決着と想い出
今回は前開20話の続きとなっているため、所々場面や相手の説明などが省かれているため20話を読んでいない方や忘れてしまった方はぜひ20話からお読み下さい。
四方八方から襲い掛かって来るガイアウルフを
何とか防ぎながら俺は必死でこのガイアウルフの
群れのリーダー的存在を探していた。
推測だかこの群れには群れ全体の動きを指示する
リーダーがいるはずなのだ。
俺が群れと出会ってからある一匹が吠える度に
群れ全体の動きが変わっているので間違いない。
でも…
「このままじゃいつか食いつかれるな…」
俺は五月雨式に絶え間無く襲いかかってくる
ガイアウルフの群れをギリギリであしらっている。
逆に言えばあしらうことに精一杯でこの状態から
逃れるのは至難の技だ。
さっき使った黒き針壁を使っても良いのだが、
多分使ったらそのまま籠城戦になってしまうため
これは最終手段にしておきたい。
どうしたものだろうか、どうにかしてリーダーを
見つけ出せばこの群れのコンビネーションを
崩せるかもしれないのにな。
俺は自分のアビリティを利用してなんとか
ガイアウルフをあしらい続けていたのだが、
少しずつガイアウルフの動きが精練されているのか
防ぐのがどんどんときつくなっていた。
ちくしょう、このままじゃマジでヤバい!
四方八方から襲い掛かって来るから一方向に
対する技は使えない。全範囲に攻撃する手もあるが
これはあまり遠くまで攻撃出来ない上に失敗すれば
食いつかれる可能性がある。
そうこう考えている内にもガイアウルフの速さが
増したように感じる。
多分、もうそろそろ俺が反応しきれなくなって
どこかに綻びが生まれてそこから食いつかれる。
「こうなったら一か八かでやってみるか」
俺は自分に襲い掛かって来るガイアウルフが
近づくのを見計らって俺は叫んだ。
「黒き針壁!」
その瞬間、俺の周りに外側が針山状になっている
ウニのような壁を作った。
影の壁から伝わる感触では壁を作り出す前に
一番間近にいた一匹が壁に当たった感触は感じたが
そいつ以外は学習したのか壁が出現した瞬間に
減速したり、横に跳ぶなどして針をかわしていた。
正直分かっていた。あと二三匹ぐらい
当たってくれれば儲けもんだったがまあいい。
俺は壁の中に立て籠りながら自分の神経を全力で
地面に張り巡らした影に向けていた。
影からガイアウルフの歩く感触が伝わってくる。
感触によると今ガイアウルフは俺の周り360度を
囲んでおり様子を窺っているようだ。
そんな中、一匹だけがゆっくりと警戒を
感じさせながら近づいて来るのが分かる。
そのガイアウルフの一歩には他のやつより
重さがあり、ずっしりとしていた。
おそらくこいつがリーダー格なのだろう。
俺はそう信じてあえてそいつがいる方向に
壁の綻びを作り、油断を誘う。
するとそいつはその綻びを見た瞬間に大きく
吠えて走り出した。
かかった!俺は相手が走り出した瞬間、
壁の横から大きな鉈をイメージした影を作り出す。そして、
「夜影の一閃!」
と、叫んで向かって来るガイアウルフを横薙ぎに一閃した。
ガイアウルフの体は当たった瞬間に吹き飛び、
遠くの地面に転がっている。
その姿はここから見ても痛ましく、
体の半分程がえぐれて所々臓器が見えてたりする。
そいつはピクリとも動かず、ただ地面に転がり
死体として沈黙していた。
おそらく一瞬で致命傷をおい絶命したのだろう。
リーダーが死んでから周りのガイアウルフたちが
お互いを見合い動きに統一性が無くなっていた。
予想通りだが、ここで新リーダーが誕生して
また指揮を執られると面倒だし、打つ手がない。
いちよう保険はかけとくか…
俺はそう思ってもう一度鉈をイメージした影を
作り出しそれを何度か振り回した。
学習してるなら分かるはずだ。この影の威力が。
俺は目の前でリーダーを絶命させた武器を
見せつけることによって一種の威嚇をした。
すると、一匹が遠くの森の方へ駆け出して行き、
それに続き他のガイアウルフも森へ逃げて行った。
そして何もいなくなった荒野に一人になる。
「勝っ…たのか?これは?」
地面に広げた影に集中しても何も感じない。
「勝ったのか。・・・・ふ~、流石に疲れた。」
俺はずっと緊張状態にいた反動のせいか疲れが
体を襲い、その場に倒れてしまった。
倒れると眼前には大海のように蒼くすんだ空が
広がっており、その中には光輝く島のように
太陽のような恒星が見えている。
そう言えば、まだ小学生位の活発だった時に
家族と幼馴染の紗智と一緒に真上にはこんな空が
広がる高原までピクニックしに来たっけなぁ…
不意に遠い昔の想い出を思い出した。
ある日、突然消えてしまった紗智との想い出を
思い返そうとすると限りがない。
今俺の中には生きていることを信じたいが
そう思っても何処かに現実を見ている自分がいる。
もう紗智は死んでいると。
何年も音信不通で父が死に、母が倒れてしまい、
どうしようもなくて引きこもっていた俺のために
買い物に行ったきり帰えらなくなったのだから
確実だ。
だから理解はしている。が、この空を見ると、
どうしても紗智がどこかで生きていることを、
そしていつか会えることを信じたくなってしまう。
紗智は今どこで何をしているのだろうか…
生きているならもう一度会いたい…
21話目です。
やはりまだまだ戦闘シーンを書くのが慣れておらず分かりにくかったかと思います。
基本的に名前を出してるキャラは全員既に設定を考えています。まあ問題はいつ舞台に登場させるかなんですけどね…
後書きを含め最後まで読んで頂きありがとうございます。




