一途の天使
徐々に視界が開けてくる。僕は…………
「お目覚めかな? さあ、吐いてもらおう。」
僕は椅子に縛り付けられ、1人の男に尋問をされていた。この部屋は暗く、一つのランタンだけで灯が灯っており、その男は黒髪の混ざる金髪だった。首のあたりまで伸びた直毛で、何より頭には光輝く光輪があり、見覚えのあるキトンを着ていた。
「君が答えぬというのならば、それ相応の対応を取らせてもらう。」
………
「君と同行していた堕天使のことだ。わかるだろう? ラインカルナツィオーンのことだ。」
「……えっルシアさんのことじゃないんですか?」
やばい。なんか変なふうに口が滑った。
「えっ誰それ。」
一気にさっきの圧迫感が消え失せた。
「少年。あの堕天使はそう名乗ったのかい?」
「はい。」
…………………沈黙が走る。
「おーい。やめてやれ、ヒイラギくんが怯えてるぞ。」
ルシアさんはいつのまにかその天使の後ろにいた。
「……ッ! カルナ!」
「久しぶりだね。ツァイト。」
「ルシアさん? 何がどうなってるんですか?」
「こいつはツァイト。竹馬の友ってやつだ。」
ツァイトと呼ばれた天使は目を逸らす。
「カルナ。なぜルシアなんて名乗ってる! それは大天使の野郎の名前だろ?」
「ああ。それもそうだね。」
「よりによって、なぜあんな奴の名前を……」
「……………さっ、ヒイラギくんの縄を解いてあげな。」
「わかった。」
ツァイトは手を振り上げ、僕の縄を解いた。
「お前こんなわけわかんないことするようなやつだったか? 寝てるヒイラギくんを攫うなんて趣味が悪いぞ。」
「そんなつもりは…………」
「とにかく、私はやることがあるから戻る。ヒイラギくんにはしっかり謝れよ。」
そう言うと、ルシアさんは部屋を出て行った。
「す…すまなかった、ヒイラギくん。」
「いえいえ、解いてもらえたので大丈夫です。どこも怪我してないですし。」
「なら……いいんだが……」
「一つ聞いていいですか?」
「ああ。」
「なんでこんなことを? ルシアさんとは旧知の中ではないんですか?」
「君が…………………からだ。」
僕は首を傾げる。
「君が羨ましかったからだ! ずっとカルナと一緒にいやがって!」
……は?
「あの………ルシアさんとはどう言うご関係で?」
「親友…………………カルナからしたら、ただの親友だろう。だが、僕からしたらそんなのありえない。彼女は光だ。僕は彼女を幸せにしてやりたい。」
「つまり………好き? ってことですね。」
「あぁ、そうだ。好きさ。大好きさ。愛してるよ。だから、わざわざこんなところまで降りてきたんだ!」
どうしよう。この天使。すっごい重い。
「ふぅ。すまない、取り乱した。」
切り替えも尋常じゃないくらいに早いみたいだ。
「僕のことを知らないその様子じゃ、カルナからは何も天界の話を聞いてないんだろう?」
「はい。」
実際、僕はルシアさんのことをほとんど知らない。なぜか僕に優しいこと。僕のせいで下界に落ちたこと。確かに表面的なことしか知らない。
「君には話しておくべきだろうな。カルナのことを。」
前回同様です。




