商品・製品
「ですが?」
「ちしき・情報っていうものを、あたらしく知れば知るほど、今の現状にたいするフヘイ・フマン、怒りの感情っていうものが、次から次に、ドンドン湧いてくるんです。ですが、ソレと同時に、『どうしようもなさ』というコトも、知ってしまいました。
アタリマエのコトですが、『じゆう・権利がナイ』という状態では、ニンゲンは、じぶんの意思・かんがえで、ナニカをじゆうに選択するコトがデキません。そして、『ナニカをあたらしく、おこなうコトもデキない』ときています。
こういう政治体制では、『あたらしい産業をつくり、育成する』っていうのは、ほとんど不可能におもえます」
「ソレは同感だね。とはいっても、ゲンジツの状態を変えるコトは、デキそうにナイ」
(もしも将来、ホントウに、今の政治体制や統治機構っていうものを、こわすことがデキたなら、今とはちがう状況になるかもしれない。
でも、そんなコトは、とおいミライのハナシだし、しょせんはタラレバだ。今げんざいの状態を見るかぎり、そういうミライのコトを、今からアテにするコトはデキない)
「今すぐに、この状態を劇的に変えたり、カイゼンするコトはデキない。まったくデキそうにナイ。じんざいも、カネもない。となると、ちいさなコトから変えたり、おこなうしかないか」
「ちいさなコトですか」
「今げんざいの時点・だんかいで、もうすでに、たくさん身近にそんざいし、所有しているモノをつかい、やりくりをする。っていうカタチになるとおもう。まあ、『ぐたいてきに、どうするのか』とまでは、今はいえないけどね。
カナリ抽象的ないいかたや表現になるけども、そういう方針というか、方向性が、げんじつ的に、いちばんムリがナイような気がする」
「ソウですね。今げんざい、じぶんが持っていないモノをアテにしたトコロで、どうしようもナイですし」
「今げんざい、この第4地区に、たくさんそんざいし、つかうコトがデキるモノ。ソレは一体、ナニがあるのか」
こういうと、徳吉はすこし、かんがえこんでしまった。
「トコロで、こういう視点・発想・かんがえかた・スタンスに立ったときに、キミは、ナニカおもいうかぶモノはあるかい?」
「う~ん、どうでしょうか。天然資源もナイですし、付加価値のたかい製品や機械をつくれるような、高度な製造業もナイ。
そして、ソレをつくったり、育成するコトがデキる状況・カンキョウでもナイ。となると、チョットおもいうかびません」
「だよねえ。やはり、つごう良くいかないか」
「ゲンジツは、キビシイかと」
(一朝一夕に、一気に現状を変えたり、モンダイをカイケツさせるっていうのは、やはりムリか。そういう特効薬みたいな案や策なんてのは、まずナイ。
となると、やはり、まずは、おカネがかからない、些細でちいさなコトからおこない、はじめていくしかないか)
「とりあえず、今日のトコロは、コレで帰るとするよ。やはり、じっさいにゲンバを、じぶんの目で見ないと、ゲンジツの状態はわからない。あんないアリガトウ。ご苦労サマ」
こうしてふたりは、この地をあとにした。
第4地区のゲンバを見てから、すこし経ったときのコトである。徳吉は、すこしまえに、斎藤たちの一件で、傘下・配下にいれた勢力・そしきがおこなっている、事業の書類を見ていたのであった。ソコでふと、気になるコトがでてきた。
(ん?ナンでこんなモノを、取りあつかっているんだ?)
ソレは、この国では手にいれるコトがデキない、各種の商品・製品などのリストであった。この第4地区においては、各地に根を張り、ナワバリ・テリトリーとしている勢力が、各々、中小キボの商売をおこなっている。
そして、徳吉たちが傘下・配下にいれた勢力もまた、商売をおこなっている。そのために、「定期的に、ナニを取りあつかっているのか」という、取りあつかい商品・製品のリストが、提出されているのであり、徳吉は、ソレを読んでいたのである。
(いちおう、タテマエ上、この国では、ガイコクとの貿易や交流は、禁止されているハズなんだけど)
と、このようにギモンをかんじたのである。この国では、ガイコクとのあいだで、じゆうな貿易や交流というものが、キホン的には禁止され、規制されている。
とはいっても、「ガイコクの商品・製品などが、まったく輸入されない」というワケではなかった。
そのために、タテマエ上では、ガイコクとの貿易や交流というものを、禁止をされているのだが、実態としては、あるていどであれば、おこなわれていた。
そして、そういうガイコクとの貿易や交流というものに、フツウのニンゲンは、参加するコトがデキなかった。いわば、「一部の特権階級が、どくせん的におこなっている」という状態であったのだ。
徳吉は、第3地区に住んでいた。この第3地区においては、特権階級というニンゲンは、そんざいしていない。
そのために、カレ自身はモチロンのコト、カレの身近に、ガイコクとの貿易や交流というものは、おこなっていたニンゲンはいなかった。
こういう視点・発想・かんがえかた・スタンスに立ってみると、第3地区よりも、さらに階層が低くて、まずしい地域である以上、この第4地区において、「ガイコクとの貿易や交流によって、輸入された商品・製品というものが、出まわっている」というコトなど、フツウにかんがえてみれば、ありえないコトであった。
(第1地区や第2地区のれんちゅうが、コレを売ったんダロウか。あるいは、流通のドコカで、ヨコながしされた品なんダロウか)
ともおもったのであるが、すぐに、そのかんがえをヤメタ。
(イヤ、第1地区や第2地区のれんちゅうが、この第4地区にたいして、かかわるコトなんてナイ。ソレに、第4地区のニンゲンが、特権階級ともいえるヤツラにたいして、かかわるコトがデキるとはおもえん。そういうルートを持っているワケがない。もしも、そういうルートがあるんだったら、中間にある第3地区をとおしているハズだ。
だったら、第3地区のなかで、このガイコクの商品・製品が、出まわっているダロウ。ソウなるハズだ。
でも、オレが知るかぎり、第3地区で、ガイコクの商品・製品なんて、ほとんど見たコトがナイ。ホントウに、ごくたまに、ほんのすこしダケ、流通していたコトがあるていどだ。
第4地区で、コレだけ出まわっているんだったら、第3地区のほうに、もっと流通していないとオカシイ。ツジツマが会わないダロウ。
第3地区に住んでいるニンゲンのほうが、第4地区に住んでいるニンゲンよりも、すこしはカネを持っている。だったら、第3地区のほうが売れるハズだ。
ソレなのに、まずしいハズの第4地区で、コレだけガイコクの商品・製品が売買されているっていうのは、どうかんがえてもヘンだ。リクツが合わん)
書類を読みながら、「ナゼ、このような状態になっているのか」という点が、ギモンとしてうかびあがってきた。
(となると、このガイコクの商品・製品は、第1地区や第2地区とは、かんけいがナイのかもしれん。
でも、ガイコクとの貿易や交流というものは、一部の上位階層、特権階級しかおこなっていない。その権利を持っていない。
りえきがおおきい分、ヤツラはソレを、じぶんたちダケで独占し、ひとり占めをしているハズだ)
ココまでかんがえたときに、ふと徳吉は、ゲンバを見に行ったときのコトを、おもいだしていた。
(ソウいえば、本田くんは、ナゼあんなコトを知っていたんだ?)




