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状況証拠

 数日後、藤柴は、第4地区においてかつどうし、商売、事業をおこなっている勢力にかんする資料を持ってきた。徳吉は、ソレを熟読したあと、藤柴をふたたび呼んだ。

「すこしまえにもらった資料だけれども、読ませてもらったよ。しょうじなトコロ、カナリ興味深かった」

「興味深いですか。ちなみに、どういうトコロがですか?」

「どうやら、この第4地区には、限定されているとはいえ、ある種のじゆうがそんざいしている。というコトを、実感させられたよ」

「ある種のじゆう、ですか?」

 藤柴は、フシギそうに聞きかえした。

(今のこの国に、じゆうなんていうモノは、ほとんどナイ、そのハズだれども。でもそんなコトは、徳吉はさん自身が、当のほんにんが、ダレよりも知っているハズなんダロウし)

「じゆうがある。といわれましても、ワタシとしては、ソウとはおもえないんですが。今のこの国の政治体制、統治機構っていうものは、カナリきびしく、ソレこそ、てってい的に、個人のじゆう・権利を制限し、規制し、禁止をしているワケですから。

 でもソレは、あの悪名高い強制ろうどう施設にいた、徳吉さん自身が、ダレよりも、一番よく知っており、わかっているコトではないですか?」

「だからこそだよ」

「といいますと?」

 リカイしかねる。という表情で、藤柴が尋ねてきた。

「オレは今まで、第3地区に住んでいたし、その後は、強制ろうどう施設のナカにいた。つまり、個人のじゆうが、ほとんどそんざいしないカンキョウ・ばしょにいた。というカタチになる。

 ココでは、じぶんたちが、じゆうにナニカのかつどうをする。というコトは、まずデキやしない。ましてや、商売をしたり、事業をおこなう。というコト自体が禁止されており、ご法度だったといえる」

「たしかに、ソウですね」

「でも、この第4地区には、制限されており、限界や上限がそんざいしているとはいえ、じぶんたちの意思・かんがえで、かつどうをして、商売、事業をおこなっている。という勢力が、ふくすうもそんざいしている。

 角度を変えて見たり、かんがえてみると、どうやら、このコト自体が、あるイミにおいて、『個人のじゆうがそんざいしている』とはいえないだろうか。と、こうおもえてね」

「ナルホド」

 徳吉は、すこしまえの伊藤とのかいわを、藤柴にたいしてつたえたのであった。

「ソウですか、伊藤さんが、そのようなコトをいっていましたか」

「ソウなんだよ。オレ自身、伊藤さんのハナシを聞くまでは、この国には、個人のじゆうなんてものは、ほとんどそんざいしていない。と、アタマから信じ込んでいた。現に、今までオレが置かれていたカンキョウが、ソウだったワケだから。

 でも、今げんざい、オレはこの第4地区にいる。ほんらいだったら、死んでいるハズのニンゲンであり、たちばなのに。にもかかわらず、オレは今、こうして、いきている。

 コレはつまり、いきるコトがデキている。せいぞんするコトがデキている。という一種のじゆうを享受している。とはいえないダロウか?」

「ソウいわれてみると、ソウともいえますかね。たしかに徳吉さんは、ほんらいであれば、死んでいるハズの身分というか、たちばなワケですし。

 もしもこの第4地区にくるコトがデキなければ、いきるコトがデキる権利、つまり、じゆうはなかった。こういう視点に立つことは、けっしてオカシクはナイかとおもいます」

「コレは、公的に、ハッキリとしたカタチで、じゆう・権利が保障されている。というカタチではない。だから、合法的に、法的にじゆう・権利がそんざいしている。とまではいえない。

 でも、この第4地区には、体制の監視の目というものが、ほとんどそんざいしていない。だからこそオレは、今こうして、いきるコトがデキている。そのじゆう・権利というものを、持つコトがデキている」

「ナルホド、おっしゃるコトはわかりました。でもソレが、この第4地区にそんざいする勢力を知るコトと、一体ナンのカンケイ性があるんですか?」

「かくにんをしたかったんだよ」

「かくにん、ですか?」

「じぶんたちの意思、かんがえで、あるていど、じゆうに商売、事業をおこない、かつどうをしている。そういう勢力が、ふくすうそんざしている。

 というコトは、このコト自体、この第4地区においては、非合法的とはいえ、あるイミにおいて、一種のじゆうがそんざいしている。

 こういうコトを、はあくして、にんしきしたかったんだよ」

「つまり、この第4地区において、いくつかそんざしている勢力は、各々が、独自にかつどうし、商売、事業をしている。その資料を読んで、ないようを知るコトで、じゆうがそんざいしている。というコトを、じぶん自身でナットクしたかった。というコトでしょうか?」

「まあ、そういうコトだよ」

(あらたまっていわれると、たしかに、こういう勢力が、いくつもそんざしている。というコト自体、すこしくらいは、じゆうがそんざいしている。とはいえるか。でも、ナンで今さら、そんなコトを?)

「ナニカ、案や策でもおもいつきました?」

「イヤ、そういうワケじゃナイ。さすがに、この資料を読んだダケでは、ナニカ案や策がうかんだ。というワケじゃないよ。

 ただ、つぎにナニカしら、行動というか、アクションをおこすとしたら、ナニが良いダロウか。とかんがえたときに、チョットしたヒントにはなったかもしれない」

「ヒントですか」

「ソウ、ヒント」

「ちなみに、そのヒントっていうのは、どういうモノなんですか?」

「ぐたいてきなワケじゃナイけれどね。まあ強いていえば、今後、一体ナニにたいして注意をして、イシキを向けるベキなのか。というコトが、すこしダケ、わかったかもしれない」

「ソレは一体、ナンなんですか?」

「2度あるコトは、3度あるんじゃないか。っていうコトだよ」

「2度あるコトは、3度ある。ですか?」

 藤柴は、怪訝そうなカオで聞きかえした。

(一体どういうイミだ?)

「こまかくいうと、オレはこうして、この第4地区にくるコトによって、制限されているとはいえ、じゆうを手にいれるコトがデキた。つまり、「いきるコトがデキる」という生存のじゆうをね。

 そして、医者の伊藤さんは、フダンは第3地区に住んでいるが、ココでは、じゆうがそんざいしていない。

 この第4地区にくるコトによって、すこしダケ、じゆうをかんじるコトがデキた。つまり、すこしダケ、じゆうを手にいれるコトがデキた」

「ソレはたしかに、ソウいえますね」

 こういうと、藤柴は、すこしダケ、徳吉のいいたいコトが、わかるような気がした。

「徳吉さんと、伊藤さん、この2名が、2度あるコト。になるワケですか?」

「そういうコトだよ。2度あるコト。というか、事例が2個ある。とでもいえばいいのか」

「となると、3度目のコト。つまり、3個目の事例というものは、一体ナンなのか。というコトになるとおもうんですが。コレから先、似たようなコトが起こる。という予測や予想でしょうか?」

「2度あるコトは、3度ある。というくらいだから、コレから先に、似たようなコトが起こる可能性を、カンゼンにひていするコトはデキないとおもう。

 つまり、第3地区、あるいは、第1や第2地区にいるニンゲンが、ナニカの事情・リユウで、この第4地区にやってくる。そしてココで、すこしとはいえ、じゆうを手にする。というケースは、ありえるとおもう」

「ですが、そういうケースが、コレから先のミライに、いつごろに、何人、そして、どういうニンゲンがやってくるのか。というコトは、わからないとおもうんですが」

「モチロン、そんなコトはわからないよ。ミライを予測するコトは、ゼッタイにデキないワケだから」

「となると、いつごろに、どういうニンゲンが、何人やってくるのか。というコトが、わからない以上、『今の時点・だんかいで、このコトをかんがえて、想定し、予測し、じゅんび・対策をしておく』というコトは、デキないとおもうんですが」

「藤柴クンのいうとおりだよ。今の時点・だんかいで、ぐたいてきにデキるコトは、まずナイよ。不たしかなミライのコトを、アテにするワケにはいかない」

(そりゃ、ソウなるだろうし。だったら、ナゼそんなコトをいうんダロウ?)

「徳吉さんのおっしゃるとおりだとおもいます。となると、今われわれが、そういうコトをかんがえても、しかたがナイかとおもうんですが」

「ミライについては、たしかにソウなるけど、過去のコトとなると、ハナシはべつだよ」

「過去のコトですか?」

 イミがわからない。というカオつきで、藤柴がつぶやいた。

「チョット、コトバ足らずだったね。要するに、オレや伊藤さん以外にも、過去に、似たようなコトをケイケンし、感じたニンゲンが、何人か、いたんじゃないかとおもってね」

「たしかに、いたかもしれませんが。でもソレと、この第4地区にそんざいする、ふくすうの勢力と、一体ナンのカンケイ性があるんですか?」

「モチロン、かくじつにカンケイ性がある。とまでは、断言するコトはデキないよ。ソレを証明するコトがデキる、ハッキリとした証拠なんていうのは、そんざいしていないとおもう。キミにもらった資料を読んでも、そんなコトは、まったく書かれていない」

「そのハズです。お渡しした資料は、ワタシも読んだコトがありますので」

「でも、資料を読んでいると、イロイロと、断片的ではあるけれども、想像するコトがデキるんじゃないか。と、オレはおもってるんだよ」

「といいますと?」

「高等教育機関がそんざいしていない、この第4地区において、ナンで実務的なコトがデキるニンゲンが、そんざいしているのか。という点だよ」

「実務的なコトがデキるニンゲン。ですか?」

「ソウ、われわれが参加に収めた勢力ダケじゃなくて、ふくすうの勢力が、この第4地区で、イロイロなかつどうをおこない、商売、事業をおこなっている。大キボとまではいかないが、中小キボのかつどうや、商売、事業をおこなっている勢力が、いくつもそんざいしている。

 となると、これらの勢力のナカに、実務的なコトがデキるニンゲンが、一定数そんざいしている。というカタチになる。要するに、実務家的なニンゲンが、一定数いるハズなんだよ。でなければ、個人対個人のような小キボのかつどうや、商売、事業しか成りたたないはずだよ。

 中キボのかつどうや、商売、事業をおこなうとなると、カネの勘定や経理事務、ほかの勢力とのあいだで、ケイヤクにかんする書類をつくったり、その実行を管理し、かくにんしたり、調整だとか、渉外的なコトをするニンゲンが、ひつよう不可欠になってくる。

 そして、そういうタイプのじんざいは、カナリたかい確率で、高等教育をうけたニンゲンか、あるいは、そういうニンゲンからの指導をうけていないと、まずデキないハズだよ。こういうコトは、ケイケンし、カラダでおぼえるダケでは、習得するコトはデキないダロウし」

 徳吉のコトバを聞いて、藤柴はすこしのあいだ、だまってしまった。

(このヒトは、こんなコトに気がつくのか)

 アタリマエのコトだが、徳吉にたいして、第4地区にそんざいする勢力にかんする資料を渡したのは、藤柴なのである。

 つまり、藤柴もまた、この資料を読んでいる。だがしかし、そのようなコトにまで、気がつくコトはなかった。

(このヒトは、ホントウに、些細でちいさな断片的なコトから、イロイロなコトに気がつく)

 とつぜん、急にだまってしまった藤柴を、徳吉は、すこしダケ、怪訝そうなカオをして見ていた。

「どうかしたかい?」

「イエ、徳吉さんのおっしゃるコトは、たしかにありえるかとおもいます。ワタシも、ナットクしてしまいました。

 たしかに、一定キボ以上のそしき・勢力となると、各種の実務的なシゴト・業務が発生します。こういうコトは、ゲンバでのシゴトだとか、カラダをつかうようなコトとは違って、アレコレと、アタマをつかわざるをえません。

 ソレに、各種のちしき、方法論、ノウハウとかも、ひつよう不可欠になります。こういうコトは、高等教育をうけたニンゲンであったり、あるいは、そういうニンゲンに指導され、おしえてもらわないと、習得するのはむずかしそうです」

「キミもソウおもうかい?こういうシゴトは、ゲンバで、カラダでおぼえる。というダケでは、不十分なコトもおおい。

 つまり、アタマでアレコレとかんがえたり、分析したり、検討するコトがひつようになる。ときには、『コレでホントウに、合っているんダロウか』と、ひはん的な視点での分析、検討とかも、ひつようになる。

 こういうコトは、やはり、高等教育を経ていないと、ナカナカ身につかないとおもう」

「つまり、まずゲンバに出ていって、とにかく、カラダでおぼえて独学をする。というダケでは、不十分というワケですね?」

「ソウ言って良いとおもうよ」

「ソレで、そういうニンゲンを、コレからさがしだす。というワケですか?」

「さがしだす。というほど、大げさなもんじゃナイけれどね。もしもいたとしても、ソレが、どういう性格、かんがえかた、かちかん、ニンゲン性を持っているのかは、わからないワケだから。

 もしいたとしても、コチラとは、それらがまったく合わず、正はんたい・まぎゃくのタイプのニンゲンかもしれない。だから、さがしだしたとしても、かならずしも、深くかかわるとはかぎらない。でも」

「でも?」

「もしかしたら、そういうタイプのニンゲンのナカに、性格、かんがえかた、かちかん、ニンゲン性とかが、コチラと共通点・類似点がおおくて、深くかかわりあいになるベキだ。というニンゲンも、いるかもしれない。ソレこそ、本田クンたちのようにね」

「ナルホド、埋もれており、かくれた優秀で有能なニンゲン・じんざいが、いるかもしれない。と、こういうワケですね?」

「まあ、ソウいうコトだね。いずれにしろ、すぐれたニンゲン、優秀で有能なニンゲンで、コチラといっしょになって、ナニカをやれるようなタイプのニンゲンの数は、おおいに越したコトはナイ。

 でも、こういうタイプのニンゲンは、つまり、貴重なじんざいは、滅多なコトではお目にかかれない。出会うコトがデキない。

 もしも、そういう貴重なじんざいが、すこしでもいる可能性、確率があるのであれば、コチラからアクション、行動をおこして、さがしだして、かかわりあいになる。というのは、選択肢のひとつとして、たいせつ・重要だとおもう」

「そういうニンゲンが、この第4地区にそんざいする、ふくすうの勢力のなかに、いるかもしれない。となると、コレから、この勢力にたいして、コチラから接触をしますか?」

 藤柴がこう聞くと、徳吉はすこし、かんがえこんだようすであった。

(どうしたんダロウ?ナニカ、マズイようなコトでもあるのか?)

「まあ、そういうニンゲンのこうほ者にたいして、接触をしたい。とはおもうけれども、どうだろうか、あまり不しぜんなコトをしないほうが、あんぜんな気もする」

「といいますと?」

「いかんせん、この第4地区には、めいかくな、ハッキリとした公的なルール・ほうりつ等が、そんざいしていない。だから、無ちつじょ、こんらん状態になりやすい。治安もワルイ。

 となると、不用心に接触をするのは、ナニカしら、キケンな状態をまねくかもしれない。ソレに、あいてのほうも、そういうキモチを持っている可能性・確率は、カナリたかいとおもう。

 ナニセ、もしも今いった想定や想像があたっているのなら、そのニンゲンは、第3地区から逃げてきたか、あるいは、その逃げてきたニンゲンと、近しいニンゲン。というカタチになる。

 そして、オレたちはいちおう、第3地区のニンゲン。というカタチで、あいてから見られている。となると、コチラにたいして、あまり良い感情・キモチを持っていないかもしれない。ばあいによっては、警戒心すら持っている可能性もある」

「つまり、コチラのコトを警戒し、疑ってくる。だから、不用意に、ウカツな接触はキケンをとまねく。というコトですね?」

「断言はデキないけれど、そういうリスク・キケン性っていうものは、カンゼンに、はいじょするコトはデキないとおもう。

 コレはまあ、オレの性分なんだけど、不かくじつ性っていうものは、じぜんの時点・だんかいで、可能なかぎり、つぶしておきたい」

「さすが、用心ぶかさの権化のような徳吉さんですね。でも、ソウなると」

「ソウなると?」

「ぐたいてきに、一体どうやって、そういう勢力のニンゲンにたいして、接触をすればいいのか。というコトが、課題やモンダイ点になりそうですね。

 コチラのコトを、警戒し、疑っている可能性のあるニンゲン・あいてと、リスク・キケン性、不かくじつ性を、可能なかぎりつぶし、はいじょして、どのようにして接触を図るのか。この方法が、チョットおもいつきません」

「ソウなんだよね。さらにいうと、今のわれわれは、斎藤たちが属していた勢力を、配下、傘下にいれいている。

 コレは、ほかの勢力からしたら、『じぶんたちの競争あいて、商売敵を、われわれは、配下、傘下にしている』というカタチになる。

 というコトは、ただでさえ、第3地区のニンゲン。というコトで警戒され、うたがわれる可能性があるのに、その上さらに、あいてからしたら、コチラは、『じぶんたちのおこなっている商売・事業の競争あいて、商売敵と、おなじグループ・そしきのニンゲン』という目で見てくる可能性は、カナリたかいとおもう」

「そういうカタチで見られたとしても、けっしてオカシクはナイでしょうね。というか、ワタシとしても、ソウ見られてしまう可能性が、カナリたかいかとおもいます」

(というコトは、コレは、ぐたいてきに、今すぐにナニカの行動だとか、アクションをおこす。というハナシではナイのか?)

「どうやらこのハナシは、今すぐに、ナニカをおこない、アクションや行動をおこす。というハナシではなくて、『コレから先のミライで、ナニカしらのチャンス、機会があれば、ほかの勢力のニンゲンと会ったり、接触をして、うもれており、かくれた優秀で有能なニンゲン・じんざいを見つけだし、さがしてみる』と、こういうコトになりそうですね?」

「キホン的には、そういうカタチになるとはおもう」

「キホン的には、ですか。というコトは、すこしくらいは、すぐに行動し、アクションをおこすコトもある。というコトでしょうか?」

「まあ、ほんのすこしだけれどね」

(ソウはいっても、今のオレたちには、ほかの勢力とは、あまり接点を持っていない。会ったりかかわるコトは、ほとんどナイ。

 ときどき、ナニカの用事で向こうを訪れるコトはあるが、それほど深いカンケイ性や接点は、持っていないんだが)

「しかし、その『ほんのすこし』であっても、あいてにたいして接触し、接点を持とうとすると、あいての警戒心をシゲキして、あらぬ誤解やうたがいを、まねくかもしれません。そういう不注意で不用心なコトは、徳吉さんは、キライだとおもうんですが」

「さすが、オレの性格を、良くわかっているね。だからまあ、可能なかぎり、ちいさなアクション、行動にしようとおもう。

 アタリマエのコトだけど、おおきなコトをおこなえば、ソレに比例して、リスク・キケン性はたかくなる。だから、ちいさなコトに留めておきたい」

「ちいさなコトですか」

(でも、その『ちいさなコト』っていうのが、ぐたいてきに、ナニをおこなえばいいのか、サッパリわからん。ソレがわからいと、どうしようもないとおもうんだが)

「今げんざいの時点・だんかいで、ほとんど接点や縁がナイ、ふくすうの勢力にたいして、ちいさなコトとはいえ、一体どういうカタチで、どのようにして、接点を持とうとおかんがえなんですか?」

「イヤ、ちょくせつ的に、ほかの勢力にたいして、今すぐに接触して、接点を持つベキだ。というワケじゃないよ」

(どういうコトだ?ハナシにむじゅん点がある気がするけども)

「といいますと?」

「将来的に、もしかしたら、ほかの勢力にたいして接触し、接点を持つかもしれない。そして、うもれており、かくれているニンゲン・じんざいを、見つけるコトがデキるかもしれない。というコトであって、今すぐに、どうこうする。っていうワケじゃナイ。

 だから、まずは足元というか、身近なトコロから、見てみるベキだとおもう」

「足元で、身近なトコロ。ですか」

「ソウ、まずは近場からアクション、行動をおこすベキだとおもう」

「ぐたいてきには、一体ドコなんでしょうか?」

「傘下に収めた勢力からだよ」

「つまり、斎藤たちが属していた、コチラの傘下・配下に入った勢力のなかに、高等教育をうけたニンゲンか、あるいは、そのコドモだとか、教えをうけたニンゲンがいないか、さがしてみる。というコトでしょうか?」

「そのとおり」

「ナルホド、ソレだったら、今すぐにでも、実行するコトが可能ですね。すぐにデキるコトです。ソレに、傘下、配下にくわえた以上、コチラのほうが、上のたちばから、イロイロと指示するコトがデキます。ソレにあいても、同じ身内のグループなワケですから、警戒心もすくなそうです」

「ソウなるダロウね。というか、ソウなるコトを期待したい。とはいっても、いくら傘下、配下に加わったとはいえ、コチラはあくまでも、第3地区のニンゲンであり、勢力になるワケだから、もしかしたら、ココロの奥底では、一定の警戒心、猜疑心を持っているかもしれない。

 だから、そうカンタンには、コチラにたいして、ホンネをいわないかもしれない。でも、まったく縁や接点のナイ、ほかの勢力にたいしてアクションをおこすよりは、はるかにカンタンだし、こんなん・障害だとか、リスク・キケン性というものは、すくないダロウしね」

「でも、ソレはあくまでも、『今げんざい、われわれの傘下、配下に入っている勢力のニンゲンにたいして』であっても、『ほかの勢力にたいして』ではナイですよね。

 となると、『この第4地区にそんざいしている、ほかの勢力にたいして、コチラが接触を図る』というカタチには、ならないかとおもうんですが」

「キホン的には、ソウなるとおもう。でも、ナニゴトにも、例外はそんざいしている。というか、一見すると、ソレとは無カンケイであっても、コチラの見えないトコロで、意外なトコロで、ほかのニンゲン・そんざいと、つながっている。というケースは、十分にありえるとおもう」

(どういうコトなんダロウか?)

 徳吉のハナシを聞いた藤柴は、すこしのあいだ、かんがえこんでいた。そして、徳吉の言わんとしているコトに気がついた。

「もしかして、われわれが傘下・配下に収めた勢力にいるニンゲンが、ほかの勢力のニンゲンと、コチラの見えないトコロで、水面下で、つながっているのではないか。と、こういう想定をしているんでしょうか?」

「そのとおりだよ」

(たしかに、そういう可能性も、ひていするコトはデキない。でも、かくじつ性がナイ気がする)

「もしかしたら、そういう可能性も、あるかもしれませんね。でも、かくじつ性はすくなそうです」

「ソレでいいんだよ。この想定がハズレていたトコロで、コチラとしては、べつに、たいした損はない。ヒガイ・そんがいは、ほとんどナイにひとしいからね」

「ソウですね。今まではなしたコトは、べつに、早急にナントカしなければならない。という緊急のモンダイ・案件ではないですから。ハズレならば、ソレはソレで良い。というコトですね」

「そういうコトになる。でもまあ、オレとしては、『傘下、配下に収めた勢力のニンゲンが、ほかの勢力のニンゲンと、つながっている』というケースは、けっこうな確率・わりあいで、ありえるとおもっているよ」

「ちなみに、そのようにかんがえる、こんきょ・ウラづけ・証拠は、ナニカあるんですか?ワタシの知るかぎり、ソレを示すような資料だとか、じじつ・情報は、持っていないんですが」

「ハッキリとした、こんきょ・ウラづけ・証拠なんていうのはナイよ。あくまでも、たんなるオレの憶測にすぎない。でもまあ、状況証拠をかんがえてみれば、十分にありえるんじゃないかと、オレはおもっている」

「その状況証拠っていうものが、ワタシには、ピンとこないんですが」

(すくなくともオレは、徳吉さんよりも、ながい期間、この第4地区にいる。でも、そういう状況証拠なんていうモノは、今まで見たコトも、聞いたコトもナイんだが)

「徳吉さんがおっしゃる状況証拠っていうのは、一体ナニになるんでしょうか?」

 藤柴がこう聞くと、徳吉は、手元にある資料を手に取って、ソレを読みだした。

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