奔放で図々しい精神
その執事、シトルイユは水溜まりで濡れたアスファルトの上を滑るように走らせていた。
漆黒の塗装を施された公務用の自動車は、街灯の光を鈍く跳ね返し、静寂を切り裂いていく。目的は、にんにくのきょうだいであるガーリックを、王の邸宅へと速やかに連行――もとい、保護するためだ。
白の手袋に包まれた両手によるハンドル捌きは、一切の無駄も揺れも感じさせなかった。住宅街特有の入り組んだ路地や、雨上がりの不安定な路面を、最短の軌跡で、冷徹なまでの正確さで滑り抜けていく。
シトルイユ(さて、そろそろガーリック様のパート先……)
信号待ちの僅かな合間、バックミラーに映る己の無表情な顔を見つめ、老執事は微かに記憶の糸を辿った。アサツキが王位に就いて、まだ日が浅かった頃のことだ。
閑静な住宅街の一角、周りの家より一、二回り大きい程度に過ぎない、その慎ましやかな家の門前に、場違いな一団が現れた。義務教育すらも放り出し、まだ生まれたての赤子を一人、を大切そうに、だが必死に抱えてやって来た、一人の狼の子供。
「……今は学校の時間だぞ。」
若き日のアサツキは、眉間に深いシワを刻んで激昂した。それは王としての怒りではなく、未来ある若者が無謀にも危うい綱渡りをしていることへの、剥き出しの懸念だった。
しかし、子供の眼差しは折れていなかった。
飢えや寒さ、そして残酷な境遇。それらすべてを鼻で笑い飛ばすかのような、恐ろしいほどの図々しさと強気。
シトルイユ(あの時のガーリック様の赤く鋭い瞳……。守られる側であることを、欠片も認めていらっしゃいませんでしたな)
アサツキが二人を保護すると決めたのは、同情からではない。その眼差しに宿る「生への執着」に、王としての資質に近い何かを感じたからだろう。
それから十四年。
赤子だった、にんにくもニラも等しく大きくなり、ガーリックに至っては、今や一人前に働けるまでに成長した。
だが、あの時の図々しさだけは、欠片も目減りしていない。それは今や「王への請求書」という形を変えた、極めて実効性の高い武器として磨き上げられている。もはや飢えを凌ぐための牙ではなく、生活を謳歌するための鋭い知恵へと昇華されていた。
シトルイユがそんな感傷に浸りながらハンドルを切っていると、目的の場所が見えてきた。ガーリックが勤めているスーパー、『スベリヒユ』だ。
雨上がりの駐車場に、場違いな黒塗りの公務車を滑り込ませる。
エンジンを止め、シトルイユがうやうやしく車を降り、スーパーの中へ足を踏み入れようとした、その時だった。
「もう準備できますよ。」
呆れたような、それでいて全てを見透かしたような声が横から飛んできた。
声の主は、ガーリックだ。
店先で、すでに仕事用のエプロンを脱ぎ、私物のバッグを肩にかけた状態で立っていた。
ガーリック「ブティックまで急いでくださいよ!」
ガーリックは、過酷な環境を生き抜いていた子供の頃と何ら変わらぬ、屈託のない、それでいて有無を言わせぬ圧力を含んだ笑顔でシトルイユを催促した。
シトルイユ「……かしこまりました。では、こちらへ」
シトルイユは恭しく一礼し、後部座席のドアを開けた。
スーパー『スベリヒユ』の駐車場という、日常の極致のような場所に停まった黒塗りの高級車。その重厚なドアが閉まる音だけが、周囲の喧騒からガーリックを切り離す。
シトルイユ(……避難、という言葉の定義を考え直す必要がありそうですな。)
シトルイユは運転席に戻り、白手袋の手をハンドルに添えた。
「命を狙われる恐れがある」という緊迫した状況を、即座に「王の金で買い物をする好機」へと変換するその精神的タフネス。十四年前、赤子を抱いて門前に立っていた子供の強気は、今や洗練された「図々しさ」という名の美徳へと昇華されていた。
シトルイユ(アサツキ様、覚悟なさいませ。今夜は、保守派の襲撃よりも騒がしく、そして家計に厳しいものになりそうです。)
シトルイユは静かにアクセルを踏み込んだ。
濡れたアスファルトを蹴立て、漆黒の車体は住宅街の中にある王の家……ではなく、まずはガーリックの望む戦場、ブティックへと舳先を向けた。
バックミラー越しに、後部座席で悠然と構えるガーリックの姿を盗み見る。かつてボロボロの毛布で赤子を包んでいた子供は、今や高級車のシートに座っていても何ら違和感のない「芯」を持っていた。
ガーリック「そういえば、シトルイユさんって変わってないですよね」
不意に投げかけられた言葉に、シトルイユは表情一つ変えずに応じた。
シトルイユ「……そうですか?」
ガーリック「ええ。もう十年以上経ってるのに、シワ一つ増えてませんよ。魔法でも使ってるんじゃないかって疑うくらい」
ガーリックは、悪戯っぽく目を細めて笑った。
それはお世辞ではなく、長い年月を同じ温度で、同じ献身でアサツキに仕え続けている老執事への、ガーリックなりの敬意が含まれた言葉だった。
シトルイユ「恐縮です。……ですが、この後の買い物で私の眉間に深いシワが刻まれないよう、お手柔らかにお願いいたしますよ。」
ガーリック「分ってまーす……ってあれ、ここなんですか!?」
滑らかに減速した車が、ブティックの駐車場へと停まった。
視界に飛び込んできたのは、眩いほどに白を基調とした、鋭角的でスタイリッシュな建物だ。
洗練されたショーウィンドウには、値札すら付いていない一点物のドレスが飾られている。そこは、限られた富裕層しか足を踏み入れることのできない、選ばれし者のための聖域だった。
シトルイユ「申し訳ありません。不勉強なもので、私はこちらしかブティックというものを存じ上げないのです。もしよろしければ、他にお勧めがあるようでしたら、この私にご案内いただければ幸いですが……」
シトルイユは、少し微笑み、白手袋の手を顎に添えて困ったふりをした。
もちろん、それが「王の友人」に最高の礼遇を尽くすための嘘であることは、言うまでもない。
ガーリック「……ここでいい! いや、ここが良いですよ!!」
ガーリックは、思わず身を乗り出して窓に張り付いた。
「なんでこんな高そうな所に……」という困惑は一瞬で、次の瞬間には、その赤い瞳に獲物を狙う狼のような輝きが戻っていた。
ガーリック「着替えを用意してって言ったのはそっちなんですから、覚悟しといてくださいね……!」
ガーリックは、勝利を確信したような不敵な笑みを浮かべ、シトルイユがうやうやしく開けた車のドアから、吸い込まれるように降り立った。
店内に一歩足を踏み入れれば、そこは外の世界の喧騒が嘘のような、華やかでありながら静謐な静寂が支配する空間だった。
黒を基調とした個性的な内装。ある人形は、羽毛のように軽やかで着心地の良さを予感させるドレスを纏い、またある人形は、権威と力の象徴とも呼べる、重厚な装飾を施された「勝負服」を凛然と着こなしている。
ガーリックはその光景に、子供のように目を輝かせ、軽い足取りで散策し始めた。
ガーリック「……こっちは見た目も派手すぎないし、柔らかい素材だから普段使いに良さそう。でも、こっちは遊びに行く時に絶対映えるし……。あ〜、悩むなぁ……」
ガーリックは、左右の手に取ったハンガーを交互に見比べ、本気で眉間にシワを寄せた。
スーパー『スベリヒユ』での特売品選びとはまた次元の違う、だが同様に真剣な二択。その迷いを見透かしたように、背後に控えていた影が静かに囁いた。
シトルイユ「……両方、購入いたしましょうか?」
その提案は、あまりにも滑らかで、一切の迷いを感じさせないものだった。
ガーリック「……んー。そうします」
ガーリックは、手に持っていた二着を当然のような所作でシトルイユに預けると、息をつく暇もなく次の獲物を探して棚の奥へと消えていった。
腕の中に積み重なっていく、一般市民の数ヶ月分の給料に相当する着替え。
シトルイユは、その重みを心地よい手応えとして感じながら、主であるアサツキの財布の安否を、他人事のように愉しんでいた。
そんな老執事が、自然な所作で次の品を受け取ろうと手を差し出した、その時だ。
ガーリック「あ、こっちはダメですよ。下着なんですから」
ガーリックが、ぴしゃりと言い放った。
少しだけ眉を寄せ、明確な拒絶の意志を込めてシトルイユを制する。それは、誰にも踏み込ませない個人の聖域を守るための、鋭い一線だった。
シトルイユ「……失礼いたしました。承知いたしました」
シトルイユは、白手袋の指先をスッと引き、柔らかな微笑みを浮かべて数歩下がった。
シトルイユにとって、その拒絶は至極当然の権利だ。執事という職務であっても、他者の最も内側にあるプライバシーを侵すことは、この世界において何よりも無作法な振る舞いであると心得ており、
ガーリックのパーソナルな空間を尊重し、自由に選べるよう、つかず離れずの絶妙な距離へと身を置いた。
ガーリック「……もう、シトルイユさんは気が利きすぎるんだから」
小さく独り言ちながらも、ガーリックは再び棚の奥へと視線を戻した。
ガーリック「……これは動きやすそうなんだよなぁ。でも、こっちは生地が丈夫そうだし……。うん、どっちも買ってもらおう」
「迷ったら両方」という、王の全権委任を盾にしたあまりにも清々しい決断。
ガーリックは、選んだ品々を胸に抱え、再びシトルイユの方へと歩み寄る。
ガーリック「そろそろお会計お願いまーす」
弾んだ声でシトルイユに告げると、二人はレジへと向かった。
そこは会計の場というより、もはや儀式の祭壇に近い。店員は、極上の布地を素手で触れることすら恐れるような手つきで、一枚一枚、慎重に、そして丁重にバーコードを読み取っていく。
静まり返った店内に、電子音だけが規則正しく、残酷なまでに積み重なっていく。
「……お会計、七百三十六万二千円です」
提示されたのは、ガーリックが見たことも無いような巨大な金額だった。だが、その場にいる誰一人として、顔色を変える者はいなかった。
ガーリックは、当然の対価を提示されたかのように悠然と構え、シトルイユは、コンビニでのちょっとした買い物かのような平然とした面持ちで、懐からアサツキ名義のカードを取り出した。
白手袋を嵌めた指先が、流れるような動作で決済を済ませる。
「ありがとうございました」
店員の深く、畏まった一礼に見送られ、二人は店を後にした。
シトルイユもガーリックも、両手両腕を高級感のある紙袋で埋め尽くし、まるで戦利品を抱えた凱旋パレードのようだ。
シトルイユが指先をわずかに動かすと、魔法に呼応してトランクの扉が吸い込まれるように跳ね上がった。その中に、形を崩さぬよう、一枚一枚の価値を慈しむような手つきで紙袋を収めていく。
トランクが閉まる重厚な音とともに、二人は再び車内へと滑り込んだ。
シトルイユが静かにアクセルを踏むと、漆黒の車体は何事もなかったかのように、住宅街の静寂へと再び溶け込んでいく。
ガーリック「……ふぅ。あ〜疲れた〜……」
ガーリック「本当、ありがとうございます……へへっ。シトルイユさんもお疲れでしょうに。ずっと運転して買い物にまで付き合って、大丈夫なんですか?」
不意に投げかけられた労いの言葉に、シトルイユはバックミラー越しに目を細めた。
シトルイユ「お気遣いありがとうございます。ですが、私、こう見えて結構『タフ』なんですよ。」
シトルイユが、珍しく自慢するように、悪戯っぽく微笑んだ。
国家君主としての公務は申し分なくこなすが、ひとたび私生活に戻れば、どこか抜けている所だらけなのがアサツキという御方だ。朝の支度から夜の戸締まりまで、全方位に神経を研ぎ澄ませていなければ、この「王の家」の平穏は維持できない。
そんな主君を何十年と支え続けてきた自負が、その一言に凝縮されていた。
ガーリック「凄いですね……。私も見習わなくちゃ」
ガーリックは感心したように呟き、再び窓の外へと視線を向けた。
シトルイユの言う『タフ』とは、単なる肉体の頑健さだけではない。どんな嵐のような事態が起きても、眉一つ動かさずに紅茶を淹れるような、鋼の精神性のことだとガーリックは直感していた。
シトルイユ「……見習う必要などありませんよ。ガーリック様には、その奔放さで主を振り回していただく。それこそが、王にとっての何よりの『刺激』でございます。」
シトルイユはハンドルを滑らかに切り、夕闇に沈む住宅街の路地を進む。
七百三十六万円という、もはや「着替え」の概念を逸脱した戦利品を積んだ車は、いよいよ「王の家」へとその鼻先を向けた。
車の窓が、見慣れた目的地を映し出す。シトルイユは一切の迷いなく、狭いガレージへと吸い込まれるような正確さでバック駐車を決めた。
家の鍵を開け、トランクから溢れんばかりの紙袋を回収し、二人は屋敷へと足を踏み入れた。向かう先は三階の一番奥――この家の主、アサツキの私室だ。
ドアを開けた瞬間、アサツキの視界に飛び込んできたのは、もはや顔が見えないほど両手両腕いっぱいに袋を抱えたシトルイユとガーリックの姿だった。
アサツキ「……どうしたんだ? その袋の山は」
アサツキは、嫌な予感を隠しきれない顔で呟いた。
シトルイユ「ガーリック様のお着替えでございます」
シトルイユは、重みなど微塵も感じさせない涼しい顔で、事務的に応じた。
アサツキ「……もちろん、ガーリックの自腹だよな?」
アサツキは、最後の希望を縋るような目で問いかける。しかし、返ってきたのは無慈悲なまでの宣告だった。
シトルイユ「いいえ。アサツキ様のカードをお使いさせていただきました」
アサツキ「うん……。まあ、何となく分かってた。……ちなみにおいくら?」
アサツキは天を仰いだ。国家の予算を動かす時は億単位の数字にも眉一つ動かさないくせに、自分の私財に関わるとなると、途端に庶民的なケチさが顔を出すのがこの王の性質だ。
シトルイユ「七百三十六万二千円でございます」
アサツキ「本当か……。さっきにんにくから徴収されたばかりなんだが。……はぁ、まあ、いいか」
アサツキは力なく肩を落とした。
アサツキの私財は、この程度の出費で揺らぐようなものではない。七百三十六万円など、アサツキにとっては海からバケツ一杯の水を汲み出すようなものだ。
だが、それでも。
自分の懐が、このきょうだいによって、これほどまで鮮やかに抉り取られたという事実は、王の『ケチな魂』に小さくないダメージを与えていた。
ガーリック「なーに、その顔。アサツキさんが用意しろって言ったんでしょ? ほら、この服! 似合うと思わない?」
ガーリックは、落ち込む王の目の前で、選りすぐりの高級な布地をこれ見よがしに広げて見せた。その瞳には、高価な買い物をさせた罪悪感など微塵もなく、ただ新しい装いへの純粋な高揚感だけが宿っている。
アサツキ「……確かに着替えは必要だ。でもそう言ったのはにんにくだ……」
アサツキは、にんにくによって開けられた心の風穴に、さらにガーリックが塩を塗り込んでいくような感覚を覚え、力なく反論した。
ガーリック「結局要るなら関係ないわよ」
あまりにも清々しい断言。頭を抱える国王を尻目に、ガーリックは山のような袋を抱え、かつて自分の部屋だった場所へと、軽快な足取りで向かっていった。
ガーリックの気配が遠ざかり、その姿が完全に見えなくなったことを確認すると、アサツキの纏う空気が一変した。
つい先ほどまで私財の目減りに頭を抱えていた「しがない家主」の姿は消え、そこには冷徹なまでに静かな、国家君主としての顔があった。
アサツキ「……シトルイユ、カサブランカ枢機卿に見せたいものがあるので、奴をここに呼ぶ。護衛を派遣しろ。」
その声には、先ほどまでの情けなさは微塵も含まれていない。
シトルイユ「かしこまりました。」
シトルイユもまた、先ほどまでの「買い物に付き合う老執事」の柔和な微笑みを消し、影のように静かに、それでいて絶対的な忠誠を込めて短く応じた。
シトルイユが護衛派遣の準備のために部屋を辞すと、残された空間には、先ほどまでの喧騒が嘘のような重い静寂が降りた。
アサツキは独り、深い思考の海へと沈んでいく。
アサツキ(さて、どうしたものか。カサブランカを仲間に引き入れたとしても、他の枢機卿三名が揃って保守派である以上、数としての勝ち目は薄い……。そもそも保守派にとって、カサブランカという存在は最大の脅威そのものだ。だからこそ護衛を付けるのだが、やはりどうにも解せない。)
アサツキは、脳内に並べられた権力のチェスボードを見つめる。
アサツキ(枢機卿団のヴァレリア氏、ローダンセ氏、ガランサス氏の中でカサブランカのみが革新派であれば、孤立無援のまま即座に潰されているはずだ。……だというのに、奴が未だにその地位で脅威であり続けている。……つまり、革新派はもう一人、潜んでいるのか。)
暗闇の中に潜む「見えない味方」の影。アサツキの瞳に、君主特有の鋭利な光が宿った。
アサツキ(ヴァレリア氏は誰よりも杖とアニスに酔心している。あの心酔ぶりからすれば、保守派と見て間違いないだろう。ローダンセに至っては、もはや教皇そのものを信仰していると言っても過言ではない。教皇の言葉を待っている中立派と言える。となれば……)
アサツキは、脳内の名簿から一人、また一人と名前を消していった。
アサツキ(……残ったガランサス。奴こそが潜伏している革新派か。)
アサツキは静かに目を閉じた。
唇を動かす必要も、魔素を練り上げる派手な予備動作もいらない。ただ、自身の意識の深層にある「シトルイユ」という概念の残滓に、細く鋭い思考の針を通す。
それは「通話」というより、互いの脳内を一時的に接続し、思考を共有させる秘匿術式だった。
アサツキ(……シトルイユ。聞こえるか)
脳の裏側に直接、主の思念が染み込んでくる。
離れた場所で実務に当たっていた老執事は、足を止めることさえなく、自身の意識を主の思考の波長へと同調させた。
アサツキ(ガランサス枢機卿にも護衛を派遣してくれ。奴も仲間に引き入れる)
その言葉は、アサツキがたった今導き出した「結論」の熱量を伴ってシトルイユへと伝播する。なぜガランサスなのか、その根拠となるロジックすらも、思考の残響として瞬時に共有されていく。
シトルイユ(……かしこまりました)
思考の海に、静かな同意の波紋が広がる。
言葉を介さぬがゆえに、そこには極僅かな誤解も、第三者が入り込む隙間もない。
アサツキは接続を断ち、ゆっくりと目を開いた。
脳内に残ったシトルイユの冷徹な肯定感が、次の一手への確信をより強固なものにしていた。




