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0と1

(アレ?コレってもはや、とくていの地域・ばしょだけに限定しているとはいえ、『われわれ自身が、この地域・ばしょを統治する』というカタチになるんじゃないのか?)

「徳吉さんの想定や想像が、もしもホントウに、じつげんしたとしたら、ソレってもはや、われわれ自身が、一種の統治機構になるといえませんか?」

 藤柴がこう聞くと、徳吉は、すこしニヤリとわらった。

「さすがだね、ソレに気がつくとは。世のなか・しゃかい・セケンは、どうやら、『システムをつくったニンゲンが、つよいチカラというか、影響力をもたらす』と、オレはおもっている」

「システムですか」

「ソウ、システム。いいかたを変えれば、場というか、カンキョウといってもいい。そして、『そのシステム、場、カンキョウにたいして、一定数のニンゲンが、ソレにたいして参加をする』というのか、より効果的だとオレはおもう」

「参加するニンゲンがおおいほど、そのシステムは、よりたくさんのニンゲンにたいして、つよい影響力をあたえるカタチになる。

 つまり、『そのシステムをつくり、そして、管理しているニンゲンは、たくさんのニンゲンにたいして、影響力をあたえるコトがデキる』と、こういうワケですか?」

「そのとおり、リカイがはやくてたすかるよ。そもそもの前提として、システムっていうのは、参加しているニンゲンとしては、そのシステムにたいして従うひつようがある。でなければ、プラスを手にいれるコトがデキない。

 そしてコレは、いいかたを変えれば、『参加者は、システムをつくり、管理しているニンゲンにたいして、さからうコトがデキない』というカタチになる」

「となると、この密貿易という行為を司るシステム、場、カンキョウを、コチラが整備して、かつ、管理するという立ち位置・たちばなら、参加者は、コチラにたいして従わざるをえない。そのリユウ、ひつよう性がでてくる。

 もしも、はんたい・ていこうすれば、そのシステムにたいして、参加するコトがデキなくなる。つまり、じぶんがはいじょ・ついほうされる。というリスク・キケン性がたかまる。コレでは、プラスを手にいれるコトはデキない。

 密貿易という行為は、たしかに、ソレなりのリスク・キケン性があるけれども、ソレに見合うだけのプラスのリターンもある。だからこそ、コレをおこなうニンゲンが、後を絶たない。

 もしもコチラが、この密貿易という行為を司るシステムを掌握し、管理するコトがデキれば、ソレは、『参加しているニンゲンにたいして、コチラが、つよい影響力を持つ』というカタチになる」

「そういうカタチになると、ナンていうか、『われわれが、この密貿易という行為がおこなわれている場を支配し、統治する』というカタチになりますね」

「統治者になる。といってもいいかもしれない」

「統治者ですか」

(ナンだか、『情報収集・分析をしたり、超業務の効率化をおこなう』という性質のそしきから、カナリ飛躍するようにおもえるが)

 こうかんがえてから、藤柴はハッとした。

(ソウか、この人は、今の統治機構・政治体制にたいして、つよい怒り、フヘイ・フマンを持っているんだった。こういうキモチ・感情を、今までずっと、持ちつづけてきた。

 11年以上も、過酷な強制ろうどう施設にいて、キツイ強制ろうどう、だんあつをうけても、ココロの奥ソコでは、そのキモチ・感情っていうものを、ずっと持ち続けてきた。

 そしてソレは、今げんざいも、つよく持っているんダロウ。だからこそ、オレたちにたいして、積極的に協力し、参加をしているんだった)

 こうおもうのと同時に、

(個人の私有財産をデータ化するコトで、個人のじゆう・権利がめいかく化し、そのコトが、今の統治機構、政治体制というものを、いずれは突きくずし、変えるコトがデキるかもしれない。

 と、このヒトはかんがえたが、ソレだけにとどまらず、さらにプラスアルファのコトも、おこなおうとしているんダロウか)

「徳吉さんは、やはりホンキで、今の統治機構・政治体制っていうものを、突きくずして、変えたいんですね。そのコトを、今あらためて気づかされましたよ」

「おおげさだなあ」

「イエ、コレは本心ですよ。というか、あらためて関心しました」

「モチロン、万事すべてが、スムーズにススムようなコトはありえない。そんなハズはナイ。でもまあ、ちいさな穴くらいなら、開けるコトがデキるかもしれない」

「穴ですか」

「ソウ、穴。風穴といってもいいか」

「ソレは、まえにおっしゃった、『おおきなフネ、タンカーでも、ちいさな穴があれば、ソコから海水が侵入して、やがては水没する』という表現にも通じそうですね」

「まあソウなるね。ナニゴトも、さいしょのイッポはちいさい。でも時間が経つほど、その穴はおおきくなる。というコトは、往々にしてありえる。

 おそろしく頑丈で巨大なダムであっても、ちいさな亀裂がはいり、ソコから水が噴きだせば、やがて、たかい水圧で亀裂が巨大化して、巨大なダムが決壊してしまう。というコトは、十分にありえる。

 この密貿易をシステム化して、場やカンキョウを管理する。というコトは、『たかい水圧のあるトコロに、ちいさな穴や亀裂をいれる』というコトに、似ているかもしれない」

「たしかにソウですね。たかい水圧があれば、たとえちいさな亀裂や穴でも、巨大で頑丈なダムを、決壊させるコトはありえます」

(ん?たかい水圧?)

「つまり、徳吉さんは、この貿易にたいして、たかい水圧がある。というコトが、おっしゃりたいワケですか?」

「たかい水圧といったが、たかい需要がある。といったほうが、正確かもしれない」

「たかい需要ですか」

「ソウ、需要。この第4地区は、とてもまずしい。というか、この国自体、あっとう的にまずしいニンゲンがおおい。第3地区に住んでいるニンゲンも、やはりまずしい。

 第2地区に住んでいるニンゲンは、多少はせいかつにヨユウ・ゆとりがあるが、ソレでも裕福とまではいかない。ナントカたべていけている。というレベル・ていどダロウね。

 こういう、『まずしいニンゲン、びんぼう人が、あっとう的におおい』という状況では、『ガイコクとの貿易や交流にたいして、潜在的に、たかい需要がある』というコトが、いえるかとおもう」

「たとえちいさなキボであっても、密貿易をシステム化して、チャント管理するコトがデキれば、その潜在的にそんざいする、たかい需要にたいして、効果的なシゲキになる。というワケですか?」

「そのとおりだよ。まずしい状況っていうのは、ヤッパリ、『貿易や交流がほとんどナイから、そういう状況に陥っている』と、オレはおもう。

 貿易や交流っていうものが、きびしく制限されていると、しぜんとケイザイは停滞する。上向くコトがナイ。つまり、まずしいニンゲンがおおくなる。

 モチロン、貿易や交流が盛んになって、かっぱつ化して、ケイザイが発展したトコロで、全員がユタカになれるワケじゃない。全員が全員、皆が皆、ケイザイ的にユタカになれるチカラが、つまり、さいのう・のうりょく・才覚があるワケじゃない。だから、貧富の差は拡大するダロウね。

 でも、今げんざいの状況では、ぜんたいのケイザイ自体が停滞している。だから、全員がまずしい。という状態になっている。

 コレにたいして、つよい怒りだとか、フヘイ・フマンを持っているニンゲンは、カナリおおいんじゃないかと、オレはおもっている」

「ナルホド。たしかに、『びんぼう・貧しさを良しとして、よろこぶ』っていうタイプのニンゲンは、すくないハズですし」

「全員が貧しい、びんぼう。という状況よりも、『多少は貧富の差があっても、ユタカになれて、せいかつが向上する』という可能性のある状態のほうが、オレとしては、まだマシな状態だとおもう」

「そういうコトを、のぞんでいて、もとめ、期待しているニンゲンは、潜在的に、たくさんいるとおもわれる。

 というコトは、『潜在的に、つよい需要がある』という可能性がたかい。コレはつまり、『潜在的に、たかい水圧がそんざいしている』と、こういう解釈で良いしょうか?」

「ソレで合っているよ」

(ちいさな穴やと亀裂かもしれないが、たしかに、徳吉さんのいうとおり、世のなか・しゃかい・セケンだとか、今の統治機構・政治体制にたいして、おおきな影響をあたえるかもしれないか)

「ソレに、もしもホントウに、たかい水圧があるんだったら、ソレこそ、オレたちがやろうとしている、『個人の持っている私有ざいさんをデータ化して、めいかく化し、ハッキリさせる』というコトも、今よりススムかもしれない。このふたつは、密接にかんけいし、かかわっているワケだから」

「個人の私有ざいさんのデータ化、めいかく化がススム。ですか?」

(密貿易のシステム化や管理と、この件が、一体ナゼ、カンケイがあるんだ?このふたつは、まったくの別件じゃないのか?)

 藤柴は一瞬、徳吉のいっているコトを、リカイするコトがデキなかった。だがしかし、すこしかんがえてみると、ナットクしてしまった。

「ナルホド、たしかにおっしゃるとおりですね。密貿易とはいえ、ガイコクとの貿易が、今よりも盛んにおこなわれて、ケイザイがシゲキされて、ケイザイ的に発展し、ユタカになれば、たくさんのニンゲンが、おそらく、『じぶんの持っている資産、財産を、今よりも、さらに増やしたい』とかんがえます。

 というコトは、コレは、いいかたを変えれば、『じぶんが今げんざい、どれだけの資産・さいざんを持っているのか。チャントはあくして、知っておきたい』と、こうかんがえるハズですし」

「ソウなんだよ。ニンゲン、今よりもユタカになれる。という状態になれば、しぜんと欲がシゲキされる。

 となると、今よりも、さらにふやしたい。とかんがえるダロウし、ソレと同時に、『じゃあ、じぶんは今げんざい、一体どれだけの資産・ざいさんを持っているのか』というコトを、チャントはあくして、しらなければならない。ソウでなければ、ケイザイ的にユタカになるコトなんて、デキるワケがない」

「ニンゲン、たにんから、『アレをヤレ』、だとか、『ああしろ、こうしろ』といわれたり、上から強制的にめいれい・指示したトコロで、なかなか賛同しませんし、ナットクもしません。

 でも、ほんにんの欲をシゲキするコトがデキれば、ほんにん自身が、じぶんの意思で、ソレをやりますからね」

「小キボとはいえ、ガイコクとの貿易や交流っていうものが、今よりも盛んになれば、ソレによるメリット・りえき・プラスを、手にいれるニンゲンの数はふえる。そして、ケイザイが発展し、活性化する可能性がたかい。

 こういう状態になれば、今よりも、すこしはユタカになるニンゲンが、でてくるとおもわれる。ソウなると、今のように、『全員が全員、皆が皆、まずしい状態』というワケにはいかなくなる。

 じぶんのケイザイ状態・せいかつ水準が、今よりも上向く可能性が、すこしでもある。かつ、ソレをかんじるコトがデキれば、欲がシゲキされる。とくに、優秀で有能なニンゲンであるほど、ソレにたいして気がついて、敏感になるダロウね」

「たしかに、優秀で有能なニンゲンであるならば、フツウのニンゲンよりも、チャンスや好機っていうものに敏感で、すぐに察知して気がつくでしょうから」

「こうするコトで、『じぶんの持っている私有ざいさん・資産を、チャントはあくして、知っておきたい。そして、可能であるならば、ソレをふやしたい』という欲を持って、ソレを促進したいとかんがえるニンゲンが、一定数はでてくるかもしれない。

 そういう状態になれば、この今のフザケタ統治機構・政治体制っていうものに、すこしは風穴というか、亀裂をいれるコトがデキるかもしれない」

(イヤ、すこしどころじゃナイかもしれない。どうやらこのヒトは、ホントウに、今の世のなか・しゃかい・セケンを嫌っており、変えたいとおもっているんダロウ)

「おっしゃるとおり、さいしょは小キボで、ちいさな風穴や亀裂かもしれませんが、でも、もしかしたらホントウに、世のなか・しゃかい・セケンを、つまり、今の統治機構・政治体制っていうものを、突きくずすキッカケになるかもしれませんね」

「アリの一穴っていうヤツだね」

「ちいさなコトがキッカケになって、おおきな状態のへんかをもたらす。というワケですね」

「ちいさなタネであっても、ながい時間が経てば、おおきな木に育つ。といってもいいダロウね。まあタネを蒔いてみたトコロで、芽がでないかもしれないし、あるいは、芽吹いたとしても、おおきく育たないかもしれない。

 でも、アタリマエのコトだけど、そもそもの前提として、タネを蒔かなかったら、芽がでるワケがナイし、おおきく育つコトもありえない」

「徳吉さんのおハナシを聞いているかぎり、ワタシには、うまくいく可能性や確率が、カナリたかいとおもえますよ」

「だといいんだけれどね。でもまあ、やってみる価値はあるとおもう」

「ソレは賛成です。おっしゃるとおり、タネを蒔かなかったら、芽がでるワケはナイですし、おおきく育つコトもない。つまり、ゼロはあくまでも、ゼロのままですから」

「ゼロは、あくまでもゼロであって、ソコにはナニもない。でも、ちいさな1でもあれば、その1をおおきくして、ふくらまして、10にするコトがデキるかもしれない。

 オレとしては、そういう可能性があるのならば、そして、リスク・キケン性がすくなくて、ひくいのならば、ソレをおこなうベキだとおもう」

「徳吉さんほどではナイかもですが、ワタシも高井も、今の統治機構・政治体制っていうものは、大キライですし。ナンとかして変えたい。とおもっています。だからこそ、こうして第4地区で、かつどうをしているワケですから」

「ソレはココロづよい」

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