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急病

 ナニゴトをおこなうにしても、「一番さいしょのキッカケ」というものは、カナリたいせつ・重要になるハズである。

 コレは、一番さいしょのスタート地点のコトである。ココを十分に気をつけないと、「後々まで、おおきな影響・拘束をうける」というケースが、カナリおおい。

 つまり、「一番さいしょのキッカケ・スタート地点」というものを、まちがえてしまうと、後々まで、ワルイ影響・拘束というものが、及んでしまいガチである。

 用心ぶかく、そして、慎重さを旨とする徳吉としては、「一番さいしょのキッカケ・スタート地点」というものを、デキるかぎり、そして可能なかぎり、ムリ・キケン・モンダイ・支障がすくないカタチで、つまり、リスクがすくないカタチで、おこなうベキだとかんがえていた。

(モノゴトが、まったくナンのキケン・モンダイ・トラブル・モメゴトもなく、すべてがスムーズに、あんぜんにススム。というコトなど、ゼッタイにありえない。

 イザじっさいに、ソレをおこなってみたら、じぜんの時点・だんかいで、まったく予想もしていなかった障害・こんなんが、ドコカにかならず埋まっているか、あるいは、発生してくるハズだ)

 と、つよい警戒心をいだいていた。コレは、今までのじんせいにおいて習得した、カレなりの処世術・じんせい訓であり、一種のケイケン則ともいえた。

(まして、いちおうタテマエ上は、ガイコクとの貿易や交流にたいして、禁止している政策がおこなわれている。

 だから、いくらココが第4地区とはいっても、あまり大々的に、オモテ立って、ハデにやるのはアブナイ、キケンな行為になるダロウ。

 となると、ヤッパリ、今はまだ、このコトについて、ナニカのアクションをおこすベキじゃナイか。行動するときじゃナイ)

 このようなコトを、ココロの片すみで、ヒッソリとおもっていたのであった。だがしかし、ナニゴトも、じぜんに予想したとおりにすすまないのが、世の常である。

 つまり、ミライというものは、じぶんが予想したり、想定したとおりにはならないのだ。そのコトを、徳吉は、あらためて、おもいしらされるコトになった。

 ある日のコトである、ジム所にたいして、駆けこんできたニンゲンがいた。

「スミマセン、チョットそうだんしたいコトがあるんですが」

 カナリあわてたようすで、ひとりのオトコが、ジム所にやってきたのである。

「どうしました?ナニカ、そうだんごとですか?」

「ハイ」

「ちなみに、どういうコトを、そうだんしたいんですか?」

 あわてたようすのオトコを見て、受けつけのニンゲンは、おちつかせようとして、一杯のお茶をだした。

「とりあえず、コレでも飲んで、すこし、おちついてください」

「アリガトウございます」

 ソウいうと、そのオトコは、そのお茶を、一気に飲みほしてしまった。

(一口で飲んでしまったぞ、このヒト。ナニをそんなに焦っているのか)

「まえにおこなっていた、お医者さんによる無料診断サービスなんですが、今はおこなっていますか?」

「イエ、あのサービスは、一旦おわりました。つぎにおこなうのは、まだ未定です」

「ソウですか」

「どなたか、急病の方がいるんですか?」

「ええ、まあ」

 このオトコは、どうにも煮えきらないように答えた。

(ナンだか、歯切れがワルイ)

 こうおもった受けつけのニンゲンは、どういうカタチで対処・たいおうをするベキか、すこしのあいだ、こまってしまった。

「ちなみに、無料の医療サービスの時期ではナイとして、たとえば、お医者さんを呼んでもらうコトは、可能なんでしょうか?すこしくらいならば、おカネをだせるかもしれません」

「お医者さんについては、第3地区にいらっしゃいます。ソコから呼びよせるとなると、すぐにデキるとはかぎりません。先方のつごうもありますし。

 ソレに、無料の医療サービス期間でない以上、やはり、おカネはでるとはおもいますが。わざわざ呼びよせるとなると、たかくなってしまうかもしれません。ちなみに、どういう種類のびょうきか、わかりますか?」

「医療についてはシロウトなもので、病名まではわかりません」

「ソレはモチロン、しかたのないコトです。でも、どういう症状がでてきるのか。というコトだったら、どうでしょうか?」

 このように聞くと、そのオトコは、症状のせつめいをはじめた。

(ハナシを聞くかぎり、軽症ではナイらしい。でも、医者を呼ぶコトがデキるかなんて、ワタシの一存では決めれないし、答えるコトもデキない)

「とりあえず、今お聞きしたコトを、上司にほうこくし、意見を聞いてみますね」

 受けつけのニンゲンは、藤柴のところに向かった。


「急病ねえ」

「ええ、ソウらしいです。症状を聞くかぎり、かるい症状にはおもえません。ですが、無料の医療サービス期間でもナイのに、第3地区から、医者を呼ぶコトがデキるかなんて、ワタシでは、はんだんがデキません」

「たしかに」

「どうするベキでしょうか?」

(そうだん者にたいして、ソレが、どういう種類のコトでも、あまり無下にしたくはナイ。今はすこしでも、この地区のニンゲンとのあいだで、縁やツナガリっていうモノを、つくっておきたい。

 だから、たいした対処・たいおうがデキないようなコトでも、いちおうは、あいての意見、いいぶんを、聞いておくベキか。そのほうが良いダロウ。

 ないようを聞いてみて、可能な範囲で、デキるかぎりのコトを、つたえたり、おしえたり、おこなう。っていうのが、げんじつ的に、ムリがナイか。

 たとえ、あいてのキボウ・要望・欲求を、叶えるコトがデキないにしても、『いちおう、デキるかぎりのコトは、おこなった』っていうカタチにしておくベキか)

「わかった。オレがいくよ」

 こういうと、藤柴は、そうだん者にたいして会いに行った。

「ワタシは医療のせんもん家ではないので、ハッキリとしたコトはいえませんが、おハナシを聞くかぎり、軽症ではナイようにおもえます」

「ソウですよね。患者を見ているニンゲンも、おなじ意見です」

「トコロで、一体いつごろから、そのような症状が現れたのでしょうか。たとえば、『いつごろから、どこの地域・ばしょで、何人が発症した』など、ナニカしら、おもいあたるフシはありませんか?」

「いえ、ソレはチョット、わかりません」

(ナンだか、歯切れがワルイな)

 目のまえにいるニンゲンが、ナニカを隠しているのではないか。とおもった藤柴は、たいおう策をかんがえていた。

「今まで、そういう症状の病人は、でたコトがあるんですか?」

「いえ、こんかいがはじめてです。何十年間も地元に住んでいるニンゲンも、はじめて見たといっています」

(あまり無下にするワケにはいかないが、かといって、ヘタにゲンバに行って、コチラが感染してもこまる。ヤッパリ、せんもん家に診てもらうしかないか。

 とはいっても、今げんざい、医者は全員、もうすでに、第3地区に帰っている。ソレに、無料で医療サービスをしてもらう期間は、もうおわってしまった。カネをだしてまで、医者を呼ぶベキなんダロウか)

「どうでしょうか、お医者さんを派遣してもらうコトは、デキないでしょうか?」

「今げんざい、この第4地区には、もうすでに医者はいません。第3地区に帰ってしまっています。ソレに、コチラが呼んでみたトコロで、ホントウに来てくれるかどうか、まったく保証はありません。

 カレらにも、じぶんのシゴトがあるでしょうから。ソレに、おカネもかかるかもしれません。ソレも、いくらかかるか、検討もつかないんです」

「ソウですか」

 そうだん者は、失望したようなカオつきになった。

「とりあえず、第3地区にたいして、事情をせつめいします。そして、医者を派遣するコトがデキるかどうか、聞いてみますね。返答があり次第、コチラかられんらくをします。ですので、お名前、れんらく先、ご住所をおしえてください」

「わかりました」

 こういうと、そうだん者は、じぶんのナマエをつたえた。名を「丹羽」といった。そして、れんらく先と住所を書いて、藤柴に渡し、帰っていった。

(この住所は、たしか、すこしまえに徳吉さんが、本田くんのあんないで、現地を見に行ったトコロに近いか)

 こうおもったあと、ふと藤柴は、徳吉が、このゲンバを見に行ったあとに、妙にこの地区のコトを気にしており、「ナニカ資料がないか、情報がないか」というコトを、藤柴にたいして聞いてきたコトを、おもいだしたのである。

(ソウいえば、まえに徳吉さんは、本田くんのあんないで、あの地区を見に行ったあと、妙にこの地区について、アレコレと聞いてきた。

 オレにたいしても、ナニカ資料や情報がないか。あるいは、気になるコトはないか。と、聞いてきたっけか。

 そして、『この地区にかんするコトで、ナニカあたらしい情報・じじつが、もしも手に入ったときは、どんな些細なコトでもいいから、可能なかぎり、すべておしえてほしい』ともいっていた)

「コレもいちおう、あの地区にかんする、あたらしい情報・じじつ、というコトになるのか?」

 こうつぶやくと、藤柴はすこし、かんがえこんだ。

(あのヒトは、些細なコトから、とんでもないコトに気がついたり、連想したり、とんでもないアイデアだとか、案や策をかんがえつくコトがある。

 オレにとっては、『些細で些末な、たいしたコトではない』とおもえるコトであっても、あのヒトにとっては、たいせつで重要なコトかもしれない。

 だったら、つたえておいたほうがいいか。ナニカしら、とんでもないアイデアだとか、案や策をかんがえついたら、ソレは結果的に、めぐりめぐって、オレたちにとってプラスになり、トクをするカタチになるダロウから)

 こうして藤柴は、この件を、徳吉につたえたのであった。

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