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9・黄金の異常性

 またあらすじを変更しました。

「まず一つ目は、あなたが『魔獣語』を話せる事よ。魔獣語っていうのは、知性ある種族の魔獣が、長い年月を掛けて親から教わるもの。魔獣でもなく、年もあまり取っていないあなたが普通は話せる訳がないの」

 まあ、それは分かる。

 俺の魔獣語の知識にも、白虎が言った事とほとんど同じ事があるし、それに当てはまらない俺は異常だ。

 そんな俺が魔獣語を話せているのはおかしいし、白虎があんなに驚いたのもそこがあるからだろう。

 もうちょっと考えていれば、その事にも思い当たったんだけど……混乱していたしな。しょうがない。

「二つ目が、年齢の割に精神が成長し過ぎている事。肉体年齢はまだ一歳にも満たないのに、あなたの喋り方からは成熟した知性を感じるわ。こんな事、普通はあり得ない」

 そりゃそうだ。

 だって俺、十五年間生きてきたし。

 これで零歳児程度の知性しかなかったら、逆に異常だ。

「……でも……何で零歳だと、分かるの……?」

 もしかしたら、成長がとんでもなく遅い種族かもしれないじゃん。

 ファンタジー小説のエルフの様な種族がこの世界に居るのかどうかは分からんけど、まあ、獣人やら魔獣やらがいるんだし、可能性はあるだろ。

 あ、エルフは別に成長が遅いんじゃなくて、寿命が長いだけか。

「だって《鑑定》に零歳って出てるもの」

 あ、そうですか。

 というか、やっぱりスキル的なモノでもあるのか?口振りからして、現実的な『物の真偽・品質を見定めること』な感じじゃなさそうだし。

「そして三つ目。あなたの魔力からは、神獣〈フェンリル〉の気配がするの」

 はい?シンジュウ?

 何か、いきなり予想外な単語が出て来たぞ?

 心中?臣従?いや、ここは神獣だよな?

 って、何で!?

 神獣、つまりは神の獣。

 神話や小説によって、神自身や神の使いだったり、神と崇められているだけだったり、その扱いは変わるけど、どれにしろ、規格外に強いというのが普通だ。

 そんな奴らの気配がするとか、マジで何故!?

「それは私が知りたいわ」

 俺の驚愕の雰囲気を見て取ったのか、はぁ、と白虎が溜息を吐く。

「まあ、魔力から神獣の気配がする場合が、ない事もないけど」

 え、そうなの!?

「ええ。その魔力の持ち主が、神獣の近い血縁者だった場合や、神獣と契約している場合ね」

「血縁者は分かる……けど、契約……?」

 この世界の魔力がどんな物かは知らんが、まあ、血縁者だったら似通う様な物なんでしょうけど、契約って何?

「契約とはつまり、魔術で行う誓約の様な物ね。《奴隷契約》による『奴隷は主人に危害を加えてはならない』や、この場合には《魔獣契約》で『魔力を供給する代わりに、力の一部を貸与して貰う』みたいな事よ。で、契約によっては魔術的に経路を繋いで置かないと駄目何だけど、そうするとお互いの魔力が少し混じり合うの。その結果、契約者の魔力の気配がする、みたいな状態になるわ」

 へえ、なるほど。

 というか、これでこの世界に魔術がある事も確定したな。

 本当に、ファンタジー世界っぽいよなー。

 …………って、あれ?

「……そんなの……あるんだったら……驚く事でも……ない?」

 そうだよ。

 生まれた時の記憶とかは無いから血縁かどうかは知らないけど、俺はそんな契約なんかしてないって知ってるから異常って思うけど、白虎からすればそんな事分からないんだし、白虎が異常って断ずるのはおかしくない?

「いえ、この場合、それは有り得ないわ」

「……何で……そう、言い切れる……?」

「だって、フェンリルは五百年前に亡くなってるから」

 あ、あー、そうですか……。

 うん。なら異常だわな。

 近しいってのがどこまで言うのかは知らないけど、十何代先までは言わないだろうし。

 契約にしたって、俺零歳だし、それなのに五百年前に死んだ神獣と契約していたらおかしいわ。

「これだけの理由があれば、あなたを異常と言ってもいいでしょ?」

「…………うん」

 自分が異常だと認めるのは嫌だが……認めるしか無いようだな……。

「それじゃあ、私の質問にも答えてくれる?」

「……へ?」

 え、何か質問されてたっけ?

「はあ……。もう忘れたの?あなたが何者かって聞いたじゃない」

 あ-、そういえば、そんな事も聞かれた気がする。

「あなたね……」

 白虎が、あまりの怒りにか震えてる……!

 こ、ここはさっさと謝るのが得策だな!

「……ご、ごめん……話が、予想外過ぎて……」

 別に、これは言い訳とかじゃなくて、本当の事だ。

 最初の二つはまだしも、最後なんかは本気で驚愕したし。

 けれど、白虎の震えは止まらない。

「……う……うぅ……」

 や、やばい……呻き声まで漏らし始めたぞ……!これ、絶対に爆発するの堪えてるよな……!?

「……もう、無理!我慢出来ない!」

 逃げなきゃ!絶対に殴られる!白虎に殴られたら、マジで死ぬ!

 白虎の手が伸びてくる。

 駄目だ。逃げ切れない……!

「あーもう可愛いなー!!」

 ……へ?

「声も口調もフェンリルそっくりで可愛い!表情は動かないのに、ぴこぴこ動く耳とか、ほんと可愛い過ぎ!」

 …………は?

「あなた絶対フェンリルの子孫だよー!顔も魔力も何もかも似てて全部可愛いし!」

 ………………はい?


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