第4話「第三階層」
第4話
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第三階層も同じだった。
このフロアも、はじめのフロアと同様。
広さも光の具合も、まったく同じ。
まるでコピーしたような空間だ。
壁も天井も床も、うっすらと光を帯びている。
眩しくはない。
薄暗いが、目が慣れれば全体が見える程度の光量だ。
そして、フロアの中央に――ゴブリンが1体、こちらを見て立っていた。
皮膚は苔のような緑色。 黄色い縦長の瞳。 潰れた鼻。 裂けた口。 黒い鉤爪。
(……第二階層と同じだ)
敵の認識はすぐに済んだ。
俺は第二階層と同じ戦い方で挑んだ。
距離を取り、突きは一度だけ、二連続はしない。
息が乱れたら攻撃しない。
ゴブリンが疲れるまで待つ。
時間は要したが――無傷で倒した。
ゴブリンの死体は地面へ吸収されるように消えた。
その場に、乾燥肉が残った。
俺はそれを拾い上げる。
そして、地面に大の字に寝て、呼吸が整うのを待った。
胸が上下し、薄暗い洞窟の光が静かに空間を照らしている。
呼吸が整うと、ゆっくりと起き上がり、周囲を見渡した。
前には第四階層へ下る階段。
後ろには第二階層へ上がる階段。
そのほかには天井と地面と壁だけの、何もない空間。
(……少しは慣れてきたな)
この空間と、この境遇に。
気持ちにわずかばかりの余裕が出てきている。
何もない空間だが、ふと壁を見てみようという気持ちになった。
見た感じ何もない、うっすらと光っている壁。
俺は近づいてみた。
岩壁に手を触れる。
しっとりとしている。
(……水分?)
顔を近づけて観察する。
うっすらと濡れた手のひらを、そっと舐めた。
強い鉄のような味、いやミネラル感と言った方がいいか。
だが――水だ。
久しぶりの水分に、胸が熱くなる。
この水分がどこから来ているのか、飲めるのか、毒ではないのか。
そんなことを考える余裕はなかった。
俺は無我夢中で、壁に手のひらを強くあて、 横にスライドさせて水分をこそげ取る。
そして、そのまま舐める。
何度も、何度も繰り返す。
喉が潤い、身体が満たされていく。
一通り満足いくまで水分を摂取したところで、 俺は地面に大の字で転がった。
「この水……だいじょうぶだったかな……」
今さらながらに思う。
そして、いつの間にか寝ていた。
どれぐらい寝たのかは不明だが、目が覚めた。
生きている。
どうやら、飲める水だったようだ。
俺は乾燥肉を1片たいらげ、 壁の水分をもう少しだけ摂り、 第四階層へと下りていった。
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