花
エルナ「あの鬼上官っ」
いつものように訓練(という名の地獄)を終え、部屋に戻ろうとすると、いつもは気にしない物が、今日は目に付いた
エルナ「花…?誰が?」
廊下の隅の綺麗な小瓶に花が入っている。誰だろうか
すると背後から聞き慣れた声が聞こえた
カイ「あ、エルナじゃないっすか!前回の会議ぶりっすねー」
カイだ。最近人事移動でこっちに来た、いわば同僚だ。
エルナ「カイか、久しいな。そっちの訓練はどうだ、成果は出てるか?」
カイ「まずまずっすねー結構努力してるつもりなんすけど」
嬉しい。カイは馴れ馴れしいから、勝手にライバル認定しているのだ。何を言っても茶化して終わりそうだし
エルナ「よしっ」
カイ「今よしって小声で言ったよな…?」
小声というより、鳥のさえずりくらいの声だったんですけど。これが地獄耳か
エルナ「そーいえば、この花瓶誰が置いたか知ってるか?」
カイ「あー。あんま覚えてないっすけど、エルナといつも一緒にいた人だった気がしなくもない」
だとすると…シア、ミナミ、上官辺りか?ナギ上官もありそうだが
エルナ「教えてくれてありがたいけど、保険多くない?」
カイ「保険は多ければ多いほど楽っすよ!」
なんだその教え。
エルナ「まあ、お互い訓練に励もう」
カイ「そうっすね!」
私はカイに手を振り、明日の食堂で花瓶のことを誰に聞こうか考えていた
エルナ「今日の訓練、マジで辛かったです…」
と愚痴をこぼしてみたものの、上官はにんまり笑っていた
イサナ「限界まで追い込まなければ、成長はしないだろう?」
エルナ「それでもこの訓練は辛いです…」
イサナ「増やしてもいいんだぞ?」
本当にやめて欲しい。冗談が冗談に聞こえない。
そういえば、花瓶のことを今聞けるじゃないか。
エルナ「廊下にあった花瓶って上官が置いたんですか?」
イサナ「いや、私ではないが…」
おっと違った。上官じゃないのか、くじを外したみたいでちょっと残念だ
エルナ「でしたら花が好きそうな人って誰でしょうか?」
イサナ「私の偏見だが、シアとか好きそうじゃないか?」
確かにシアは子供っぽいから花とか好きそうだ
エルナ「確かにそうですね、明日聞いてみます」
イサナ「なぜそんなに気になるんだ?」
聞かれてみればそうだ。なんでだろう
エルナ「なんとなく、ですかね…」
イサナ「君らしくないな」
上官は私らしいってなんだと思ってるんですかね
エルナ「私だって花、好きですよ」
イサナ「意外だ。不合理とか言い出すのかと」
最近、上官は私のことをいじりすぎじゃないだろうか。もう少しくらい優しくてもいいのに…
イサナ「そろそろ寝ないと明日に響くぞ」
エルナ「確かにそうですね…」
私はなぜ花が気になるのだろうか。そういえば私の好きな花って…
痛い
その時、視界が一瞬赤くなり、指示官になる前の記憶に触れようとした時のような痛みに見舞われた。
〜日記〜
訓練地獄だった
久しぶりのカイはいつもどおり馴れ馴れしかった
花瓶があった。誰が置いたのだろうか
花を見ると、何故か胸がざわつく。なぜだろうか
布団に入り、目をつぶると
そこには血まみれの自分がいた
呼吸が浅くなり、視界がぼやける。足がすくみ、動けない
視線を落とすと左手が血で濡れていた。右手には、黒いもやがあった
人だったものが目に入った
銃口をこちらに向けながら、
あの花を持っていた
イサナ「どうした?君が起きれないとは珍しいな」
上官の声が聞こえる。ふと視線を左手に向けると、赤い血はなかった
エルナ「ちょっと身体が重くて…」
イサナ「待て。顔が赤いぞ、風邪かもしれない」
エルナ「大丈夫です、動けます」
イサナ「少し待っててくれ、軍医を呼んでくる。くれぐれも動くなよ」
エルナ「了解です」
軍医「一般的な風邪ですね。訓練は今日明日位は中止した方がよいかと。安静にしてくださいね」
エルナ「はい…」
と、元気なさげに返事をしてみたが、内心は喜びで満ちている。あの地獄を味わうことなく2日間過ごせることは、なんとも嬉しいことだ
イサナ「私は訓練に行ってくる。もしもの事があれば、これに連絡してくれ」
通信機のようなものを貰った。使うことは無いだろうけど
エルナ「頑張ってください」
数十分経ったところで、シアが来た
シア「エルナ上官大丈夫ですか!?心配で来ちゃいましたっ」
シアは相変わらず元気だなぁ…
エルナ「ただの風邪だそうだ。すぐ治るだろう」
シア「それでも心配なんです!あ、フルーツ持ってきたのでよかったらどうぞ!」
素直に嬉しい、風邪に果物っていいらしいし。
エルナ「少し時間あるか?」
シア「はい!どうしましたか?」
エルナ「廊下にある花瓶はシアが置いたのか?」
シア「はい!お花屋さんでかわいいお花があったもので!」
花を置いたのはシアだったか。休みの日に花屋へ寄ったのだろう
エルナ「そうなのか、気になっただけだ。時間を取らせてすまない」
シア「いえいえ!エルナ上官の顔を見れて安心しました!」
シア「お大事にー」
さて、暇だし本を読むかと思い、本に手を伸ばそうとしたら、そのまま眠りについてしまった。
7話をお読み頂き、ありがとうございます!
2日に1つなので完成度が落ちていかないか少し心配ですが、少しずつエルナのことを書いていけたらなと思います
次回予告
完璧
次回もお楽しみください




