興味・関心
(あ、そうか)
徳吉は、あるコトにたいして気がついた。
「チョット待ってもらっていいかい」
「どうしました?」
「イヤ、念には念というか、もうすこし付けくわえた方が、もしかしたら、効果があるかもしれない。とおもってね」
「つけくわえる、ですか」
(一体ナニを?)
「スミマセン、一体ナニを追加するんでしょうか?ワタシとしては、もうコレ以上、追加すベキようなコトは、おもいつかないんですが。
第4地区にかんする情報で、一体どういうジャンルのコトを、付けくわえるんですか?」
「そういう意味じゃなくてね。第4地区にかんする情報については、さっきいったジャンルでいいとおもう。というか、コレ以上は、ナイんじゃないダロウか」
「ソウですね、もうコレ以上、追加すベキないよう・ジャンルとなると、チョットおもいうかびません。
でもソウなると、一体ナニを追加するんですか?先ほどのハナシで、医者たちの好奇心、ちしき欲を満たすために、資料をさがし、つくる。そして、その資料ないようのジャンルを、追加する。というワケではナイ。
こうなると、追加をするベキものっていうのは、もうナイんじゃないですか?」
「チョット、コトバ足らずだったね。資料のジャンルを追加する。というワケではなくて、あいての動機、リユウ付けの予測を追加したい。というイミだよ」
「あいての動機、リユウ付けの予測ですか?」
(一体ナニを言っているのか、イミがサッパリわからん)
怪訝なカオをしている藤柴を見て、徳吉は、ハナシをつづけた。
「ゴメンゴメン、チャントせつめいをするベキだね。医者たちが、無料での医療サービスの提供にたいして、協力的だったのは、『じぶんの知的なよくぼう。つまり、好奇心・ちしき欲を、満たすためダロウ』っていうのが、まあ予測というか、仮説になるワケなんだけど。
でも、もしかしたら、途中の時点・だんかいで、ソレ以外の動機・りゆう付けも、追加したんじゃないかとおもえてね」
「途中から、ほかの動機・りゆう付けが、追加された。ですか」
(ますます、ワケがわからん)
「ソウ、途中から」
「ナゼ、そのようにおもうんですか?」
「まえ、ココにやってきた医者の伊藤さん、おぼえてるかい?」
「ハイ」
「その伊藤さんから、『診断はおわったのに、何度もやってくる患者がいる』と、こういうハナシを聞いた。
そして、『その患者たちは、ナンでわざわざ、何度も診断にやってくるのか』というコトが、ギモン点としてうかんできた」
「ソウでしたね。ソコから徳吉さんは、その患者たちが、じつは、カナリ優秀で有能なニンゲンじゃないダロウかと仮定した。
そして、そのすぐれたカレら、カノジョらは、フダン、じぶんと似たレベルのニンゲンたちと、会うコトがデキない。だから、こどく感、こりつ感を、いだいているんじゃないか。
ナニセこの地区には、マトモな教育機関もなければ、図書館もナイ。だから、ちしき欲を満たすコトもデキない。
そのために、『すぐれた知的レベル・ずのうレベルを持っており、さらに、せんもん的で高度なちしき・情報を持っている医者と、ハナシをする』というコト自体がたのしくなり、コレをもくてき・動機にして、何度もやってくるのではないか。と、こういうハナシのながれでしたよね。 そして、この仮説や想定を基にしたら、あたっていた。こうして、われわれは、優秀で有能なニンゲンをあつめて、呼びよせるために、桂さんにたのんで、第3地区から、イロイロな種類・ジャンルの本、資料を取り寄せて、じゆうに読めるばしょをつくった。
ソウしたら、コレに引きよせられるようにして、優秀で有能なニンゲンたちが、このジム所にあつまってきた」
「ソウ、だからカレら、カノジョらを、われわれは勧誘して、メンバーにいれた」
「ハイ、おっしゃるとおりです」
「そのときの患者たちからすれば、じぶんと似たレベルのニンゲンが、何人もあつまり、そんざいしている。というカンキョウ・ばしょがデキた。
だから、ナカマをもとめるように、ソレこそ、『類はトモを呼ぶ』というコトバのとおり、引きよせられ、吸いよせられるようにして、ココにやってきた。海にエサをまいたら、サカナが寄ってくるようにね。
こういうキモチは、もしかしたら、医者のほうも、おなじだったんじゃないか。とおもえてね」
「医者のほうも、ですか?」
「ソウ、医者たちもまた、第3地区において、じぶんのまわりに、似たようなニンゲンが、あまりいなかったんじゃないか。とおもえてね。
まあ高等教育機関であるダイガクにたいして進学し、ソコでまなんだワケだから、センパイ・同級生・後輩と知り合ったハズだし。ソレに、おなじ医者同士でのかかわりあい、ツナガリもあるダロウから、『じぶんのまわりに、似たようなニンゲンが、ひとりもいない。つね日ごろから、ひとりでいる』っていうほどじゃナイとはおもうけど。
だから、第4地区にいる優秀で有能なニンゲンほどには、こどく感、こりつ感は、つよくナイとはおもう。
でもヤッパリ、そもそも、たかい知能を持っているニンゲンは、ゼッタイ的に数がすくない。だから医者たちも、フダンから、こどく感、こりつ感っていうものを、フツウのニンゲンよりは、つよく持っているんじゃないダロウか」
「ナルホド、ソウいわれると、たしかに、ソウかもしれませんね」
「ソレで、まえに伊藤さんにたいして、『何度もやってくる患者は、シゴトのジャマになり、めいわくにならないか』と聞いてみたら、『そんなコトはナイ。むしろ、コチラもハナシをしていてたのしい』というイミのコトをいっていた。
コレはつまり、やってきた患者だけではなくて、医者のほうも、じぶんと似たレベルのニンゲンたちと、何人も会えて、ハナシをするコトがデキて、たのしかったんだとおもう。『ウレシイからこそ、めいわくをかんじなかった』というコトなんダロウ。
こうかんがえてみると、医者のほうも、『じぶんと知的レベル・ずのうレベルが似ているニンゲンと会えて、かかわれた』というコトで、ソレほどイヤではなかった。
そして、もしかしたら、そういうじぶんと似たレベルのニンゲンのコトを、気にかけているかもしれない。
まあ『一種のナカマのような感覚・イシキ』とまでいうと、チョット大げさかもしれないけど、ソレに近いような感情・キモチをいだいたとしても、フシギではナイ気がする」
「一種のナカマのような感覚・イシキ、ですか」
「ソウ、ほんらいだったら、まったくアカのたにんのハズだけど、『じぶんと似たようなレベルのニンゲンが、不遇な状態にいる』というコトにたいして、あまり良い感情・キモチは、いだかなかったんじゃないダロウか。
もしかしたら、『こういう優秀で有能なニンゲンが、可能であれば、チャント評価されて、すぐれたチカラ・ずのう・のうりょく・さいのう・才覚を、フルに発揮するコトがデキる状況にいてほしい』くらいのコトは、おもったかもしれない」
(ナニカしら、こんきょがあるワケじゃないが、せっとく力はあるかもしれない)
徳吉のコトバを聞いて、藤柴は、こうおもった。そして、無料での医療サービスをしていたときに、医者たちが、何度もやってくる患者にたいして、ワルイ印象や感情を持っておらず、ソレどころか、ときには、やってきた患者とのかいわを、たのしんでいた光景・ようすをおもいだしていた。
「徳吉さんの予想は、十分にありえるとおもいます。『じぶんと似たようなレベルのニンゲンが、不遇で、不公平、不平等なカンキョウにいる』っていうのは、フツウのニンゲンだったら、あまり良い気分・感情はもたないハズです。
というか、ヒトによっては、カナリ不ユカイになり、つよい不快感を持ってもオカシクはありません」
「ソウおもうかい」
「ハイ」
「だったら、ヤッパリ、医者への依頼をするときに、『何度もやってきた患者たちのなかで、一定以上のずのう・のうりょく・さいのうを持っており、かつ、じんかく・ニンゲン性などに、モンダイがナイ。とはんだんし、評価したニンゲンは、このそしきに入ってもらった』というコトも、さりげなくつたえておこう」
「ナルホド、ソウすれば、もしかしたら医者としても、コチラにたいして、好印象をいだくかもしれませんね」
「まあ、ソレを期待したい。そして、じぶんと似たようなレベルのニンゲンが、すこしは評価をされる状態になっている。そして、そのニンゲンたちが、こんかいの病状のまん延で、こまっている。というコトも、さりげなく追加しておこう。
このびょうきは、『まえにおこなった、無料での医療サービスの提供をキッカケに、あたらしく、このそしきに入ってもらった、カレら、カノジョらの住んでいる地域でも、まん延しだしている』というカタチで。
ソウすれば、もしかしたら医者は、『あの優秀で有能なニンゲンたちが、感染してしまうかもしれない』とかんがえて、チョットした危機感というか、『このままではイケナイ』とかんがえて、うごいてくれるかもしれない」
「あいてが、そういうキモチ・感情を持ってくれれば、もしかしたら、こんかいの感染症のちょうさ、診断、診療について、みずからの意思で、やってきてくれるかもですね」
「うまくいくかはわからないけども、可能性があるならば、すこしでも、その可能性を上げておきたい。
となると、『どういうカタチで、あいてにたいして依頼をするか』というコトが、たいせつ・重要になってくるか」
「どういうカタチ、といいますと?」
「ひらたくいうと、依頼するときの文章表現のコトだよ。たんじゅんに、『未知のびょうきが流行っているから、診てくれませんか?』というカタチにするんじゃなくて、あいてがコチラにたいして、すこしでも、興味・関心を持ってくれるような文面にしたい」
「興味・関心ですか」
「今までいった想定や予想っていうものが、カンゼンにハズレている可能性は、十分にあるワケだけども、あたっている可能性も、カンゼンに、ひていするコトはデキない。
オレはソウおもっている。だから、「もしかしたら、あいてが興味・関心を持っているかもしれない』というコトに、カンケイするようなコトも、文章の文面に、書いておくベキだとおもう」
こういうと、徳吉は、医者にたいして依頼をするときの文章をかんがえだした。しばらく経ってから、徳吉は、依頼文書の素案をさくせいした。




