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自発的

 そのないようは、「第4地区の一部において、今まで発症したケースがナイかもしれない、あたらしい感染症が、流行りだしたかもしれない。

 以前、無料の医療サービスの提供で、何度も診断にやってきたニンゲンのなかで、何人かは、コチラで採用して雇っている。そして、その採用したニンゲンが住んでいる地域の近くでも、びょうきが流行りだしている。

 さらには、土地カンのある、あたらしく入ったメンバーに、現地でのちょうさを依頼しようとしている。そして、このときに、ナニカ注意点があれば、おしえてほしい。

 追伸、この第4地区にかんする資料も増えましたので、またコチラにきた際に、よろしければご覧ください」というイミの文面であった。

 この文面を読んだ藤柴は、すこしギモンにおもった。

(一番肝心なコトが、書いてナイようにおもうんだけど)

「あの、この文面では、医者にたいして、コチラにやってきてほしい。そして、可能であるならば、びょうきのコトをしらべて、患者を診てほしい。

 というコトが、まったく書いてナイんですが。コレでは、コチラにやってきてくれないんじゃないですか?」

「たしかに、一番肝心なコトは書いていない。でも、ソレを書いたトコロで、ホントウに、やってきれくれる保証はナイ。ナンセ、無報酬なんだから。

 もしもソレを書いて、あいてに断られると、ナンていうか、あいてもコチラにたいして、微妙な気持ちになりかねない。

 ソウなると、今後のニンゲンかんけいが微妙になる。しょうじきなトコロ、医者たちとのかんけい性は、良好にしておきたい。

 ヘタにろこつに依頼をして、あいてがイヤがって断られると、つぎの無料の医療サービスを依頼するときに、たのみにくくなる。あいても、つぎから来てくれないかもしれない。

 短期的な目先のりえき・プラス・トクのタメに、長期的なプラス・りえき・トクをうしなうっていうのは、可能なかぎり避けたい。

 カナリ極端なハナシをすると、こんかい、オレたちは、そうだん者にたいして、『かくじつに医者を派遣する』というコトは、モチロンいっていない。コレがじつげんする保証はナイからね。

 だから、医者がやってこなかったとしても、ソレはソレで、しかたがナイ。そうだん者にたいしても、十分に言いわけは立つ」

「たしかにソウですね。ダメ元での依頼ですし。依頼をした。という行動をおこしたダケでも、いちおう、誠意は見せた。というコトでしょうか?」

「そういうコトになる。とはいっても、ヤッパリ、きてくれるなら、ソレに越したコトはナイ」

(ナンだかチグハグで、むじゅんしたハナシになっている気もするけど)

 徳吉のいいたいコトが、よくわからず、うまくリカイするコトがデキず、藤柴は、だまってしまった。そのようすを見て、徳吉がハナシをはじめた。

「ゴメンゴメン、チョットせつめい不足だったか。ろこつに、ストレートに依頼するワケにはいかない。でもかといって、来てもらうほうが良い。

 となると、『むこうが自発的に、じぶんの意思で、みずからコッチにやってくる』というカタチにするのが、まあベストに近いとおもう。

 だから、あえて遠まわしに、婉曲なカタチで、『あいてがコッチにたいして、やってきてくれるかもしれない』という確率・可能性を、すこしでも上げておきたい。

 と、こういうカタチの文面で、あいてにたいして依頼をするコトにする。となると、『ハッキリと、タダできてください』とはいえないから、『あいてが興味・関心を持っているかもしれないコトを、すこし匂わせる』という意味合い、解釈の文面にしたツモリだよ」

「匂わせる。ですか」

「ソウ、モチロン、コレが成功するっていう確証だとか、勝算はナイけどね」

「あたらしい未知の症状のびょうきが発生した。という記載と、文面のさいごにある、第4地区にかんする資料がふえたので、よろしければ、ソレをご覧ください。というトコロが、ソレにあたるワケですか?『あいての知的な好奇心、ちしき欲を刺激する』というイミかとおもうんですが」

「ソレもあるけれども、ソレだけじゃナイよ」

「といいますと?」

「この文面では、まえの無料の医療サービスの提供のときに、何度もやってきた、優秀で有能なニンゲンを、コチラが雇った。

 そして、『この土地カンのある優秀で有能なニンゲンに、現地でのちょうさを依頼しようともう。だから、アドバイスがあれば、おしえてほしい』と書いている。

 コレも、もしかしたら、『あいてが自発的に、じぶんの意思で、コチラにたいしてやってくる』というコトに、効果があるかもしれないとおもっていてね」

「効果、ですか」

(どういうイミだ?コレに一体ナンの効果があるんだ?)

「優秀で有能なニンゲンを、コチラで雇った。そして、土地カンがあるから、現地にたいして派遣して、ちょうさを依頼する。

 コレは、医者からしたら、じぶんたちが見つけた、すぐれたニンゲンを、コチラがチャント雇った。だから、医者からしたら、『じぶんたちが見つけた優秀で有能なニンゲンを、チャント評価している』と、コチラにたいして、恩を感じるかもしれない。こういう効果を期待しているんでしょうか?」

「ソレも、あるかもしれないけれど、ソレだけじゃないよ」

(どういうコトだ?イミがサッパリわからん)

「チョットと遠まわしで婉曲だけれども、もしかしたら、医者が、『このままではマズイ』と、おもってくれるかもしれない。こういうキモチになるのを、チョットだけ期待している」

「このままではマズイ、ですか。つまり、一種の危機感を持たせる。というコトですか?」

「危機感とまでいうと、チョット大げさになるけど、ザックリとした概略でいうと、ソレであたっているよ」

 あいかわらず、怪訝そうなカオつきをしているのを見て、徳吉は、くわしくハナシをはじめた。

「医者からしたら、何度も診療にやってきた、すぐれたニンゲンっていうのは、たぶん、じぶんと似たようなレベルのずのう・のうりょく・さいのうを持っている、一種の同類。とでもいうような感覚を持ったと思う。

 だからこそ、何度やってきても、イヤなカオをせず、むしろ、あいてのほうもんを、ウレシイとさえおもい、あいてとのハナシ、かいわをたのしんでいた。

 おそらく、カレら医者たちも、『すぐれているがゆえに、まわりのニンゲンたちとは、ハナシが合わず、コミュニケーションがとれない』というケースがおおいとおもう。

 だから、フダンからすこし、こどく感、こりつ感っていうものを、かんじている可能性・確率がある」

「そういう想定ですよね」

「ソレで、この想定があたっているとしたら、この文面を読んだときに、『じぶんたちと、似たようなレベルのニンゲンが、未知の症状を持った、未知のびょうきがまん延しているばしょに、派遣される』というカタチになる。

 そして、このニンゲンたち、つまり、医者の同類たちは、アタリマエのコトだけど、びょうき、病状や症状、クスリにかんする情報・ちしきを持っていない。

 そういう、いわばキケンなばしょに、じぶんと似たようなレベルのニンゲンが、無知な状態のまま派遣される。

 となれば、『このままではマズイ、せっかく見つけた、じぶんと似たようなレベルのずのう・のうりょく・さいのうを持った、貴重なニンゲンが、つまり、じぶんたちと同等の知的レベル・ずのうレベルを持っている、希少なニンゲンが、びょうきに感染してしまうじゃないか。コレは止めなければ』と、かんがえるかもしれない」

 こういわれて、藤柴はハッとした表情をした。

「たしかに医者たちも、たかい知的レベル・ずのうレベルを持っているタメに、まわりのフツウのぼんじん、いっぱん人、バカとは、ほとんどハナシが合わない。

 そして、この国では、高等教育期間がすくないから、じぶんと似たようなレベルのニンゲンが、一カ所にあつまり、たくさんいるカンキョウ・ばしょ・機関がすくない。

 だから、第3地区であっても、ハナシが噛みあって、うまくコミュニケーションが取れるようなニンゲンが、すくなくなる。つまり、こりつ感、こどく感をかんじやすい。

 ソコで、たまたまやってきた第4地区で、じぶんと似たようなレベルのニンゲンと、運よく出会うコトがデキた。

 だったら、このニンゲンにたいして、一種のナカマいしきや、同類という感覚を持ってもオカシクはナイ。

 だから、この文面を読んだときに、あるていどは興味・関心を持つ。というワケですね」

「そのとおり」

(ん?でも、この想定だと、『コチラが土地カンのある、すぐれたニンゲンを派遣をするときに、医者たちは、ソレを止めるかもしれない』というカタチになる。ソレだと、ハナシがまえにすすまないんじゃないのか?)

「しかし、徳吉さんの想定では、『すぐれたニンゲンを、現地にたいして派遣する。というコトを、医者が止めるかもしれない』というカタチになるワケですよね。

 ソレでは、『医者をコチラに呼ぶ』というカタチにならず、もくてき・ねらい・意図のたっせい・じつげんが、デキないとおもうんですが」

「もしホントウに止めてきたら、ソウなってしまうけれども、『あいてへのれんらくが、一回しかダメ』というルールはナイよ」

「一回だけ?ソレは一体どういう」

 藤柴はこういいかけて、ハッとした。

「ナルホド、あいてがコチラにたいして、もしも止めてきたら、『でも、ニンゲンを派遣しないと、ちょうさがデキない。地元のニンゲンから、そうだん・陳情をうけている以上、無視はデキない』とかいって、コチラから医者にたいして、『では一体、どうしたらいいでしょうか?』と、ぎゃくに対策・たいおう策をしつもんする。というワケですね」

「そういうコト。あいてとしても、『じぶんがヤメろ』といった以上、『じゃあ一体、どうすればいいのか』というカタチで、ぎゃくに聞かれ、しつもんされれば、ナニカしらのカタチで、たいおう策・対策をいわなければならない。そういうギムが発生する。つまり、『ぐたいてきな代案を、いわなければならない」というギムが発生する。

 でも、シロウトがびょうきの診断、症状や病状のちょうさなど、できるワケがない。となると、医者としては、『じぶんが、シロウトを派遣するのはヤメろ』といった以上、無視するワケにもいかず、ぐたいてきな代案もあるワケがない。

 だから、『じゃあ、じぶんがいくベキか』と、かんがえるかもしれない」

「そういうカタチに、ハナシを持っていくコトがデキれば、たしかに、『医者がみずからの意思で、自発的に、コチラにやってくる』というカタチにデキる。となるワケですね」

「そして、コレはあいてが、自発的に、じぶんの意思でやってくる以上、コチラとしては、『あいてにたいして、ムリ筋のおねがいごと、依頼をしている』というワケじゃナイ。そういうカタチにはならない。

 だから、あいてとのかんけい性が悪化したり、微妙になるワケではない。となれば、次回の無料の医療サービスについても、ハナシをしやすい」

(このヒトはホントウに、ニンゲンの心理というか、ココロを読むというか。無イシキのうちに、あいてをコチラの土俵に乗せてしまうトコロがあるな)

「もしも、このながれがうまくいけば、あいてとしては、『あくまでも、じぶんの意思、かんがえで、コチラにたいして協力し、じぶんからアクションをおこして行動をする』というカタチになりますね。

 たにんから、『やってくれ』だとか、『ヤレ』といわれてうごいたり、おこなうワケじゃない。ソウである以上、あるていどは真剣に、マジメに対処・たいおうし、積極的に取りくむとおもいます」

「ソウなるコトを、期待しているよ」


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