言う事聞かない使い魔選手権
皆様こんにちは。
評価よりも笑顔求めたい系作者です。今回もよろしくお願いいたします。
お風呂入ってきた。お城のお風呂はとても広い。広くて静か。文句のつけどころがどこにもなかったよ。誰かと一緒に入るのも久々で楽しかった。でもね、でもね、一つだけ言いたい。
あのね……わたしのお胸はまったいら。なのに、お姫様のお胸は、風船と夢が詰まっていた。
今は、それで落ち込んでいる。一晩かけて。お部屋も用意してもらえたの。
ベッドはね、やっぱりお城のベッドなの。とてもふかふか。
今は一人でゆっくりとベッドを堪能している。あっ、そうだ。
「……ゼロ」
「キシャー」
私の使い魔のゼロ。基本は蝙蝠の姿をしているんだ。人型にもなる事できるよ。この可愛い蝙蝠、意外と優秀なもので。わたしの生活を一人で支えてくれているのですよ。
ゼロがいてくれないと、不便な事ばかり。それに、知らない場所知らない人達。知っている人いた方が少しは安心できそうだから。
ベッドにひらひらある。これ天幕付き。本当に、世界が違いすぎるの。
「……キシャー」
ゼロが何かを言いたそう。ご機嫌はかなり斜めなご様子。一定のご機嫌を常に保っておかないと、この使い魔は威嚇しかしてこなくなる。意思疎通能力を失っているみたいに。
かなり気まぐれなの。
トントン
誰かがきたみたい。いつもならゼロに任せているけど、今日は自分で開けに行く。
扉も、一般人のわたしには縁のないもの。
「ごめんね。くつろいでるとこ邪魔して。少しだけ、話せないかな? 」
王子様って、暇なのかな。書類の山で遊んだり、人と会っては笑顔で脅したりしているイメージがあるんだけど。
「はい」
あまり話しすぎると、そのうち不敬罪とか言われそうで怖いんだけど。でも、断るのも何か言われるかもしれない。できるだけ穏便に過ごしていきたいから。
王子様の笑顔は営業って知っているの。だからね、騙されちゃダメ。笑顔だから、ご機嫌いいのかなとか思っていたら、後から痛い目見る時あるかもしれない。って、どこかで聞いた気がする。
「キシャー」
あっ⁉︎ ゼロを呼んだままだった。何か言い訳しても怪しまれる可能性大。言い訳しなくてもすでに怪しい。牢屋だけは回避できるように立ち回らないと。
ゼロがわたしのそばにくる。今そばにこられたら気のせいで通用しなくなるのに。
部屋の中で飛んでいる蝙蝠を見た王子様は「可愛い。」と言っている。お世辞だよね? お世辞にしても流石なの。
わたしは、初めてゼロに会った時『黒い塊いる。』と本気で言ってたから。
せめて、喋らなければ……キシャーだけなら、普通の蝙蝠が紛れ込んできただけだろと誤魔化せるのかな。目で訴えてみるけど、ゼロに通じているか不明。
「こんにちは、可愛い蝙蝠……オス? 」
そこ気にするんだ。そこ気になるんだ。うん。オスだよって頷く。
「蝙蝠くん」
「キシャー」
良かった。わたし以外の相手にもちゃんと威嚇してくれる。これなら、どうにか乗り越えられるかもしれない。出てきた時は焦ったけど。
「……珍しいね。喋らない蝙蝠。蝙蝠は基本喋るのに」
ふぇ⁉︎ そうだったの⁉︎ てっきり、使い魔だからゼロが喋るんだと思ってた。蝙蝠が喋るなら、ゼロにお喋りさせて上手い事言い訳を
「喋るわけねぇだろ! ……あっ」
……にゃ⁉︎ だ、騙されてた⁉︎ えっ、そ、それとも、ゼロが間違っている? どっち? どっちなの⁉︎ わかんないよ。
待って。一旦落ち着こう。ゼロがそう思っているだけかもしれない。それは……うん。ないかも。蝙蝠なら、たくさん見た事あるけど、喋る蝙蝠はゼロが初めて。
にこやかにしている王子様。何を考えているの?
「あ、あの、お話って」
と、とりあえず、ゼロの事これ以上言及されるのは困る。ちょっとむりやりだけど、話題を変える。
「うん。君の家なんだけど、どうやら、近くの国の行商人が原因らしいんだ」
行商人だから仕方がありませんとはならないの。原因なら、ちゃんと責任取って修繕費を全額出して欲しい。
「その行商人の言い分は、家があるのが悪い。こんな安っぽい家、むしろ壊れて感謝するんだって言ってるらしくて。修繕費、出しそうにないから、僕が出そうと思うんだ。見積もりとか出たら、教えてもらえないかな」
家があるから悪い? 壊れて感謝? 何言ってんの⁉︎ あの家には住民住んでいるんだよ。もし、万が一にも住民いたらどうするつもりだったの。偶然いなくて無事だったけど。
この人は何も悪くないんだから、この人の前で怒るなんてできない。王子様は、修繕費すらケチる商人の代わりに出してあげるなんて言ってくださっているんだから。
だから、ここは怒りを抑えて、冷静な声で
「その行商人に合わせて」
と言うの。
「いいけど、向こうは王族のコネとか言ってくるよ? それでもいいなら。修繕費払わなかった代償はちゃんと払わせる……僕もちょっと話があるから、一緒に行かない? 」
今、本音漏れてたよね? でも、どうしそこまでしてくれるんだろう。王子様にはなんの利益もないはずなのに。
わたしとしては助かるけど。権力っていうものがあるから。
「行く……行きます」
「うん。じゃあ、決まりだね。早速行こっか」
随分と一般人に親しい王子様。この国には、こんなお偉いさんもいるんだ。
一緒に歩いていくだけ。なのに、自然と手を繋ごうとしている。婚約者にもおんなじ事しているのかな。
あっ、ゼロがついてきている。まだ「キシャー。」って言っている。いつまでご機嫌斜めなんだろう。さっきは、ツッコミのために喋ったのに。
「ねぇ、あの蝙蝠くんなんで喋らないの? 」
「半日一緒にいないとご機嫌損ねるから……です」
お買い物行ってお風呂だったから、一緒にいられなかった。しかも、落ち込んで呼ぶの忘れていた。ただそれだけ。だけど、ゼロにとっては、そんなにの事。
どうしたらご機嫌良くなるか、まだわかってない。方法があれば試すんだけど。
ゼロが王子様の頭の上に乗った。羽を休めている。
王子様の頭の上で。わたしが不敬罪とか心配しているのに。
「ゼロ、降りて」
「気にしないで。ここが気に入ったんでしょ」
気にするよ。王子様がどう言おうと。
ゼロはわたしの使い魔だというのに、わたしの言う事はほとんど聞かない。目を合わせる事すらしない。
人と会話できても、人の事を理解していないのかなって時々思う。
「……蝙蝠って可愛いよね」
「えっ⁉︎ えっと、はい」
ここは肯定しておく。これも生きるために必要な事。王族に否定ばかりしていて気分害されたら厄介だから。
「……この国、蝙蝠なんていないよ? 」
「……えっ……あっ、えっと……その……わたしが住んでいるあたりにはいたんです」
ゼロが使い魔だとバレないようにしないとだから。どうにか、見た事あると思わせないと。それにしても、この王子様油断ならない。普通にお話するようで、情報抜き出そうとしている。何も言わないが得策なのかも。
「そうだよね。隣の国って、蝙蝠いっぱいいるらしいから」
「えっ」
「……あっ、ついたよ。この部屋」
ねぇ、今さらっと聞き流せない事言わなかった?
だ、大丈夫だよね?
王子様が扉を開けると、鎧を着た人と、お金持ちそうというか……この国の装いではない人。それに、見覚えのある少女。
ここまで読んでいただきありがとうございます。少しでも皆様のお家時間や休息時間に彩りを与えられていましたら幸いです。また次回もよろしくお願いいたします。




