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水鏡の光は誰がために  作者: 瑠玻 刃
第三章 王都ハルトイニア動乱
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第55話 それぞれの選択、次なる旅路へ

 領主館二階、執務室の重厚な扉の前。


 ガルファンは手甲を嵌めた拳で、コンコンコンと三度ノックした。一拍の後、中から「どうぞ」という、少し疲労の滲む声が返ってきたことを確認し、静かに扉を押し開ける。

 品のよい調度品が並ぶ室内には、春の柔らかな日差しとは裏腹に、張り詰めた空気が漂っていた。豪奢な執務机を見れば、部屋の主が王都へ滞在していた最中に溜まったであろう書類が、人の背丈ほどもあろうかという高さまで積み上げられ、複数の山を築いていた。“山”の隙間から見える領主は、眉間に皺を寄せつつ猛烈な勢いで羽ペンを走らせ、脇に控えるギルバートが、決裁印の捺された羊皮紙を手際よく仕分けていた。


「ガルファン殿、ようこそいらっしゃいました。……お見苦しいところをお見せして申し訳ありません」


 ギルバートが深々と腰を折り、ガルファンは軽く片手を挙げて応えた。しかし、リーデルはこちらへチラリと目線を向け、「あぁ」と言うだけで、再び左手で頭を抱えて羽ペンを走らせ始めた。

 領主と机の上の“惨状”に苦笑すると同時に、あぁこれはタイミングを間違えたか、と考えた。とはいえ、先延ばしにするつもりもない。

 そう腹を括ったガルファンは、いつもの調子で口を開いた。


「忙しいところすまねえな、領主サマ。実はな、あんたの大切な妹君が、いよいよ“本の虫”に拐《かどわ》かされそうだ、と伝えに来たんだ」


 必死にペンを走らせていたリーデルの手が止まり、まるで油の切れた機械がギギギと軋む音を立てて動くかのように、ゆっくりと顔を上げた。

 いつもの淡い色ではない、光の消えた仄暗い青の瞳をガルファンへと向けると、無表情のまま矢継ぎ早に言葉を繰り出す。


「……わざわざその報告のために? もしかして君は暇なのかい? 私とて、“本の虫”が気にならなくはないのだが、今それどころではないんだ。ぜひ私の仕事を手伝ってほしいのだけども、君、時間はたっぷりあるんだろう? ないとは言わせないよ? さぁ、そこに座ってくれたまえ」


 それを見たガルファンとギルバートは、プラチナシルバーの妹君の姿を思い浮かべ『よく似た兄妹だ』と内心で思い、喉まで出かけた言葉を呑み込んだ。


「リーデル様……些か大人げないかと……」


 ギルバートが宥めるように呟き、ガルファンは降参したように両手を上げて首を振った。


「……悪かったよ。……いや、本題は別にあるんだ」


 ガルファンの表情から、いつもの軽い笑みが消えた。


「……まったく。何も時間を取らないとは言っていないんだ。最初からそうしたまえよ」


 いつも飄々としているその男の真剣な眼光を受け止め、リーデルもまた羽ペンを置き、背もたれに身体を預けて先を促した。

 ガルファンは机の前まで歩み出ると、両の拳を握り締めた。


「……第四輸送隊、隊長の辞任を願い出に来た。それとなく本人には話をしてあるが……後任は今の副長にしてもらいたい」


 それは静かな宣言だった。リーデルは微かに眉を動かしたものの、特段、驚いた様子は見せなかった。

 三年間無事故の記録を打ち立て、補給廠の荷役たちや、ヴァルメイから絶大な信頼を得ている男の言葉。その真意を確かめるように、静かに問いかける。


「……ふうん。ま、君が副長を後任に推すというなら、引き継ぎも含めて問題はないんだろう? 人事について、私から異存はないよ。……で? 君は、この後どうするんだい?」


「……ああ。俺は、アイツの行く末を見届けてえんだ。だから、共に行く」


 ガルファンは白い歯を見せ、ニカッと笑った。あの日、ハルト城の大会議室で、自らを縛る過去という名の檻を打ち破るべく、堂々と名乗りを上げた少年の姿が、リーデルの脳裏をかすめる。


「……そうか。不思議なものだね。かつて私は、あの子には何もできないと思っていたはずなんだが……私も含め、いつの間にか、皆あの子に惹かれていくね」


 腕を組み、しばし思案したリーデルは、ひとつ気になっていたことを思い出し、せっかくならと口を開く。


「じゃあ、ひとつ聞かせてくれないか。……エスティは、テノラーダで一体どんな学びを得たんだい?」


 その問いに、ガルファンはハッと息を吐きだす。


「あんだよ、本人から聞いてねえのか?」


「ああ。本人の口から聴きたいところだが、王都ではほぼ毎日会議に追われ、戻ってからもこの有様だ。さらに言えば、彼はすっかり“書庫の王”になってしまっているからね。……それに、君が共に歩みたいと考えるあの“勇者”が、君から見てどう変わったのか。それを知りたくなった」


 リーデルは、書庫に籠っては寝食を忘れ、レオナと自分に叱られて小さくなっている“勇者”の姿を思い出し、肩を竦めて見せる。

 その苦笑を見たガルファンは、先ほど見た仲睦まじい二人を思い出しつつ、時間なんかいくらでも取れそうだがなと思ったものの、言葉にするのも野暮だと考えて飲み込んだ。

 そして、ハルトイニアでの一件以降、憑き物が落ちたような領主の表情に、今更本人に尋ねるのも恥ずかしいのだろうと一人勝手に納得した。


「……まぁいい。……アイツは現場の親分連中にクソ生意気なことを言って、ボッコボコに鼻っ柱をへし折られた。そこで“完璧な正論”なんてクソ喰らえだってことを、身を以て学びやがったんだ。その上で……あんたの用意した“優しくて綺麗な嘘”を、あいつは自分でブチ壊したのさ。……今のアレは、想像以上に“切れ者”だぜ」


 楽しそうに身振り手振りで話すガルファンに、リーデルは目を細めた。

 状況がそうさせたのは確かでも、あのとき自分が下した決断は、決して間違いではなかったと頷きながら、息をふっと吐いた。


「……フン。領主サマの中じゃ、とっくに答えが出てたんだろ? 顔に書いてあるぜ?」


「まぁね。だから、これは“答え合わせ”みたいなものだよ。それに、君に護衛を託してやはり正解だった、とね」


「……相変わらず買いかぶられたもんだぜ」


「フフ……私は、いつも君を正当に評価しているつもりなんだがね?」


 二人の脳裏に、テノラーダへの出立前に交わしたあの日の言葉が去来する。

 背もたれに身体を預けながら、満足そうに微笑むリーデルの表情を見て、ガルファンもニカッと笑顔を返す。

 そしてリーデルは、これは本当に念のためだ、と前置きして言葉を続ける。


「……レオナの変化も彼の影響だね?」


「……アイツら見てりゃ分かるだろ? 何だよアレ。兄貴として何とかしてくれよ。見てるこっちがむず痒いったらありゃしねえ」


「それこそお断りだよ。あとは二人で勝手に悩めばいいさ」


「ハッ! 違いねえ。ま、これ以上邪魔すんのも悪ぃから退散するぜ。後は頼んだぞ、領主サマ」


 ガルファンが背を向け、ひらひらと手を振って部屋を出ていく。ギルバートが丁寧に腰を折る。

 バタンと扉が閉まった執務室で、リーデルはかつてないほど穏やかな笑みを浮かべ、机の上の書類へと視線を戻した。


 ◇


 その日の深夜。領主館一階、筆頭政務官ギルバートの私室。

 内側から重い錠前が下ろされ、声が外へ漏れ出なくなる防音の魔法が部屋を満たしていた。

 赤々と燃える暖炉の火を挟み、リーデルとギルバートが静かに向き合っている。


「……ギルバート、改めて聞くよ。王都へ戻り、叔父上を支えてもらいたいという打診だが……本当によいのかい? 一時的とはいえ、ここを離れることになる。ここにも君の役目と生活がある。決めるのは君だ」


 じっと見つめる視線の先。老臣はにこやかな笑顔を浮かべた。


「――ええ、喜んでお受けいたしますとも、リーデル様。……正直にお話いたしますと、寂しさもあります。しかし、エドアルド王の指南役、これほどありがたいお役目をいただけるとは思わず、この老骨、年甲斐もなく胸が高鳴っておるのです。必ずや、ご期待に応えましょうぞ」


 ギルバートは深く頭を垂れた。

 王都での動乱を経て、エドアルド王は自らの手で国を導く覚悟を決めた。しかし、中央には未だ権力に執着しかねない古参の貴族たちが息を潜めている。

 エドアルドが自ら選んだ道を歩み続けるためにも、それらを撥ね退ける強さが必要と考えたリーデルは、ギルバートへひとつの相談をしていた。それは、かつて“ハルトの魔王”と恐れられた宰相の、“指南役”としての王城復帰。内心、断られる可能性もあると考えていたが、ギルバートの快諾に、ふっと表情を緩めた。


「……まったく、頼もしい限りだよ。もちろん、ラグロ領の運営に支障が出ては意味がない。十分に準備を整えてからだからね」


「もちろん。私としてもそのつもりでおります」


 まっすぐにこちらを見据えるギルバートに、リーデルも頷く。


「……では、ここから“未来”について話をしよう。まず、君が抜けることによって、ラグロ領の運営に大きく差し障る。そこで代替要員を用意しようと考えているのだが……。屋敷の差配と政務補佐、数人は必要だろう?」


 リーデルは、老臣のこれまでの働きぶりを思い返す。

 どうやって一人で回していたのか不思議な業務の量と質を巻き取るならば、少なくとも三~四人は必要だと考えていた。


「そうですな。屋敷の差配については、メイド長のケイトと、副メイド長のアサラに任せたく存じますが……。問題はリーデル様を補佐する者です。エスティ殿であれば、帳簿や物資管理の補助は十分務まりましょう。が、政務となれば話は別。なによりも、近いうちに旅へ出られてしまいます」


 屋敷の差配から、領内の政務補佐まで。思い返せば、ギルバートは長年、その膨大な量の仕事をほとんど一人で担ってきた。

 人と物を動かすという点で屋敷と領地の違いはない。しかし、領政ともなれば、その規模も、求められる判断の質もまるで違う。

 これほどまでに政治と実務の双方へ通じた人間が、そう都合よく転がっているはずもない。

 リーデルは、そう考えながらも、フフッと息を漏らしてギルバートを見やった。


「……そうだね。だが、実は一人心当たりがあってね。面倒を見てほしいと頼まれている人物がいるんだ。……港町レベトリーナを治めるラヴァン男爵家の三男だ。ギルバートも見知っているだろう?」


 リーデルは、肩を竦めながら封書を取り出し、ギルバートへと手渡す。そこには、リーデルへの挨拶と、ラヴァン領における家督の行く末に悩む男爵の心情が綴られていた。


「ふむ……数度お見かけした程度ですが……」


「若く才能のある少年だそうだが、それゆえ少々鼻が高くなっているようでね。その手紙には続きがあって、『一度本物の“戦場”を見せて、現実を教えてやってほしい』……と頼まれている」


「……つい最近、どこかで聞いたようなお話ですな」


「……フフ……フフフ。そう、そうなんだよ。そこで、どうだろう。私とギルバートとで、一肌脱いでみるというのは……フフ」


 笑いを漏らしながら話す主に、ギルバートは口角を上げつつ、肩を竦めてみせた。


「……はてさて、次の“教え子殿”は、素直にお話を聞いてくださいますかな?」


 二人の男は視線を交わすと、静かに破顔した。


 ◇


 旅立ちを数日後に控え、翔馬はレオナと共に、ラグロニーネの街を歩いた。

 以前、何度となく立ち寄った雑貨店では、店主から「旅先で使え」と針糸や細々とした日用品を半ば強引に持たされ、食料品店では「道中で腹を空かせるんじゃないよ」と、保存の利く干し果物を包んでもらった。

 初めてこの街へ来た頃は、何を買えばよいのかも分からず、レオナの後ろをついて歩くだけだった。今では、通りを歩けば顔を知る誰かから声をかけられる。


「……なんか、不思議だな」


「何が?」


「いや……僕、この街にちゃんと知り合いがいたんだなって」


 思わず零れた言葉に、レオナは一瞬目を丸くしたあと、くすくすと笑った。

 補給廠へ足を運んだ日には、荷役頭をはじめとする男たちが作業の手を止め、名残惜しそうな声や、旅先でも身体を動かせという野次が飛び交った。

 翔馬も笑いながら一人ひとりへ頭を下げた。その少し離れた場所では、第四輸送隊の隊員たちに囲まれているガルファンの姿があった。


「隊長、本当に行っちまうんですか」


「何度も言わせんじゃねえよ。これからは副長がお前らの頭だ」


「戻ってきても隊長の席、ありませんからね!」


「ハッ! 上等じゃねえか! そうしてくれ!」


 軽口を叩き合いながらも、隊員たちの表情には隠しきれない寂しさが浮かんでいた。

 やがてガルファンは副長と固く拳を打ち合わせる。


「……あとは任せたぜ」


「……任されました!」


 短い言葉だけ。それでも翔馬には、それで十分なのだと分かった。


 そして旅立ちを翌日に控えた午後、翔馬とレオナは水神の神殿を訪れていた。

 静謐な祭壇の前で、神官長ラウレンスは翔馬の話を最後まで黙って聞くと、深く頷いた。


「初代勇者アースムは、魔に抗うため、各地の神殿を巡り加護を受けたという言い伝えがあるそうです。……だからというわけではないのですが、僕も加護をいただきたいんです」


「……承知しました。では、祭壇へ上がられよ。気を落ち着け、心の赴くまま、自らへ問うてみなさい」


 そう促され、翔馬は祭壇の前へ膝をついた。

 透き通った水を湛える聖杯の向こうで、淡い光がゆらゆらと揺れている。そっと両手を組んで静かに目を閉じた。


(……僕は、どうしてこの世界に呼ばれたんだろう)


 ――水鏡の勇者として、世界を救うため。


 そう言われたことはある。でも、それは誰かから与えられた答えでしかなかった。

 けれど、自分自身の答えは、まだ得られていない。いつか分かるのかすら、曖昧だ。


(……怖い。でも、それでも行ってみたい)


 この先の旅で何を知り、自分に何ができて、何ができないのか。

 胸の奥に、不安がないわけではなかった。


(……アースムが歩いた道を辿りながら、この世界を、自分の目で見てみたい。答えが見つかるかどうかだって、行ってみなきゃ分からないんだ……)


 そう思った瞬間――聖杯の水面が静かに波打った。冷たく澄んだ風が頬を撫で、翔馬の身体を淡い水色の光が包み込む。

 くるくると螺旋を描く光に、左手首のブレスレットが呼応するように明滅すると、やがて光はゆっくりと身体の奥へ溶けていった。


「……これで、水の加護は貴方と共にあります。精霊の力は、きっと道標となることでしょう」


 ゆっくりと目を開け、顔を上げる。レオナは何も言わず、ただ嬉しそうに微笑んだ。

 翔馬はふと思い立ってラウレンスへ振り返った。


「ありがとうございます、ラウレンス神官長。……それともう一つお願いが……最後に、水鏡の間へ行ってもいいですか?」


 その部屋は、あの時と変わらずそこにある。

 薄暗い石造りの壁際で揺らめく燭台の明かりの中、三面の巨大な水鏡は静かに佇んでいた。

 その“鏡面”には、薄く水を張ったような揺らぎが絶え間なく走り、傍らに立つレオナのプラチナシルバーの髪を、歪ませながらも柔らかく映し出していた。


「……ここ……だったかな」


 翔馬は、かつて自分がこの世界へとやって来た日の、同じ場所へ立った。

 あの時、“鏡”には今と同じようにレオナの姿があったのに、自分の姿だけは、そこに存在しているかどうかすら怪しい“黒い影”だけが、酷く不明瞭に映し出されていた。


「……あ」


 翔馬は部屋の中心に立ち、水鏡を覗き込んだ。

 揺れる水面の向こうには――ぼんやりとではあるが、自分の輪郭が映っていた。

 その隣から、レオナも水鏡へ視線を向け、そしてそこに映る彼の姿へ向かって微笑んだ。


「……ちゃんと分かりますよ。エスティだ、って」


 翔馬は目を瞬いた。もう一度、水鏡を見る。水面の向こうに立つ自分は、やはりまだ輪郭が曖昧だった。

 それでも、あの“影”とは違う。


「……ありがとう。じゃあ……帰ってきたら、また一緒に鏡を見てほしいな」


 翔馬は小さく笑った。


「……はい!」


 嬉しそうに答えたレオナに呼応するかのように、水鏡の表面を、静かな波紋が広がっていった。


 ◇


 翌朝――春の光が、城郭都市ラグロニーネを黄金色に包み込んでいた。

 屋敷の前には、整備を完璧に終えた高速馬車が据えられ、チャコとチャイが心地よさそうに鼻息を漏らしている。

 御者台には、荷物を纏め、手甲を締め直したガルファンが腰を下ろしていた。

 屋敷の玄関口には、リーデル、ギルバート、使用人たち、そして補給廠の人々が集まり、並び立っている。


「……忘れ物はないかい、二人とも」


 リーデルが腕を組み、いつもの澄ました顔で問いかける。

 レオナはプラチナの髪を揺らし、柔らかく微笑んだ。


「はい、兄様。すべて整いました」


 翔馬もまた、背筋を真っ直ぐに伸ばし、リーデルの淡く青い瞳を力強く見つめ返した。


「リーデル様、ギルバートさん。……本当に、ありがとうございました」


「礼を言うのは私の方だよ、エスティ」


 リーデルは歩み寄ると、少年の肩を力強く叩いた。


「……君に託したその剣と共に、世界を見ておいで。……そして、必ず無事に戻ってくるんだよ。ここはもう、君の帰る場所でもあるのだから」


「はい!」


 翔馬とレオナが馬車へと乗り込み、扉が閉ざされた。

 ガルファンが振り返り、白い歯を見せる。


「今回も退屈しねえ旅になりそうだな。しっかり道案内してやるぜ、大将! 目的地は北西、草原の国ファルーダだ! 出発すんぞ!!」


 パチンと手綱が鳴り、チャコとチャイの蹄が力強く大地を蹴った。

 馬車がゆっくりと動き出し、速度を上げていく。

 窓から身を乗り出した翔馬とレオナは、ちぎれんばかりに腕を大きく振った。


「行ってきます!!」


 見送る人々の笑顔と歓声が、少しずつ遠ざかっていく。

 抜けるような青空の下、春風を纏った馬車は、まだ見ぬ広大な世界へ向けて、真っ直ぐに駆け抜けていった。

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