15:実験2
精霊石と未成熟体の中でも更に成熟度の低い、人にとってクズ魔石と呼ぶ魔石との融合実験が始まった。
私はさらに一歩前に進み出る。
「説得……行きます」
グレン様と自分自身への覚悟の合図。グレン様が頷くのを確認。私も覚悟が決まった。
「精霊様……風の精霊様」
「あぁ。レオナか……また会ったね」
「はい。前回の未成熟体を間に入れての火の精霊様との融合ありがとうございました」
「あぁ。私も初めての体験だったがあれは良かった。今まで無理やり繋げられて不愉快だったことがあったからね」
「はい。それで今回、もう一度融合してみませんか?」
「おっ、良いね。今度は誰だい? 風もいいけど別のも試してみたい」
思った以上に好感触だったようだ。話しついでなので少し聞いみよう。
「繋がりたくない属性ってありますか?」
「そうだねぇ。土とは相性が悪いかも?」
風と土……確かグレン先生の考察でもお互いに相殺しあって消滅するかもと言っていたな。
「ありがとうございます。融合の際は気をつけますね」
「あぁ。そうしてくれ」
さて。許可も下りたし欲しい情報も手に入ったので、そろそろ退避の時間だ。
後ろにいるグレン様へ視線を送って、一度頷いた。
グレン様の準備が始まる。同時に私はシリル君に守られるように後ろへ下がって、そのままお父様の下へと向かった。
「大丈夫かい?」
お父様にそう聞かれたので頷き、今まさに融合をしようとしているグレン様に目を向けた。不安が隠しきれない。
「大丈夫、だよね?」
シリル君にそう問いかけると、彼は力強く頷いた。
「大丈夫。きっと上手くいく。レオナ様の説得も僕たちの計算も、どれも完璧だから」
シリル君がそう言って請け負った瞬間……グレン様の隣に置いてあるランプの魔道具が淡く光りだした。王都の研究者が目を見開いた。
「ランプが光ったぞ」
「光が灯った。火とは違う光だ」
「まるで柔らかい太陽のようだ……」
「属性の融合に成功した……」
それを見てシリル君が拳を力強く握った。
「よし! よし。光が……安定している。ちゃんと……計算通りの光量だ!」
シリル君がグレン様の下に走り出した。後ろに控えている王都の研究者たちも「そんなバカな……」とか「成功、した……?」「安定している?」という感じで戸惑っているのが聞こえる。
よく分かっていない、お父様が私を見たので私は力強く頷いた。
「お父様。新しい時代がきます。もう……クズ魔石はゴミではありません! これからは立派な資源です」
お父様が地面に視線を落とした。
「そうか……これで領民が飢えることもなくなるのか」




