シャドーニュクス
少し間が空いてしまいました、すいません。
進めたかったところまで書くと簡単に自分の字数制限越えちゃったんで減らそうとしていたら遅れました。そんな訳で今回は少し長めになっています。キャラの名前は4話の前書きに書いてるので気になったら見てください。誤字脱字や読みにくかったりするかも知れませんが最後まで読んで頂ければ幸いです。
見慣れない天井が見える。
ああ、そういえば俺は一回死んで目が覚めたらよく分かんない組織の施設にいたんだっけ。
一回死んだはずなのに生きてるってことだけでもおかしいのに俺にはアビリティなんていう異能力を操れるらしい。
ハッ、何回考えても意味分かんないな。
これまであった出来事を頭の中で簡単にまとめてみると笑いが出てきた。ついでに頭が覚めてきた。
「さて、これからどうするか。」
部屋に備え付けられている時計を見るともう午後五時を回っていた。
何時間眠っただろうか。
凛とこの部屋で別れて、そのまま眠ってしまったが眠る前に時間なんて見てないしな。
適当なことを考え頭を楽にして部屋を見渡してみると俺が最初に目覚めた程とは言わないがかなり質素な部屋だった。
あるのは、寝ていたベッドや小さな冷蔵庫、そして低いテーブルが一つ置いてあるだけ。
そういや凛が家具の配置は自由にしていいなんて言ってたが家具がこれだけじゃ配置の変えようもできねえだろ。
軽く溜息をつき、ベッド上に座ったままボーッとしていた。
もう一眠りするか。
ボーッとしているとそんな結論に頭の中でまとまり俺はもう一度眠りに落ちた。
コンコン、コンコン、夢と現の狭間をさ迷っているとそんな音が聞こえる、少しずつ目が覚めていき頭が覚めると状況を理解した。
誰か来たんだ。凛だろうか?
まだ少しぼんやりとした頭でベッドから立ち、扉の方にふらふらと向かった。
「どちら様ですか?」
ぼんやりとそんなことを言いながら扉を開けるとそこには凛が立っていた。
「さく…凶弥、もう六時だし、お腹も空いてきた頃だから食堂に行かない?」
凛が満面の笑みでそう言った。
・・・ああ、まだ夢の中なのか。
確かに今日はかなり疲れが溜まる一日だったからな。
凛が自分からこんな可愛く俺に話かける訳がないし、まず言葉使いが凛じゃない。
なんでこんな夢を見たかは分からんがまだ夢の中だということは確かだ。
頭の中で目の前で起こったことを考え、頭の中で自己完結させてる内にみるみると凛の顔が朱に染まっていく。
「大丈夫か、凛?」
凛の様子が気になり間抜けな声でそう聞くと、凛は答えずさらに顔を赤くし、意を決したように顔を上げた。
「あなたが自分のことを凶弥と呼んでくれと言ったのでそれに合わせて言葉を選んだんです!変でしたか!」
紅潮した顔を上げ、叫ぶようにそう言った。
そういや、そんなこと言ったな。
確かに言ったがまさかあの一言でここまで口調を変えるとは思わなかった。
「いや、その、かなり口調が変わったからちょっと驚いただけで別に変じゃないぞ。」
「本当ですか。本当にそんなこと思ってますか。」
「もちろん。・・でも、俺が凶弥って呼んでくれって言ったからって無理して口調を変える必要はないぞ。」
俺は、少し焦りながらも正直に答えた。
別に今の口調が嫌な訳ではないのだがやっぱり会ってすぐの人に使われるのは少し違和感を感じる。
「凶弥は私がこの口調で話すのは嫌ですか?」
凛が可愛く小首を傾げて俺に聞いた。
「嫌いって訳ではないけど…その、ちょっと砕けすぎて凛ぽくないかなって思った。」
「そうですか。ありがとうございます。」
タイミング良く考えていたことを聞かれ少し狼狽してしまいおどおどとしてしまった。
それにしても、あの一言でここまで口調を変えてくれる努力をしてくれたというか点については感謝するべきだろう。
「それじゃあ凶弥、食堂に行きましょう。」
凛に満面の笑みでそう言われ俺は凛の後ろに付き食堂に向かった。
どこもかしこも同じような通路を通り食堂に到着するとすでに中からは良い匂いがしていた。
「凶弥、ここが食堂です。この施設内にはここぐらいしか調理できる場所がないので自分で何か調理するならここに来てくださいね。」
「分かった。にしてもこの匂いは・・・肉じゃがか?」
「よく分かりましたね、今日の夕飯は肉じゃがですよ。」
肉じゃがなんて母が倒れて以来食べるのは何年ぶりだろうか。
独り暮らしを始めてからほとんど自炊なんてしなかったから食べる物の大半はコンビニかどこかで買ったものだった。
「一緒に食べませんか、凶弥。」
「ああ、そうだな。」
特にすることもないし、腹も減ってきた頃だったので俺は凛の提案に二つ返事で答えた。
それから凛に食器の場所、片付け方法などを教えてもらい、少し大きな鍋に入った肉じゃがを適当な器に注ぎ、凛と向かい合って座る。
何を話せば良いんだろうか?さっきは盛大に失敗したからな、慎重に選ばないとな。
そう思い、箸で肉じゃがを口に運ぶとその瞬間、脊髄に強烈なショックが走った。
「旨い。」
何を話そうかなどという思いは遠く彼方へ消え去り口からはその言葉だけが溢れた。
肉じゃがは家庭によって味付けや入れる材料が大きく異なるなどするため同じ肉じゃがというジャンルでも好き嫌い合って当然だと俺は考える。
だがしかし、この肉じゃがはなんだ。
もちろん俺の好みの味ということもあるのだろうがじゃがいも等の根菜類の野菜にも奥まで味が染みていることは当然ながらまるで精密機器を作るように細かな気配りをしながら味付けをしていると考えてしまうがそれでも家庭の味という物をどうしても感じほっこりとしてしまうこの味。
俺の語彙力ではこの肉じゃがの味を語ることすら愚かしいとまで思ってしまった。
「ふふ、ありがとうございます。実はこれ私が作ったんです。」
「本当か!こんなに旨い肉じゃが始めてだ。料亭で出しても大丈夫な位なのに家庭の味を感じさせる。」
「そうですか。そんなに褒められると照れますね。」
俺が、凛の肉じゃがを絶賛すると凛は少し照れてように顔をうつむかせた。
よし、この勢いで会話を繋げよう。
「そういえば、聞きたかったんだが、凛のアビリティは“氷”なのか?」
凛が半透明の物体を放つ直前に周りの温度が下がったことから連想させていくと、この結論に達した。
多分凛は、周りの温度を極端に下げ、氷塊を作りそれを放ったのだろう。
「正解です。
私のアビリティ“万物を凍らせる者”は私の周りの物を凍らせたり氷を操ったりできるんですよ。」
「へぇー、なんでそんな名前にしたんだ?」
変な名前だなと思い反射的にこの質問をした瞬間、凛の耳がピクッと動いた気がした。
「格好いいからですよ!因みに“コスモ”が万物の同義語でしてね、そのコスモつまり万物を凍らせるのでフリーズンコスモなんです!」
凛は、俺が質問すると目を輝かせ嬉々として答えた。
「そうだ、凶弥のアビリティの名前も考えましょう!凶弥のアビリティは影だから、何がいいでしょうか?」
凛は、俺が雄弁に語り始める自分を見て少し苦笑いで話を聞いている姿を見て今の状態を理解したのか、凛の目に爛々と輝く光が少しずつ退いていく。
「その、興奮してしまい申し訳ありません。」
目から光が消えていき代わりにまた顔が朱に染まっていく。
「凛は、どうしてこんなに興奮したんだ?」
ちょっと頭の中で整理がつかないので一番聞きたいことを聞いてみた。
するとさらに凛は顔を赤らめうつむきながらボソボソと喋り始めた。
「すいません、実は、普段は隠しているんですがアニメ等の影響で少し俗に言う厨二病的な表現が好きになってしまい、そのせいで興奮してしまいました。」
あー、成る程、納得した。凛は、軽い厨二病患ってるんだ。普段は隠してるけど。
「その、俺も分かるぞ、アニメとか好きだし格好いいよな、ああいう言い方。」
「分かりますか!」
取り敢えず共感してみるとまた声を荒げて身を乗り出してきた。
「じゃあ凶弥のアビリティの名前も今から考えましょう!」
「あー、うん。そうだな。」
共感したことによりまたややこしい方向に話が進んで行く。
どうすれば良いんだろう。このまま凛を興奮させたままで良いのだろうか。
これじゃあ俺のアビリティも厨二的な名前になってしまうのだろうか。いやまあ、なるんだろうな。
厨二的な表現が嫌いな訳ではないのだかな…やっぱり恥ずかしいというか何というか。
「凶弥のアビリティは影ですからね、どんなのがいいでしょうか。」
目の前では凛がおもちゃを買って貰った子供のように生き生きとした顔で楽しそうに考えている。
こんな顔をされると考えるなとは言いにくいし別にいいか、アビリティの名前が“影”なんていうのも味気ないしな。
「影ですか…そうですね…うーん、影、黒、・・・夜、・・・そうだ!凶弥、ニュクスって知ってますか。夜の神様なんですけど。」
「ニュクスか、悪いが知らないな。その、ニュクスってやつがどうしたんだ?」
「せっかくだから、これを名前に入れましょう!ただ、影を操る能力なので、そうですね、・・シャドーニュクス、“夜影を司る者”なんてどうでしょうか。」
「“夜影を司る者”か、うん、俺のアビリティの名前をそれでいいよ。」
まあ、正直なんでもいいしな。凛が満足するならそれでいい。
今回は少し長めになってしまいました。
少し補足説明させてください。
凛の能力フローズンコスモですが正確には万物と同じ意味になるのはコスモスという単語です。(多分)コスモスは(きっと)コスモの複数形だと(勝手に)解釈したのであってなかったらすいません。
それでは、今回も後書きを含め最後まで読んで頂きありがとうございます。




