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声フェチ令嬢と魔石の声  作者: 月城キナ


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9/16

09:話題

 家政婦として活動を始めた私は炊事に洗濯。縫い物に庭の手入れと言う感じで毎日休まず行動した。家の掃除もあるけど、そっちは本や紙の隙間を縫うようにサササッと済ませる程度だ。だって勝手に触ったら怒るんだもん。


 師匠も弟子も揃って生活能力が著しく低いタイプの人間で手の掛かる子供が二人いる感じだ。


 フンスッと気合を入れて家事をこなしていく。


 グレン様とシリル君は基本的に無口だ。家では私が一人で喋っている。時々シリル君に「うるさい」と言われるが私は気にせずに喋り倒している。


 そんなある日。昼食の席で気になったので二人に聞いてみた。


「お二人って何の研究をしているんですか?」


 するとグレン様の目が光った……ように感じた。その瞬間。


「いやぁ。レオナ君も錬金術に興味があるのかな?」

「あっ……いえ。その、えっと、えぇはい……かな?」

「うんうん。いいんだよ。分かってる。わかってるよ。大丈夫。素人にも分かりやすく話すからね。そう。簡単に言えば精霊石の属性を混ぜ合わせる理論を組み立てているんだよ」

「理論を? 実験ではなく?」

「うん。精霊石を混ぜ合わせる実験は街なかでは禁止されているのさ」

「何故ですか?」

「酷く危険だからだね。シリル。復習を兼ねて説明を」

「はい。精霊石には4つの属性があります。火と水と風と土です。そしてこれらは一つ一つに莫大な力を持っている、と同時に属性として安定しすぎているんです」

「安定しすぎている?」

「そう。安定している物質を混ぜ合わせるのは簡単じゃない。そうですね。分かりやすく言えば水と油の関係です。水は水です。油は油です。それぞれ混ざり合うことが出来ない。精霊石の属性もそういう感じなんです。普通は混ざらないものを混ぜるのは非常に危険です。分かりますか?」

「熱した油に水を入れたら大変なことになる感じ?」

「まぁそんな感じです。過去に精霊石を混ぜようと街なかで実験をしていたら街が吹き飛んだ、なんて話もチラホラあります」

「そんな事がチラホラあるの?」

「街が吹き飛ぶ。つまり目撃者が居なくなる。なぜ街が吹き飛んだのかわからない……みたいな感じです。なので現在は精霊石の属性を混ぜ合わせる実験は国の許可が必要となっています」


 思った以上に怖い話だった。それにしても……。


「シリル君って喋れるんじゃん?」

「……必要なら喋りますよ」

「日常の会話も必要なコミュニケーションです!」


 するとプイッと顔を逸らされた。


「可愛くなぁい」

「べ、別に可愛くなんてなりたくないですから!」


 と、そこで可愛いという単語と精霊の話で彼らの声を思い出した。恐ろしく高く澄んだ可愛くて魅力的な声を。そしてその会話の内容も思い出した。


「あれ? 私が以前に精霊から聞いた話だと、彼ら彼女らは一個の生命体だって言っていましたよ?」


 シリル君が首を傾げた。


「一個の生命体? 聞いたって誰にですか? 何の話です?」


 するとグレン様。突然、前屈みで話題に入ってきた。


「それはどういう意味だね? 精霊に聞いたとは?」

「あぁ……えっと、私……その世界言語のギフト持ちなんです」


 すると師弟はあんぐりと揃って口を開けたまま動かなくなってしまった。


「あれ?」


 私、なんか不味いこと言っちゃった?

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