海とリュウノスケ、運命の出会い①
4年生の終業式の翌日、ぼくの家族はお父さんの会社の社宅からマンションに引っ越した。
転校生というひびきに憧れていたけど、同じ学区内の引っ越しなので、残念ながら転校生にはなれなかった。
お母さんがいうには「内弁慶外みそ」のぼくは転校生向きじゃないんだって。
そりゃそうだ。超のつく人見知りだからね。
お父さんは平日は仕事、休みの日はゴルフだなんだでほとんど家にいない。
引っ越しの日はなんとか休みがとれたけど、荷ほどきは全部ぼくとお母さんでやることになった。
おかげで春休みだっていうのに、朝から晩まで段ボール箱の山にうもれていた。
緑道の散歩が唯一の息抜きだった。
このマンションは緑道沿いに建っていて、エントランスはバス通りに面しているけれど、各部屋のベランダは緑道に面しているのだ。
ぼくの部屋の窓からも緑道の緑が見える。避暑地みたいな景色だ。行ったことないけど。
お母さんはガーデニングがしたいと戸建てにこだわっていたけれど、お父さんが「手入れのいらない庭があるぞ」とこのマンションを探してきた。
さすがお父さん、お母さんの性格をよく分かってる。ガーデニングの道具をそろえたとたん飽きそうだからね。
母さんは一目見てこのマンションを気に入った。
スーパーもコンビニも遠いけど、このマンションでよかったと、ぼくも今は思ってる。




