼少期に夢を諦めてからは、親の求めるおしとやかな令嬢であることに徹した。
どうやら淑女としてふるまう才能はあったようで、そうして今の愛らしいアリスミリアが出来上がったのだった。
しかしやはり、憧れは捨てきれない。自分がこうであったらとずっと夢に見ていたような理想の姿が、今目の前に現れたのだ。




