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2.婚約破棄の後

***


その数日後。

アリスミリアは、さわやかな風を受けながら、屋敷のテラスでため息をついた。

(どうしたものかしら……)


つい先日婚約破棄をされた彼女のもとには、新しい縁談として、貴族たちから山ほどの手紙が届いていた。


婚約を破棄されたショックよりも、新しい相手を探さないといけないという事実に、アリスミリアは気が重くなっていた。


「お待たせ、どうしたのよため息なんかついて?」

ガタリと音をたてて、向かいのイスに気品のある娘が座る。


ユールドース家の令嬢であるエルミーヌだ。

彼女も以前婚約破棄を言い渡され、辛い思いをした経験者である。


しかし彼女はその後別の男性と結婚し、今は幸せに暮らしている。


もともとアリスミリアと仲の良かった彼女は、婚約破棄の噂を聞きつけ、落ち込んでいないかと励ましに来てくれたのだった。



エルミーヌの予想に反して、アリスミリアは大して悲しんではいなかった。

最近貴族の間では、婚約破棄が急増している。


そのうわさを日々聞いていたアリスミリアは、自分もそうなる可能性があるかもしれない、となんとなく頭の片隅においていたのだ。


まさか本当に婚約破棄になるとは思わなかったが、事前に考えていた分、大きく傷つかずに済んだ。



「アリスミリア……。やっぱり落ち込んでるの?まさか、昔好きだった女性と、最近になって再会するなんてねえ」


ブライドネンが婚約破棄を決断するに至ったきっかけはこうだ。


幼いころ仲の良かった令嬢が、没落して貴族の階級を失った後連絡がとれなくなっていた。


しかし、最近になって地方を訪れた際に再会したそうだ。


美しく成長した少女と、運命的な再会を果たしたブライドネンは、どうしてもその少女を妻にしたくなってしまったらしい。


以前から誰とでも親しいアリスミリアを心配していたブライドネンは、奇跡的な出会いに浮かれ、婚約破棄をするに至った。


アリスミリアにはそんな説明はなかったが、ブライドネンは奇跡的な再会と婚約破棄について、友人たちに言いふらしているらしい。



「まあ、あなたモテるから、不安になる気持ちもわからなくはないけど……。」


エルミーヌがあきれたような顔をしてアリスミリアを見つめる。



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