エピソード3、冒険者ギルド
あの後、森を出て無事に近くの街に着くことが出来たのだった。
「ここが!北東の街レイヴェル!!。そして、ここがレイヴェルにある冒険者ギルドか!」
想像しているよりも随分と大きな場所なんだな。
「まぁ、とりあえず中に入るか。」
僕はドアを勢いよく開けた。ドン!!
すると、中にいる冒険者皆で僕のことを見ていた。そして、僕のことを見ていた冒険者のひとりが僕の方へと向かってきて、こう言い放った。
「なんだいお坊ちゃま。ここはガキが来る場所じゃないぞ!!」
「ガキはお家に帰りな!!」
その言葉に僕は我慢出来ず、ついスキルを発動してしまった。
「スキル発動!!」
だが、冒険者の皆はスキル発動に気づくどころか僕を馬鹿にしていた。
「おいおい、俺様をバカにするのは辞めといたほうがいいぜ!」
僕にちょっかいをかけてきた冒険者も僕がふざけていると思っていた。
それも、そうだ。なんせ、僕が手にもっているものが木の枝だからだ。だから、皆僕がふざけていると思ったのだろう。僕は真剣だというのに。
「バカにしてませんよ。いたって真剣です。」
「その手に持っているもので俺様を倒せると思っていることが俺様をバカにしている証拠だろうがよ!!」
「これは木の枝ではない!レジェンド級の武器だ。そして、この剣で僕をガキと言ったことを後悔させてやる!!」
「このやろー。どこまでもバカにしやがって!!」
そう、言い放つと僕に向かって襲いかかってきた。しかも、その冒険者は剣を抜いていた。
「死ねー!!」
その冒険者はそう叫んで、僕を狙って剣を振りかざしてきた。
だが、僕は怖くはなかった。そう、自分のスキルを信じていて、負ける気がしなかったからだ。そして、
「武器召喚!!レジェンド級オリハルコン製武器、水霊剣リヴァネス」
僕が武器名を言うと、武器が手元に来た。そう、どうやら一度作成した武器は、名前さえ覚えていれば必要な時に名前を叫べば召喚できるということらしい。もちろん、手元に木の枝がなければ名前を言っても召喚できないが。
そして、僕はその剣で冒険者の剣を受け止めた。
すると、
「なに!?木の枝が武器に!!どうやって!!」
冒険者は僕が木の枝を剣に変形したことに驚いていた。もっともスキルで変形させたとはその冒険者や周りの冒険者は気づいていないようだが。
「言う必要はないぜ。そんなことより、驚いている暇あるのかよ。」
「なに!?」
そう、僕は冒険者の剣を真っ二つに斬っていた。
「ありえね!!俺様の剣がぁ!!」
「一体、お前は何者なんだ!!」
その冒険者はそう言い、恐怖のあまり座り込んでしまったのだ。
「僕か?僕は最強の冒険者を目指すものだ!!」
僕はそう言い放ち、冒険者の頭上へと水霊剣を振り落とした。
すると次の瞬間、その冒険者の姿が消えていた。
「あの冒険者がいない!!いったいどこに!?」
そう僕が言った瞬間、女性の声がした。
「ここさ」
そう言った女性の横に僕をガキと言った冒険者が移動していた。
どういうことだ。確かに僕の剣は冒険者の頭を捉えたはずなのに。次の瞬間突然、冒険者の姿が消えたのが見えた。今のはスキルだよな。戦闘系スキルか?でも、戦闘系にしては攻撃性がないような。僕はその女性のスキルに興味を惹かれていた。
「その冒険者を助けたことはこちらとしてはしてほしくないことだったが。それより、今のスキルが気になるな。」
「そちらが望んでいなくても、今私が助けなかったら、この冒険者は確実に死んでいた。それに、なぜ君はこの冒険者を殺そうとしていたのだ?」
「ガキと言ってきたから我慢できなかった。」
「それで、この冒険者を殺そうとしたのか?」
「いや、殺そうとしてない。寸止めして、脅すつもりだった。」
「寸止めして、脅すつもりだった?そんな訳ないだろ!!確実にこの冒険者は死んでいたぞ!」
「え!!そんな、まさか!」
僕は焦ってしまった。本当に寸止めするつもりで剣を振ったから、殺すつもりなんてかったので焦ってしまったのだ。
「自覚がないのか。今のあなたは力の制御があまい。それに、今の君は感情のままに力を振るいすぎだ。」
「自覚してないです。しかも、僕が感情にのまれていると?」
「そうだ。君にどんな過去があったのかは知らないが。君は感情のままに力を振るいすぎなのだよ。」
「そうですか。分かりました。次からは考えてから力を振るいます。」
「分かってくれればそれでいい。だか、本来なら冒険者ギルド内での手刀は禁止でな。だから、2人同時に冒険者カードの剥奪か、冒険者になれないのだが。」
「それはやめてください。僕は冒険者になるために、ここの冒険者ギルドに来たので。お願いします。」
「俺様、俺も嫌です。お願いします。ギルマス。」
「ん?ギルマス!?」
「ま、今回は私にめんじて許してあげよう。だか、次にも同じことがあれば、その時はきっちりと処罰させてもらうから。」
「分かりました。俺様、絶対しません。」
「僕も絶対しません。」
「理解してくれればよろしい。」
「あの〜ギルマス?」
「あ、そうだったな。すまない。自己紹介がまだだったな。私はこの街レイヴェルの冒険者ギルドのギルドマスターを務めている、エルシア・エルグレイスというものだ。ちなみに、君の名は?」
「僕はセシル・フォン・ローゼンです。ちなみに、エルシアさんって、エルフ族ですよね。それに、さっきのスキルも見たことないスキルだったし。」
「そうだ。私はエルフ族だよ。」
「やっぱり。」
「あ、そういえば。君は私のスキルを知らなかったな。そうだ。良い機会だし、私のスキルも含めて君と話がしたい。奥の部屋に来てくれないか?」
「別に僕は構わないですけど。さっきも迷惑かけてしまいましたし。」
「そうか。それなら良かった。あと、君はいつまで床に座り込んでいる。君にもう用はないぞ。」
「は、はいー!!」
そう言って、慌てて冒険者はギルドを出ていった。
「すまない。さあ、奥の部屋に行こう。」
僕は部屋に入った。
「セシル。そこにでも座りな。」
僕はエルシアさんに言われた通りにソファーに座った。すると、エルシアさんが言った。
「早速だが。本題に入らせてもらう。」
「まずは、私のスキルから説明しておこう。ちなみにだか私のスキルを本当に知らないのだな?」
「本当に知りませんよ。」
「知らないのか。私のスキルは意外と知られているものかとばかり。まぁ、いい。私のスキルは、戦闘系で【天地空間士】という空間支配のスキルで、このスキルは名前にもある通り天や地、空や地下に干渉できるスキルなんだよ。干渉できるといっても目で見える場所でしか干渉できないという欠点があるけどね。だけど、目で見える範囲なら空に山を降らすこともできるし、地下に干渉するなら好きな場所に落とし穴をつくることも可能だよ。どう?今のスキルを聞いてどう思う?」
「恐ろしいスキルだと思います。それに、戦闘系スキルの中では一番かと。」
「君もそう思うだろう。それも、そうさ。私のスキルは国から許可が出ないと使ってはいけないと言われているぐらいだからね。それに、私のスキルは脅威だと、民間人にも公開されているからね。」
「それで、さっき。私のスキルを知らないのかって聞いていたんですね。」
「そうさ。民間人にも公開されているから、セシルくんも知っているかとばかり思っていたからね。知らないとことはこの街の出身ではないのでしょう?」
「そうです。この街の出身ではありません。僕はこの街から南に行くと見える国の出身で、元ローゼン伯爵家の長男です。」
「え!お貴族様だったのかい!しかも、ローゼン伯爵家って!」
「でも、元ですけどね。」
「元だとしても、貴族様だったんだ。でも、なんで元なんだい?」
「それは、僕がローゼン伯爵家の地位を剥奪されたからですよ。」
「そんな!?貴族の地位を剥奪??でも、なんで?実力はともより、あんな珍しいスキルがあるのに。だって、ローゼン伯爵家って代々戦闘系のスキルを輩出してきた名門でしょう?君のスキルなら文句はないはずなのに。」
「いや、さっき見せたスキルは追放後から気づいたスキルで、追放前のスキルは[木の枝を上手に扱える]といったスキルだったので、それが追放の理由だったのかと。」
「それはどういうことだい。ちょっとまって!!スキル効果は普通1つだけじゃないのかい?もしかして、他にもスキル効果があるとか?」
「いや、それは⋯。」
僕は本当のことを言うか言わないか、迷っていた。
「あぁ、すまない。これ以上は個人情報よね。言えないのは当然ね。」
僕は安心した。本当のことを言わずに済んだのだから。
「ご配慮ありがとうございます。これ以上聞かれるのかと思ったらヒヤヒヤしましたよ。」
「ヒヤヒヤさせたならすまない。だけど、本当なら聞きたいこともあるけど、スキルのことを軽々しく聞くのも失礼だからね。」
「本当にありがとうございます。」
「そんな、感謝されることはないよ。当然のことだからね。」
「あ、そうだ。そういえば、セシルくんは冒険者登録するためにギルドに来た、で合ってる?」
「そうです。そのために来ましたからね。」
「でも、その割には危険行動していたよね。」
「そ、それは相手の冒険者が先に剣を抜いてきたからであって!」
「冗談だよ。知ってるから大丈夫。」
「さぁ、ササッと冒険者登録しちゃいましょ。」
僕は冒険者登録に必要な情報をエルシアさんに教えた。
「はい!これで冒険者登録は終わり。これが、冒険者カードね。」
「ありがとうございます!」
こうして、僕は始まりの一歩を歩んだのだった。




