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政略の権化

(ソレは、まえに渡した、この第4地区にそんざいする資料だけれども、ココには、そういう状況証拠なんていうものは、書かれていないハズだが)

「この資料を読んでみると、どうにもトラブル・モンダイ・モメゴトが、すくない気がするんだよ」

「トラブル・モンダイ・モメゴトがですか?でもソレは、けっしてワルイようなコトではナイですし、そのコト自体が、状況証拠にはならない気がするんですが」

「もうすこしくわしくいうと、われわれが傘下、配下におさめた勢力と、ココに記されている、ほかの勢力とのあいだで、もっとたくさんのトラブル・モンダイ・モメゴトが、発生してもいい気がするんだよね」

「もっとたくさん、ですか」

「ソウ、もっとたくさん発生するのが、ほんらいの状態じゃないかとおもう」

「ナゼそのようにおもうんですか?」

「ナニセ、ココは無法地帯に近いんだよ。こういう無ちつじょ、こんらん状態になりやすいトコロ、ばしょ、地域で、これらの勢力は、おたがいに商売、事業をおこない、りえきをだして、カネを稼いでいる。

 そして、カネがからんでいる以上、ナニカしらのトラブル・モンダイ・モメゴトが発生するのは、しかたがナイ。ソレをカンゼンに阻止し、ふせぎ、回避をするコトはデキない」

「ソレはまあ、ソウでしょうね」

「ほんらいだったら、そういう、おカネがからんだトラブル・モンダイ・モメゴトが発生したときは、公的なルール・ほうりつを基にして、公的な司法機関が仲裁にはいったり、司法はんだんを下す。というのが、ほんらいのありかた、状態のハズなんだけれども、この地域には、そういうチャントした司法機関っていうものが、そんざいしていない。そもそも、公的なルール・ほうりつも、そんざいしていない。

 となると、カネがからんだコトをしている以上、もっとたくさんトラブル・モンダイ・モメゴトが発生しなければ、オカシイんじゃナイかとおもう」

(あらたまって、ソウいわれてみると、ソウかもしれない)

 徳吉のハナシを聞いて、藤柴は、あらためて、この第4地区における状況というものを、アタマにうかべてみた。

「あらたまって、そういう指摘を聞かされると、たしかに、すくないのかもしれません。でも、ソレが状況証拠と、一体ナンのカンケイ性があるんですか?」

「公的なルール・ほうりつや、公的な司法機関っていうものが、ほとんどナイにひとしく、そんざいしていない。

 こういうカンキョウ・状況のナカで、カネがからんだコトをおこない、かつ、そういう商売、事業をおこなっている勢力が、ふくすうそんざいしている。にもかかわらず、トラブル・もんだい・モメゴトの数が、おもったよりもすくない。

 となると、『ダレかが、ナニモノかが、そういうふくすう勢力のあいだに入って、トラブル・モンダイ・モメゴトを仲介したり、あるいは、ソレが起こるまえに、調整をしている』とかんがえたほうが、しぜんじゃないかとおもう。

 でも、そういう仲裁や調整をするような勢力、公的な機関っていうものは、どうやら、そんざいしていない。となると」

「となると?」

「各々の勢力にしょぞくしているニンゲン同士が、ほかの勢力のニンゲンと、ナニカのカタチで、ソレこそ、見えないトコロで接触し、接点を持ち、つながっている。という想定や仮説が、成りたつんじゃないかとおもう」

 徳吉にこのようにいわれ、藤柴は、ハッとした。

「ナルホド、そういう個人的なカンケイ性がそんざいしている。という前提に立ってみれば、われわれが傘下・配下に収めたニンゲンのなかに、『個人的に、ほかの勢力のニンゲンと、接触し、接点を持ち、かかわっている』というタイプのニンゲンが、そんざいしているかもしれませんね」

「そういう可能性は、ありえるとオレはおもう」

「だったら、たしかに徳吉さんのおっしゃるとおり、まずさいしょは、傘下・配下に収めたニンゲンからはじめる。

 そして、ソコから、糸を手繰るように辿ってゆけば、ほかの勢力のニンゲンと、ムリやキケンがすくないカタチで、接触し、接点を持ち、かかわるコトがデキるかもしれませんね」

「カンゼンに憶測になるが、そういう可能性を、カンゼンにひていするコトは、デキないんじゃないダロウか」

(ホントウに、よくこんなコトに気がつくな、このヒトは)

 藤柴はあらためて、徳吉の持っている観察眼というか、慧眼のするどさに、関心してしまった。

「イモヅルというコトバがあるくらいだしね」

「イモヅルですか」

「ソウ、イモヅル。一見すると、接触だとか、接点を持つコトがデキないような、とおくはなれた場にいるニンゲンであっても、イモのツルを辿るようにして、接触し、接点を持ち、会うコトがデキるかもしれない。

 あるいは、イモのツルを手繰るようにして、そういうニンゲンを、コチラにたいして引き寄せるコトも、デキるかもしれない。とはいっても、あくまでも、タラレバのハナシにすぎないけどね」

「でも、やってみる価値は、十分にあるとおもいます。ナンセ、コチラにとって、リスク・キケン性っていうものが、ほとんどナイかとおもいます。おカネもかかりませんし」

「ソレに、たとえこの仮説や想定がハズレたとしても、コチラとしては、たいした損はナイ。そんがい・ヒガイをこうむる。というコトも、今のトコロは、かんがえられない」

「元手がタダに近い上に、たいした手間もかからず、リスク・キケン性についても、ほとんどナイ。となると、やらない手はナイかとおもいます。むしろ、おこなったほうがよさそうです。

 もしも、この仮説や想定があたっていれば、コチラにとっては、プラスのりえき・メリットがありそうですし」

「どうダロウね。プラスがあるかどうかは、まだわからないけどね」

(どういうイミだ?かかわってプラスになるからこそ、コチラが意図するニンゲンを、さがすんじゃないのか?)

「プラスがあるかどうかは、まだわからない。でも、『もしかしたらプラスがある。という可能性が、すこしはある。だから、いちおうアクションをおこし、行動をしてみる』というコトでしょうか?」

「そういうコトだね。リスク・キケン性がすくなくて、かつ、たいした手間もカネも、ろうりょくもかからない。そして、すこしでもプラスがある。という可能性がある。

 こういう条件だったら、ソレは、おこなってみるベキだとオレはおもう。こういうコトから、チャンスや幸運というものを、手にいれるコトデキるんじゃないかと、オレはおもっているよ」

「たとえちいさなプラスであっても、0と1はちがう。というコトですね?」

「そのとおりだよ。0はあくまでも、0にすぎない。つまり、まったくナニもそんざいしていない。でも、たとえちいさくても、量がすくなくても、『1がある』という状態は、0とはけってい的にちがうとおもう。

 とはいっても、『われわれが、ちょくせつ的にプラスを手にする』というカタチには、ならないかもしれない」

 徳吉のハナシを聞いて、藤柴は、アタマのナカが、こんがらがってきてしまった。

(いわんとするコトが、どうにもよくわからない)

「ちいさなプラスというものを、われわれが、ちょくせつ的に手にする可能性もあるし、ソレとはぎゃくに、手にしない可能性もある。というコトですか?」

「そういう可能性も、十分にあるとおもう」

「でも、ソウなると、つまり、『ちいさなプラスでさえも、ちょくせつ的に手にしない』となれば、われわれは、アクションをおこし、行動をするときに、一体どういう成果や結果、高価を期待するベキなんでしょうか?」

「うまくコトバでいえるかどうか、チョットわからないけれども、『もしかしたら、間接的に、コチラにとって、すこしはプラスの状況というものを、つくりだすコトがデキるかもしれない』と、こういう期待を持っているんだよ」

「間接的に、ですか?」

「ソウ、間接的に」

「スミマセン、おっしゃるイミが、ワタシにはピンとこないというか、チョット良くわからないぶぶんがあります」

「ソウだよねえ。オレ自身、うまくいえている自信がないよ」

 わらいながら、徳吉はいった。

「でもまあ、あえていうとすると」

 こういうと、徳吉は、思慮深そうなカオつきをして、ハナシをはじめた。

「そもそもの前提として、この第4地区において、高等教育をうけたニンゲンであったり、あるいは、そのコドモや子孫だとか、そういうニンゲンから、教えをうけたニンゲンっていうのは、おそらく、今のこの国の政治体制や統治機構にたいして、あまり良い感情を持っていないとおもう。ソレどころか、つよいフヘイ・フマン、怒りを持っているかもしれない。

 一定以上の高等教育をうけたニンゲンが、この第4地区にたいして、わざわざやってきた事情だとか、リユウ・動機っていうのは、おそらく、息が詰まるような監視しゃかいを嫌って、じゆうをもとめてやってきた。

 あるいは、ナニカしら、キケンな状態になってしまい、じぶんの身のあんぜんを保障するタメに、つまり、いきのこるタメに、この第4地区にたいして逃げてきたんだとおもう。

 そして、ほんにんはモチロンだけれども、そういうニンゲンのコドモや子孫だとか、あるいは、教えをうけたようなニンゲンも、そのニンゲンから、今のこの国の政治体制や統治機構にたいする、つよいフヘイ・フマン、怒りなどを、継承している可能性もたかいんじゃないかと、オレはおもっている」

「ソレはまあ、ソウかとおもいます」

「そして、われわれは、第3地区のニンゲンであり、タテマエ上では、第3地区の統治機構の出先機関。というカタチになっている。

 というコトであれば、ココロの奥底では、コチラにたいして、あまり良い感情を持っていないかもしれない。ソレどころか、つよい警戒心だとか、猜疑心を持っているかもしれない。

 そういうニンゲンから、信頼を得る。というコトは、並大抵のコトでは不可能な気もする。というか、そもそも不可能かもしれない。

 コチラのことを、けっして信用せず、うたがっており、警戒しているニンゲンがあいてでは、コチラとしては、深いカンケイ性をきずくコトは、カナリむずかしいとおもう。

 すこしくらいは、ちょくせつ的に会ったり、かかわったり、接触をするコトはあるかもしれない。でも、コチラの傘下、配下に入ったり、あるいは、コチラとつよい同盟カンケイをむすび、味方になる。というトコロまでは、いかないかもしれない」

「たしかに、そういうニンゲンがあいてでは、コチラとしても、あいてをカンゼンに信用するコトは、まずデキないかとおもいます。

 コチラのコトを、警戒し、うたがっている以上、アタリマエのコトですが、コチラとしても、似たようなキモチ・感情・たいどを、取らざるをえないでしょうし」

「となると、コチラとしては、『ちょくせつ的な傘下や配下、あるいは、同盟者や味方にする』というコトは、そもそも不可能かもしれない。たとえデキたとしても、カナリむずかしい気もする。

 でもソウなると、『じゃあわれわれは、一体ナンのタメに、わざわざアクションをおこし、行動をするのか』という、一番根っこのぶぶんの動機・もくてき・リユウ・意図が、アイマイになってしまいかねない」

「一番根っこのぶぶんの動機・もくてき・リユウ・意図が、アイマイで、不めいかくで、バクゼンとしていると、ソレによっておこすアクションや行動は、たぶん、たいした成果や結果、効果はなさそうですね。

 おそらく、行動に切れがナイでしょうし。ソレに、モチベーションというか、意欲がつづかない気がします」

「そのとおりなんだよ。ニンゲンは、動機・もくてき・リユウ・意図がアイマイで、不めいかくで、漠然としていると、『一体ナンのタメに、じぶんはコレをおこなっているのか』という点が、どうしてもアイマイになる。

 となると、持続力がつづかなくなって、とちゅうでヤメてしまいかねない。モノゴトが、スムーズにススンでいるときはいいとしても、ソウではなくて、キケン・もんだい・トラブル・モメゴトだとか、こんなん・障害にたいして直面したときに、カナリたかい確率で、モチベーションや意欲がきえてしまいかねない。

 もっというと、ハッキリとしたカタチで、成果や効果、結果がでていないと、ヤッパリ、『ナゼじぶんは、コレをおこなっているのか。ナニも良い事がナイじゃないか』とかんがえて、コレもまた、モチベーションや意欲が、なくなってしまいかねない」

「ソウなんですよね。ニンゲンって、つよくないんですよ。ソレはまったく同感です」

「根っこのぶぶんの動機・もくてき・リユウ・意図だとか、期待するコトがデキる成果や結果、効果がアイマイで、不めいかくでバクゼンとしている。

 こういう状態で、長期間にわたって、ナニカをおこないつづける。というコトは、フツウのニンゲンには、まずデキない。

 だから、これらをハッキリとさせ、めいかく化させなければならない。でも、さっきもいったとおり、ちょくせつ的なプラスのりえき・メリットっていうのは、われわれには、ナイかもしれない」

「となると、どうしようもナイ。という気がしますが」

「だからまあ、コレは一種の詭弁になるかもしれないけれども。『間接的なカタチで、コチラにとって、プラスのりえき・メリット、効果や成果、結果がでるかもしれない』と、こういうカタチでかんがえようとおもう」

「ナルホド、おっしゃりたいコトが、ナンとなく、わかってきたような気もします。でも、じゃあ、その肝心の『間接的なカタチでのプラスのりえき・メリット、効果や成果、結果というのは、一体ナンなのか』という点を、ハッキリ定義させないと、マズイような気がするんですが。

 その肝心要のトコロが、ワタシには、どうにもピンとこないというか、アタマにうかばないんですが」

 藤柴がこういうと、徳吉は、すこしのだいだ目をつむり、そして、クチをひらいた。

「カレら、カノジョらにたいして、火をつけるコトがデキるかもしれない」

「火をつける。ですか?」

(とつぜん、ナニをいいだすんだ?)

「モチロン、ホントウに火をつけて、燃やしてしまう。というワケじゃないよ。あいてをコロシテしまうワケじゃない。

 あいてのキモチや感情というか、そういうモノにたいして、火をつけることがデキるかもしれない。そういう効果や成果、結果を出すコトが、もしかしたらデキるかもしれない。というイミだよ」

「あいてのキモチや感情。ですか。となると、その火をつけられた対象は、つまり、そのあいては、感情やキモチに火がついて、一体ナニをおこなうんでしょうか?」

「ハッキリとした、こんきょ・ウラづけ・証拠は、まったくナイから、オレのカンゼンなる憶測にすぎないけれども、もともと、今のこの国の政治体制や統治機構にたいして、つよいフヘイ・フマンだとか、怒りを持っている。そういう可能性が、カナリたかい。

 そういうニンゲンのキモチ・感情にたいして、火をつけるコトがデキれば、たかぶったキモチ・感情によって、引きおこされるアクションや行動の矛先というか、標的は、もしかしたら、今のこの国の政治体制や統治機構にたいして、向かうかもしれない」

(つまり、反体制派をふやす。というコトなのか?たしかに、そうなる可能性は、すこしはあるかもしれない。

 でも、ソレが一体、コチラにとって、間接的なカタチでのプラスのりえき・メリット、成果や結果、効果に、ナゼつながるんだ?)

「今のこの国の政治体制や統治機構にたいして、フヘイ・フマン、怒りの矛先や標的が向かう。そういうニンゲンや勢力がふえる。というコトは、反体制派がふえる。

 もっというと、行動的な反体制派がふえる。というカタチになりますが、ソレが一体、コチラにとって、どういうプラスのりえき・メリット、効果や成果、結果につながるんですか?」

「木を隠すには森。というからね」

 徳吉は、やや残酷なカオをして、こういった。そして、この徳吉のコトバを聞いて、藤柴は、おもわずゾッとしてしまった。寒気がした。といってもいい。

(こんなコトを、このヒトはかんがえつくのか)

「われわれは、最終的なもくてき・意図として、今のこの国の政治体制や統治機構にたいして、ナントカして風穴だとか、亀裂をいれたい。あわよくば、体制の変更をかんがえています。

 つまり、改革というか、大ゲサにいえば、革命に近いコトを、ホンネにおいては持っています。でもソレは、ドコカの時点・だんかいで、体制がわにたいして、バレてしまうリスク・キケン性もある。

 ソウなると、われわれ自身にたいして、キケンが降りかかってきてしまう。危害をくわえられかねない。つまり、身のあんぜんを、保証するコトがデキない。

 でも、もしもそういうときに、われわれ意外に、体制にたいして反抗的なニンゲン・勢力が、ほかにもそんざいしていれば、ましてや、ふくすうの勢力がそんざいしていれば、われわれ自身は、それらのカゲに、コッソリとかくれるコトもデキる。

 あるいは、体制がわとしても、つぶすべき対象がひとつダケではなくて、ふくすうであれば、コチラがその矛先・標的になるリスク・キケン性を、さげるコトができる。と、こういうコトでしょうか?」

「スバラシイ。さすがだね、オレのいいたいコトを、ズバリといいあてた。あいかわらず、オレの思考というか、アタマのナカを読むのがはやいよ。

 ソウなんだよ。今のトコロ、われわれのおこなっているコト。というか、コレからおこなおうとしているコトは、『今のこの国の政治体制や統治機構にたいして、ちょくせつ的に危害をくわえたり、こうげきをする』という種類・たぐいのコトではナイ。

 でも、これから先のミライで、ドコカの時点・だんかいで、もしかしたら、体制がわが、コチラのコトを危険視する。という可能性も、ひていするコトはデキない。

 そういうときに、われわれが、ただひとつだけ、ソコにそんざいしている。というカタチになれば、体制がわの矛先や標的が、われわれダケにたいして向けられる。という由々しき事態になりかねない。

 でも、そういうときに、体制にたいして立ちむかうというか、反抗する勢力が、たくさんそんざいしていれば、われわれは、そのカゲにかくれたり、あるいは、あいての矛先や標的から、ハズレるコトがデキるかもしれない。

 リスク・キケンを分散させるタメに、あんぜん策や逃げ道は、可能なかぎり、数がおおいほうがいい。というコトだよ」

「用心ぶかくて慎重というか、深謀遠慮、用意周到っていうコトバが、アタマにうかびましたよ。コレこそ、『今すぐにどうこうする』というワケではナイですよね。

 将来的に、ソレも、カナリとおいミライに、そういう事態になる可能性がある。だから、じっさいに、効果や成果、結果がでるかどうかはわからないけれども、万が一をかんがえて、念には念をいれて、今のうちに、打てる手は、すべて打っておく。というコトでしょうか?」

「その解釈で合っているよ。ホントウにじつげんするかどうか、サッパリわからないけれども、考えられるリスク・キケン性があるんだったら、打てる手は、すべて打っておきたい。

 今のこの国の政治体制や統治機構にたいして、つよいフヘイ・フマン、怒りを持っているニンゲンが、この第4地区にたいしてにげてきた。そして、そういうニンゲンだとか、あるいは、そのコドモや子孫、さらには、教えをうけたニンゲンが、ホントウにいるのかどうか、モチロンわからない。

 ソレに、たとえいたとしても、ホントウに、今のこの国の政治体制や統治機構にたいして、いずれは、キバを剥く気があるのかどうか。ソレもまた、不かくじつだし、まったくナンの確証もナイ。

 でもまあ、そういう可能性が、すこしでもあるんだったら、ナニカしらの手を打っておきたい。デキるコトならば、コチラにとって、プラスのりえき・メリットがあるカタチにならないか。あるいは、コチラのマイナスの不りえき・デメリットをへらしたり、かるくするコトがデキないか。というコトも、かんがえておきたい」

「不たしかなミライにかんするコトですが、やってみる価値はありそうですね。ですが先ほど、あいての感情・キモチにたいして火をつけて、アクションや行動をおこさせる。

 とおっしゃいましたが、ぐたいてきには、ナニをおこなって、あいての火をつけるんですか?コチラから、ナニカ行動をおこして、あいてを誘導するんでしょうか?ソレはソレで、むずかしい気もしますが」

「たにんのコトを、じぶんにとって、つごうが良いカタチに変えるコトはデキないよ。だから、たにんを、じぶんにつごうが良いカタチに誘導し、うごかす。というコトも、ムリだとおもう」

「となると、打てる手。というものが、見つからない気がするんですが。ソレに、われわれ自身、たいしたキボでもナイし、持っている資源・おカネ・じんざいも、かぎりがあります。ですから、デキるコトにも、おのずから限界がありますし」

「そりゃソウなるダロウね。オレたちは、けっして裕福ではナイ。だから、持っているカネも資源も、じんざいだって、ちいさなキボや量にすぎない。だから、それらを極力つかわないコトでないと、実行するコトはデキないよ」

「おカネも、資源も、じんざいも、極力つかわない。そういう前提条件で、打てる手。となると、ますます条件がきびしいというか。一体ナニがあるのか、サッパリ検討がつきません」

「さっきもいったとおり、たにんのコトを、じぶんにとって、つごうが良いカタチに変えるコトはデキないし。ましてや、じぶんにつごうが良い方向に、たにんを誘導し、うごかすコトもデキやしない。

 だから、あえていえば、あいてが自主的に、みずからの意思・かんがえで、うごくようにカタチにしたい」

「あいてがじぶんの意思・かんがえで、コチラの意図したり、期待する方向にうごくようにする。というコトでしょうか?

 でも、ソレこそ、ナンといえばいいのか。カナリのムリ難題というか、『解くコトがデキないモンダイ』におもえてしまいます」

「モチロン、コチラが意図したり、期待する方向にたいして、かくじつに誘導し、うごかす。というコトなんて、ゼッタイに出来やしないよ。

 だからまあ、もしかしたら、そういう方向やカタチに、あいてがじぶんの意思やかんがえで、うごいてくれるかもしれない。という淡い期待を持つ。というレベルのコトだよ」

「淡い期待ですか」

(しかし、ソウなると、ナンといえばいいのか、なおさら無理難題に聞こえるんだけれども)

「資源も、カネも、じんざいも、たいした量もキボも持っていないオレたちとしては、今げんざい、十分に保有しており、さらに、ラクにカンタンに手にいれるコトを使う。っていうのが、げんじつ的にかんがえてみて、一番ムリがナイとおもう」

「ちなみにソレは、一体ナンなんですか?」

「第3地区にかんする情報・じじつだよ」

(第3地区にかんする情報・じじつ?ソレが一体、ナンになるっていうんだ?)

 藤柴は内心、このようなギモンを持ったのである。だがしかし、ダンダンと、徳吉の意図するコトがわかってきた。

「ソウか、いわれてみると、コレは有効的で、効果的かもしれませんね。ニンゲンは、じぶんがつよいフヘイ・フマン、怒りを持っている対象・あいてのコトは、くわしく知りたい。とかんがえます。

 ニンゲンが、つよい興味・関心を持つのは、ほとんどのばあい、大スキな対象・あいて・モノゴトか、あるいは、その正はんたい・まぎゃくで、大キライな対象・あいて・モノゴトですからね」

「ソウなんだよね。ニンゲンは、無関心な対象・ニンゲン・モノゴトのコトだったら、知りたいとはおもわない。

 でも、良くも悪くも、つよい関心・興味を持っているコトだったら、もっとろこつにいうと、大スキか、あるいは、大キライな対象・ニンゲン・モノゴトについては、良くも悪くも知りたい。とおもってしまう。

 大キライといったけれど、もっというと、憎悪、ウラミをいだくような対象・ニンゲン・モノゴトであれば、なおさらニンゲンは、くわしく知りたいとおもうダロウし。そういう欲求がつよいとおもう」

「今のこの国の政治体制や統治機構にたいして、つよいフヘイ・フマン、怒りを持っている。というコトは、大キライであり、憎悪、ウラミを持っている。ともいえますね。

 たしかに、ニンゲンは、じぶんが大キライで、つよい憎悪・ウラミを持っているニンゲン・対象にたいしては、『いつか、復讐してやりたい』だとか、あるいは、『アイツは今、どういう状態なんダロウか。ツラク・くるしい目に遭っているとウレシイ』とおもいます。つまり、そのニンゲン・あいて・対象のコトを、くわしく知りたいとおもってしまいます。

 もっとろこつにいうと、チャンスや機会があれば、復讐をしたい。だから、あいてのコトを、くわしく知っておきたい。

 だとか、もしもあいてが、ツラク・苦しい目に遭っているんだったら、『ザマアみやがれ』とおもって、そして、『あいつが苦しんでいるサマ・ようすを、もっとくわしく知りたい』と、かんがえるでしょうし」

「今のこの国の政治体制や統治機構にたいして、つよいフヘイ・フマン、怒り。あるいは、つよい憎悪、ウラミを持っているニンゲンであれば、体制がわの情報・じじつを、すこしでも知りたいと、つよくおもっていても、けっしてフシギではナイ。

 でも、おそらくカレら、カノジョらは、第3地区以上の地区にたいして、ほとんど接点を持っていない。だから、体制がわの情報・じじつを、手にいれる方法やルートが、まずナイとおもう。でも、われわれはちがう」

「おっしゃるとおりですね。末端とは言っても、腐ってもわれわれは、第3地区からの出先機関ですし。ソレに、われわれには、第3地区に、桂さんがいます。

 だから、第3地区にかんする情報・じじつを、つまり、今のこの国の政治体制や統治機構にかんけいした情報・じじつを、合法的に手にいれるコトがデキます」

「そのとおり。そして、われわれはソレを、まあムリのない範囲でつたえたり、ながすコトがデキる」

「ちなみに、どういうルートというか、方法でながすんですか?」

「足元からだよ」

「足元ですか?」

 藤柴はいっしゅん、徳吉が、ナニをいおうとしているのかが、良くわからなかったのであるが、すぐに察した。

「ナルホド、われわれが傘下・配下にいれた勢力のニンゲンにながす。というワケですね」

「そのとおり。われわれの傘下・配下だから、すぐに会うコトがデキるし、シゴトのハナシのながれで、ソレとなく、ムリなく、第3地区にかんする情報・じじつを、あいてにしらせたり、つたえるコトがデキる」

(でもソウなると、ソレはあくまでも、われわれの傘下・配下にたいしてダケしか、しらせたり、つたえるコトがデキないんじゃないのか)

 と、藤柴は、こうおもったのであるが、すぐに悟った。

「あ、ソウか。先ほどのハナシで、ちがう勢力のニンゲン同士であっても、おたがいに、ナニカのカタチで接触し、接点を持ち、つながっている可能性がある。

 だからこそ、この土地では、各勢力同士でのトラブル・モンダイ・モメゴトの数がすくないし、そのキボもちいさい。という想定でしたね。

 コレがあたっているんであれば、今げんざい、接触方法を持っていない、ほかの勢力にたいして、コチラから、イチイチ接点をさがしたり、接触しようとせずとも、傘下・配下の勢力のニンゲンにたいして、情報・じじつをしらせ、つたえるダケで、ほかの勢力のニンゲンにたいしても、しらせたり、つたえるコトがデキそうですね」

「こういう状態は、フツウにかんがえてみれば、コチラのグループの内部情報・じじつが、ほかの勢力にたいして、漏洩してしまう。というカタチになる。だからまあ、フツウにかんがえてみれば、けっして良いコトではナイ。

 だけれども、そういうコトを、あえて放置するというか、逆手に取ってしまう。というワケだよ。使えるモノは、すべて使い、利用するコトがデキるモノは、すべて利用する。とでもいえばいいのか」

(ナンというか、ヤッパリこのヒトは、合法的なサギ師というか、策士というか。とんでもないコトをおもいつくヒトだ)

「では、さっそくコチラが持っている、第3地区以上の地区にかんする状態・じじつを、もっというと、今の政治体制や統治機構にかんする情報・じじつを整理しますね」

「ヨロシクたのむよ。そして、ソレがデキたら、コレを基にして、どういう情報・じじつをつたえたり、ながすのか。というコトを、検討しようとおもう」

「了解しました」

(まったくもって、このヒトは、策士として極まっているというか、政略の権化のようなヒトだ)

 藤柴は、資料を整理するために、この場を立ち去った。

エピソード⑤完結です

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