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狂い

エルナ「そろそろ起きるかぁ」

まぶたを擦りながら、時計を見た

エルナ「うそっもうこんな時間!?」

焦っていると、優しそうで怖ーい声が聞こえた

イサナ「よく眠れたか?」

上官が帰ってきている。本読みたかったのに…

エルナ「訓練お疲れ様です。」

イサナ「ああ。風邪が治ったら訓練の見直しをするからな」

どっちだ、増えるか減るか…

イサナ「期待しているだろうが、もちろん増える方だ」

エルナ「そ、そんな…」

今でも体力増えるどころか減るんじゃないかってレベルできついのに!

イサナ「私は昼食を食べに行くついでに、君の昼食も貰ってくる」

エルナ「ありがとうございます…」

正直とてもお腹がすいていた。上官はこういう所すごく気が利くんだよなー


上官が部屋から出ていく。上官が居なくなった途端、部屋は静まり返った。当たり前だ。話していないからだろう。しかし、今の私には少し静寂は怖かった


カイ「うぃーす」

カイか。やはり馴れ馴れしいな

エルナ「来たのか。」

カイ「風邪で寝込んでるって噂を小耳にしてね」

カイにまで伝わっているのか。どこまで連絡が行っているのだろうか

エルナ「安心しろ。風邪になっても、回復した後成果を出し続けて先に昇進してやる」

カイ「望むところだ!」

と、宣戦布告をしたはいいものの、回復して本当に成果を出せるだろうか。不安になってきてしまった

エルナ「カイ、私は上手くできているだろうか」

カイ「できてるんじゃないっすか?どうしたんすか急に」

急に私はどうしたのだろうか…最近調子が狂ってばかりだ

ふと時計を見た。もうすぐ訓練の時間だ。

エルナ「すまない、そういえばもうすぐ訓練じゃないか?」

カイ「やっべ、怒られる…じゃ!」

慌ただしいあいつらしいな。


今度こそ本を読もう、と本に手を伸ばしたその時、ドアをノックする音が聞こえた

ミナミ「入っていいですか?」

エルナ「大丈夫だよー」

今度はミナミか。来てくれるのは嬉しいけど本が…

ミナミ「風邪大丈夫?ジュースあるからゆっくり休んでね」

ちょうど喉が乾いていたところだ。さすがミナミ。よくわかってる

エルナ「ありがとう…」

ミナミ「すぐ行っちゃって申し訳ないけど、これから会議があるから行くねー」

エルナ「頑張ってね!」

ミナミはやはり優しい…体調が悪いからと気遣ってくれたのだろう


ミナミが出ていった部屋には、また静寂が訪れた。


本を読みながら、ふと考えた


私は上手く立ち回れているか…?


私は周りから慕われ、成果も出す軍人でいなければならない。でないと……


私の価値を示さなければ。必要だと示さなければ。でないと私はどうすればいい、今を失いたくない


私にはまだ猶予がある。それまでに改善し、短期間で、



必ず完璧にならなければ



イサナ「体調はどうだ?」

上官がご飯を持ってきてくれた

エルナ「ありがとうございます、上官」

イサナ「君は病人だ。決して無理はするなよ」

今は、本を読むことくらいしかやることがないから無理はできないんだが…

そうだ。上官に本を取ってきてもらおう

エルナ「わかっております。ところで上官、頼み事があります」

イサナ「聞くだけ聞いてやろう」

聞くだけ聞くって、面倒くさい頼み事は断るってことか…本、貰えるだろうか

エルナ「戦術の本を数冊貰えないでしょうか」

イサナ「そんなことでいいのか。それだったら部屋からいくつか取ってくる」

さすが上官だ。戦術の本は揃えてあるらしい

エルナ「ありがとうございます。」

イサナ「急にどうしたんだ?今までそのような事を言いだすことはなかったが」

疑り深いのか、信用していないのか…上官はやはり鋭い

エルナ「気分が変わったんです」

イサナ「気分、か。」

気分というより、焦りが近いかもしれない。

イサナ「会議に行くついでに取ってくる。しばし待ってくれ」

エルナ「頑張ってください」

イサナ「言われなくとも頑張るさ」

上官が行ったあと、しばらく本を読んでいた。だが、段々と本が重く感じ、本を落としてしまった

エルナ「拾わないと…」

本に手を伸ばした瞬間、夢の光景が頭をよぎった


薄暗い部屋、目の前の死体、棚に飾ってある写真


そして、真紅色の花


逃げ出したいのに足が動かない。腕も、首も、何も動かない。呼吸が荒くなり、耳を劈く音が鳴り続ける。周りは灰色のような霧がかかっているようでよく見えない。目を塞ぎたいのに、目を閉じられない。まるで、受け止めろと言われているように。逃げたい、逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい


誰か



「助けて」



ドアが開く音が聞こえた気がした

イサナ「どうした!?」

エルナ「じょ、上官…」

ひんやりした手が私の額に触れた

イサナ「熱が酷い。」

エルナ「…。」

こんな時期に、なんで…

イサナ「喋れないほど悪化しているか、医務室に行くぞ」

これが、完全な上官から聞こえた最後の言葉だった

8話をお読み頂きありがとうございます!

エルナが自分を責め初めて、ちょっと不穏な雰囲気になっていきました。推測とかしてみると面白いかも?


次回予告

不完全


次回は本当に自信作なので楽しみにしててください!!


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