平穏と決闘
長らく投稿出来ずにいて申し訳ございません。
今回も最後まで読んで頂けたら幸いです。
ある日、俺はコミュニケーションルーム、
面倒なのでCRに略すがそこでゆっくりと何もせずにくつろいでいた。
CRは言うなれば広めのリビンクのような造りになっており、必要最低限のベッドと机と椅子しか
ないような部屋にいるかはよっぽどましである。
今CRには俺、朔野凶弥と静かに本を読む黒髪の綺麗な女性、氷室凛がいる。
俺たちは昨日、ガイアウルフという人間が住む
世界とは違う異世界“外側の世界”に生息する獣
“外側の獣”を撃退する仕事を無事にやり終えた。
やつらは、弱肉強食を生き抜いてきたということもあり、群れで巧みに、狡猾に襲ってくる。
そして、何とかしてそんなガイアウルフを撃退
したので今日は一日休みを貰ったのだ。
まあ、やってることは暇な時にしてることと
ほとんど変わらないんだけどな。
俺は寝るか読書ぐらいだし、凛も読書位しか
していない気がする。
パラパラパラパラ…パラパラパラパラ…
ただただ本をめくる音が部屋に響いている。
静かな部屋でただらだらと怠惰な生活を送る
なんてことはこの施設に来る前なら日常的な生活
だったが今では違う。
昨日のことも含めて昔とは段違いに体を動かして
いわゆる労働ってやつをやっている気がする。
この施設に来てから労働をしているが別に
苦しいということなく生活しているが、
たまにはこんな自堕落な生活も良いだろう。
今日一日ぐらい静かに過ごすのも良いよな。
バタン!
「ヒムリン!今日こそ勝ってやるから勝負だ!」
と、思った瞬間この部屋に扉が勢いよく開く音と
よく通った女性の声が響いた。
俺と凛がチラッと見るように音がする方を向くと
そこには少しくせっ毛の女性黄昏焔華がいる。
「焔華、静かに入ってこられないんですか?」
凛は焔華の姿を確認すると面倒くさそうに
言葉に圧を入れながら注意した。
しかし、焔華はそれを聞いてもまったく気にせず
そのまま「勝負だ!」と言い続けている。
「そろそろ静かにしないと痛い目にあいますよ。」
再び圧をかけながら凛が言葉を放つ。
「うっ、やってみろヒムリン!
今日こそはその言葉そのまま返してやる!」
一瞬焔華は凛の圧に押されていた感じがあるが
すぐに立ち直り、凛に指先を向けてそう言った。
「そうですか、引きませんか、
毎度毎度あなたも懲りませんね。」
「なんだと!」
焔華の言葉に対して少し挑発するように
やれやれといった感じで凛が反応すると、
簡単に挑発に乗った焔華がまた凛に迫っていた。
「それでは実験室に行きますか。」
凛がそう言うと焔華は凛についていくように
実験室まで歩いて行った。
・・・俺は今ものすごい既視感を覚えている。
なんだろうこの前もこんなことあった気がする。焔華から凛に喧嘩のようなものををふっかけて、
凛がなんやかんやでそれを受けて、実験室に行く。
うん、やっぱりある。焔華と初めてあった日の
ことだこれ。
とすると、このまま焔華が凛に瞬殺されるはず。
俺も凛たちの後についていき実験室に来ていた。
「さて、それではそろそろ始めますか。」
凛が淡々とした声でそう言うと、
「いいよ~、いつでも始められる。」
楽しそうにそう返した。
「「それじゃあ、始めますか。」」
同時にそう言い合って、お互いのアビリティ、
言うなれば異能力と呼ばれるであろう普通人間が
出来ないことを可能とする力を発動させた。
「紅焔!」
「万物を凍らせる者。」
お互いに自分のアビリティの呼称を叫ぶと、
焔華には紅に荒々しく揺れる焔が、
凛には周囲を凍てつかせる程の白い霧のような
冷気が互いの周りに渦巻き始めた。
この前は気付かなかったが焔華と凛の間は
高温の熱と低温の冷気がぶつかり合っており、
その部分だけ空間が歪んで見える。
「燃え盛れ、紅き吐息!」
焔華がそう叫ぶと焔華の周りの焔が集合して
大きな塊となって凛の方に向かって行く。
この技は以前の戦いの時も焔華が使った技だ。
でもこの技は、
「氷の障壁」
凛が叫ぶと焔華の放った火球と同じ大きさの
氷の壁が現れて、その壁は火球が当たると同時に
白い煙を出して火球と共に消える。
凛と焔華の周りは氷と火球の衝突で発生した煙
によって包まれてしまった。
以前も凛は焔華が使った技に対して氷壁を作り、
煙を煙幕として使い、焔華を戦闘不能にしたのだ。
今回も同じようになるのかと思いかけた瞬間、
ボン!と焔華がいるはずの場所から爆発が起こり、
凛と焔華を包んでいた煙を爆風が撒き散らした。
「貫け火弾、紅の銃弾!」
そしてその爆発が起こった直後に煙の中から姿を
確認出来た焔華がそう言うと、周りの焔を小さく
固めたような小さな火球が煙から姿を現した
凛のもとへと高速で放たれた。
「なるほど、氷弾よ穿て!」
凛はいきなりの爆発に驚きながらも自分に
向かってくる火球をしっかりと捉えて、
氷弾を作って火球を全て打ち落とした。
そして、火球に当たらなかった数個の氷弾が
焔華の火球をはるかに上回る越える速さで焔華に
飛んでいき、当たった。
「ぎゃふ。」
「いい作戦ですが、攻撃の速さが足りませんね。」
凛は倒れている焔華にそう告げると
実験室から早々と出ていってしまった。
焔華は凛の言葉を何度も復唱している。
俺は焔華が一人でも立って歩けそうなことを
確認してCRに行くと、そこにはもう先程戦闘を
終えたばかりの凛が何事も無かったように
静かに読書をしていた。
「なあ凛、どうしてお前は焔華と戦った後に、
焔華にアドバイスみたいなことをするんだ?」
フッと気になったことを俺は凛に聞いて見ると、
凛からはさも当たり前かのように、
「焔華は負けず嫌いなんですよ、
だから同じ技は理解すれば二度とくらわない、
だから焔華は強くなる、
だから何度も新しい技を見るたびに強くなるんです。」
と言った。
その声には子を思う親のような優しさや
信頼を感じた気がした。
長い間投稿出来なくてすいません。
今回は凛が焔華との勝負に付き合っている理由の一つと凶弥たちの日常の一部を書きました。
今日明日で投稿出来なかった分をいっきに書いて投稿したいと思っています。




