ヘェリモンドの冒険《VSキマイラ》
13話目です。
今回はもしかしたらもしかしなくても読みにくかもしれません。個人的にも戦闘シーンが初めてであまり慣れておらず分かりにくくなったりしてるかもしれません。
さあて、凛の前で“俺も戦う”なんて大見栄を
張ったはいいがどうしようか。
俺の横には体の所々から血を流す凛、目の前にはさっき俺が出した影に驚いた獅子の頭、山羊の体、蛇の尻尾を持つキマイラが警戒するようにこちらを見ている。
「どうする凛、このまま戦うのか逃げるのかどっちでもいいぞ。」
「凶弥だけでも…」
「同じことは二度も言わねえぞ、凛はどうしたいんだ。」
凛はまだ一人でキマイラを相手にしようと粘っているがそんなことは絶対にさせない、させたくない。
俺は自分の影を操るアビリティ“夜影を司る者”を発動させ、凛にここで自分がキマイラと戦う意志があることを伝える。
「・・・でも、・・・・分かりました。多分このままじゃ逃げられません。なのでキマイラを撃退もしくは討伐します。」
凛はスゥーハァーと深呼吸をすると凛の中で何かがまとまったのか、俺には落ち着きを感じられた。
「すいません、らしくなく焦って自分を見失っていました。けど今からはこれまでの私です。」
凛は落ち着きを取り戻し、冷静に現状を把握して最良であろう判断を下した。
俺は凛の姿を見て少しの安心感を感じつつ、目の前を警戒しながら歩くキマイラを見返す。
「それはそうとお前そのままで戦えるのか?」
凛の体にはいくつも傷があり、正直戦えるようには見えない、今のまま動いたら出血が多すぎて
キマイラをどうにかしてもやばそうだ。
「ああそれなら大丈夫ですよ。」
凛はそう言うと氷を操るアビリティ
“万物を凍らせる者”を使い、傷口を凍らせて出血を止めた。
「あんまりこういうことはしたくないんですけどね、状況が状況なので応急措置です。」
凛のアビリティの使い方に驚いたがこれも応用の一つなのだろう。
凛の出血も止まり、戦える状態になった。これからが本番だ。
「やりましょうか、凶弥!」
凛の声を聞いて俺はキマイラに向かって行く。
凛から教わったことをこれまでの間に思い出していた。
凛によると俺や凛、焔華のような操作系のアビリティの場合、基本的な立ち回りは中距離からの
間合いを保ちつつ動くのが基本らしい。
今回の場合、俺は凛の動きに合わせて距離を保って援護をするのが正解なのだろう。
でも、俺は凛にこれ以上戦って欲しくない。このままじゃ、あの時と同じで俺は守られてばかりで何も出来ずに大事な人を失ってしまうかもしれない。
これからは俺も、いや俺が大事な人を守りたい。
だから考えろ、今の俺の力で出来る最大限に戦う方法を。
その時、俺の頭に一つの可能性が生まれた。
自分でもこの考え方は馬鹿だとは思うが正直やってみたいし、やりたい。
「やってみるか!」
アビリティは使用者の精神力によってその強さや能力の上限が変わってくると凛から聞いたことがある。
それなら自分の影を広げれる範囲ぐらい広がるよな。
俺はそう思い、自分を中心として地面に自分の影を出来る限りの精一杯広げた。
影はこれまでにないほど広がっていき、キマイラと凛の足元の地面を覆ってもなお余りある範囲に広がる。
すると頭の中にキマイラと凛の地面を踏む感覚が流れ込んでくる。
やっぱりだ、影で物に触るとその感覚が自分で触ったかのように感じることがあった。それならば影を地面に広げ、その上を踏むものがあれば例え相手が見えなくても存在を探知出来ると考えた訳だ。
そしてこの技の利点はもう一つ、影を使った攻撃をする際の時間短縮にある。
俺は影を使って攻撃するときいちいち影を動かさないといけないが、こうして最初から広げておけば、広げた範囲内ならばどこからでも攻撃と防御が可能になる。
正直、こんな風に理屈っぽく考えてはいるものの、実を言えば単純に直感で影を広げるのが最もいい方法だと思ったからやったのだ。
凛は周りに氷を漂わせ、キマイラの動向を伺っている。
「凛、援護してくれ。」
俺が凛に聞こえるようにそう言うと、凛は驚いた顔でこちらを見たが俺はそんなことは気にせず、
キマイラの周りから影をいくつか地面から出し、
キマイラを押さえつけようとした。
するとキマイラは周りから出てきた影に気づき
素早く影のスキマを縫い、避けようとする。
しかし、凛がキマイラの退路を先読みし、氷壁を作っている。
「よし!これで・・」
そう思ったが詰が甘かった。
キマイラは退路に現れた壁に驚いていたが尻尾の蛇が素早く反応し、体を鞭のようにしならせて壁を破壊してしまった。
「流石に一発じゃ決まらないよな‥」
そう呟いて俺は、次の作戦を考え直し始める。
「凶弥は下がっていて下さい、私がダメージを与えますから!」
考えていると凛から怒り気味にそう言われたが、
「悪いけど無理だ、俺はもう守られるのは嫌なんだ!今度は俺が大事な人を守りたいからな。」
凛から援護にまわるように言われたがそんなことは断固として譲れない。
「俺がやる、凛は援護してくれ。」
そう言うとキマイラに向けて針のように先を尖らせた影をキマイラに向けて出していく。キマイラはそのすべてをかわしているがここまでは予想通り。
数秒間、絶え間無く来る影をかわし続けている
キマイラだがその時、キマイラが影をかわして着地した場所を着地するより前に凛が凍らせており
キマイラはバランスを崩し倒れた。
「よし、今だ!」
俺は倒れたキマイラを影で縛り、地面に張り付けた。
しかし、尻尾の蛇だけを縛ることが出来ず、蛇だけが暴れ狂っている。
「凶弥、尻尾を切り落として下さい。あのままじゃ危険です!」
「分かった。」
凛の言葉を聞くとすぐに頭の中で刃物をイメージして影でそのイメージを具現化する。
影から作り出された刃を思いの限り振るい、刃で尻尾のつけ根の辺りを両断した。
キマイラは断末魔のような叫びを上げて暴れ出そうとしている。
「くっ…うっ…」
俺はギリギリながらもキマイラに影を引きちぎられないように耐えていた。
すると予期せぬタイミングで自動防御が発動し、俺の横に黒い影の壁が作られている。
「大丈夫ですか凶弥!」
凛が少し青ざめたような顔をしながら声を上げた。
影の壁が消えてその奥に見えたのはつい先ほど切り落としたはずの尻尾の蛇が蜥蜴の尻尾のように動き、俺を喰らおうとしていたのだ。
「まさか切り落とした尻尾が動くとはな…」
そう呟いていた瞬間、頭の中に何かが切れる感じがした。
まさかと思いキマイラの方を向くと拘束から解放されている。
尻尾のせいで注意が散漫になってしまったのだ。そして、キマイラは激しい咆哮をした後、俺と凛を見る。
俺はキマイラに見られた瞬間にもう一度戦闘体制に入ったが、キマイラは凛を見ると素早く後ろを向き、岩が乱立している中に行き、姿が見えなくってしまった。
そう、つまり撃退に成功したのだ。
その事を認識した瞬間、体にどっと疲れが降りかかって来た。
「はぁ~、疲れた。」
思わずそんな言葉が出てしまったが、それは凛も同じようで近くの手頃な岩に座っている。
それぐらい神経を摩耗したのだろう、俺もまさかゲームとかで比較的有名なモンスターに遭遇する
なんて思わなかったしな。
とりあえず今回は誰も失わずに守ることが出来たと思う。もうあの時みたいなことにはなりたくないからこそ、今日を境に自分を変えていこうと、大事な人を守れるようになろうと心に誓った。
「凶弥、もしかしたらキマイラが戻って来るかもしれないのでここを離れましょう。」
「ああ、そうだな。」
俺は凛に言われた通り、この場所を離れようと
重い体を持ち上げて森の方へと歩き出した。
しかし、凛が岩に座ったまま動かない。
「どうした凛、ここを離れるんだろ?」
「・・・動けません。」
「え…」
「だから動けないと言っているんです。なのでおんぶして貰って良いですか?」
凛が子供のように可愛らしく手をこちらに向けておんぶしてくれと言っている。
「どうした…凛。」
「で、ですから、おんぶしてくれと頼んでるんですよ。」
凛が少し顔を赤らめて言ってくる。
まあ別になんだ、断る理由が無いからな別にいいよな。
俺はそう思い凛の手をとり、おんぶしてここに
来るまでに通った道を戻って行った。
13話目です。
今回はキマイラを相手に戦っていました。
実を言えばキマイラにももっと設定をつけており色々な攻撃方法あったんですが字数の問題と自分の表現力の問題で書けませんでした。今回は撃退という形にしているのでそのうちまた出てくるかもしれません(今の所本当にわからない)
後書き含め、最後まで読んで頂きありがとうございます。




