ダブルチェック
藤柴は内心、徳吉の思考の深さにたいして、唸るようなおもいを持った。
「こういうタイプのニンゲンであれば、たんじゅんに、『アタマが良いだけのバカ』ではナイかもしれない。つまり、『ニンゲン公害』ではナイ。
優秀で有能な、ずのう・のうりょく・さいのう・知能を持っている。その上さらに、ないめんのニンゲン性・じんかく・性格・かちかんも、シッカリしている可能性・確率が、カナリたかいとおもわれる。ナニセ、今まで散々、苦労をしているダロウからね。
こういうタイプのニンゲンだったら、たとえコチラがわと、われわれと、思想・かんがえかた・かちかん・信条とかが、違っているとしても、ソレなりに、役にたつかとおもわれる。
おそらく、『あいてとのあいだで、どこかでおとしどころ、だきょう点を見いだして、いっしょに行動したり、ナニカをおこなう』というコトも、あるていどであれば、デキるかもしれない」
「ニンゲンや、世のなか・しゃかい・せけんのツラさ、きびしさを知っている。というニンゲンでなければ、たにんとナニカをいっしょに行動したり、おこなうコトはデキない。そして、苦労したニンゲンであるほど、こういうコトを、チャント知っている。というワケですね」
「ソウなる。ぎゃくにいうと、ニンゲンや、世のなか・しゃかい・せけんのコトをしらず、ナメているタイプのニンゲンは、こういうコトがデキない。というか、まったくわかっていない。
だから、いっしょになって行動したり、ナニカをおこなうコトはデキない。ヘタにソレをおこなうと、たくさんの軋轢や摩擦が生じて、たくさんのキケン・もんだい・トラブル・モメゴトが発生しかねない。ソレではこまる。
というか、そういうヤツは、『ただ単に、ソコにいる』というだけで、たくさんのキケン・もんだい・トラブル・モメゴトをつくりだし、ひがい・そんがいを発生させる。そういうリスク・キケン性が、カナリたかい。
そういうワケだから、いっしょに行動したり、ナニカをおこなう。というコトなんて、デキるワケがない。
ソレどころか、ほんのすこしでも、わずかでも、ソイツと会ったり、かかわってはいけない。接触してはいけないし、接点を持ってはいけない」
「ソレは、まったく同感です」
「ハッキリといってしまえば、粛清して、はいじょし、ついほうすベキだね。そういうニンゲンといえる。
まさに、ニンゲン公害だよ。なんせ、『ただ単に、ソコにいる』というだけで、たくさんのニンゲンを苦しめて、不運・不幸な状態にしてしまうワケだから。
ニンゲンはダレでも、キチンとはなしあえば、わかりあうコトがデキる。だとか、たにんのコトを、変えるコトがデキる。なんていうのは、ニンゲンのコトをしらない、わかっていない、たんなるバカのかんがえや発想だよ。
たにんのコトを、後天的に、じぶんにつごうの良いカタチに変える。というコトなんて、デキるワケがない。ニンゲンは、たにんのコトを、変えるコトはデキない。変えるコトがデキるのは、じぶん自身だけだからね。
ただソコにいる。というだけで、たくさんのキケン・もんだい・トラブル・モメゴトを引きおこし、ひがい・そんがいを発生させる、ニンゲン公害のようなタイプは、問答無用で、見つけ次第、粛清し、はいじょし、ついほうしなければならない。
ソウしないと、まわりにいるマトモなニンゲンたちが、ドンドンつぶれてしまい、壊れかねない。
こういう視点・発想・かんがえかた・スタンスに立ってみると、『アタマが良くて、ずのうレベル・知的レベルがたかいくせに、ニンゲン性だとか、ないめんの性格・かちかん・かんがえかた・思想だとかが悪くて、腐っているヤツ』っていうのは、手に負えない。始末が悪すぎる。
性質のワルイ知能犯というか、とんでもない詐欺師みたいなもんだよ。なまじアタマが良くて、ずのうレベル・知的レベルがたかいもんだから、コチラがすぐに気がつかないようなコトを、つまり、ずる賢くというか、悪賢いコトをかんがえる。とんでもない悪知恵がはたらく。
だから、コチラとしても、ソレをすぐに見つけるコトがデキず、気がつかない。時間が経って、あとになってから、やっと気がつく。
でも、もうそのときには、『時すでに遅し』で、キケン・もんだい・トラブル・モメゴト、ひがい・そんがいの数や額が、とんでもなく巨大化し、ふえてしまっている。だから、取りかえしがつかない状態になり、自滅・ハメツ・破産っていう、サイアクのケースをまねきかねない。
だからこそ、たんじゅんに、『アタマが良いのか。ずのうレベル・知的レベルがたかいのか』っていうコトだけで、ニンゲンを評価し、はんだんするのはキケンだし、ダメだとおもう。
ソレだけではなくて、ニンゲン性だとか、ないめんの性格・かんがえかた・かちかん・人格・思想だとかも、チャント見なければならない。
でも、ココにおおきな欠陥というか、落とし穴がある」
「欠陥や落とし穴ですか?ちなみにソレは、ナンなんですか?」
この藤柴の問いにたいして、徳吉は答えた。
「才ある者には徳がなく、徳ある者には才がない。っていうコトだよ」
「つまり、アタマが良くて、ずのう・のうりょく・さいのう・知能がたかいニンゲンっていうのは、ニンゲン性や、ないめんの性格・かんがえかた・かちかん・人格・思想とかに、欠落や欠陥、もんだいがある。
ソレにたいして、ニンゲン性や、ないめんの性格・かんがえかた・かちかん・人格・思想とかが良いというか、すぐれているニンゲンは、アタマが悪くて、ずのう・のうりょく・さいのう・知能のレベルがひくい。と、こういうコトでしょうか?」
「そのとおり!!」
徳吉は、つよい口調でいった。
「ソウいわれてみると、たしかにソウかもしれませんね。アタマは良いんですが、どうにもニンゲン性というか、人柄や人格が腐ってて、クズみたいなヤツっていうのは、おおい気がします。
そして、ソレとはぎゃくに、ニンゲン性だとか、人格や人がらは良くて、やさしくて、ニンゲンとして上質なんですが、どうにもニブイというか、アタマの回転がおそいというか、パッとしないニンゲンも、おおい気がします」
「まあ、アチラを立てればコチラが立たず。だとか、天は二物をあたえず。あるいは、二兎を追う者は一兎をも得ず。っていうコトなんダロウね。
優秀で有能なずのう・のうりょく・さいのう・知能を持っており、アタマがとても良い。ソレと同時に、ニンゲン性や人柄・人格が良くて、やさしくて、人徳があるニンゲンっていうのは、滅多にいない」
「ナルホド、同感です」
「その滅多にいない、このふたつを兼ね備えているニンゲンが、もしもいるとしたら、ソレは、なんとしても手にいれるべき、優秀で有能なニンゲンであり、じんざいだとおもう」
「そういうニンゲンが、もしもホントウにいるとすれば、手にいれないのはモッタイナイですね」
そういうと、藤柴は、徳吉のいいたいことが、ハッキリとわかるような気がした。
「ナルホド、この患者というか、ほうもん者のなかに、そういうタイプのニンゲンが、つまり、優秀で有能なニンゲン・じんざいであり、ソレと同時に、ニンゲン性がよくて、やさしくて、人徳があるニンゲン。つまり、得がたいタイプのニンゲンが、いるかもしれない。
となれば、そういうニンゲンを、放っておくのはモッタイナイ。なんとしても、コチラに引きいれて、手にいれたい。と、こういうワケですね?」
「そのとおりだよ。とはいっても、今はまだ、カンゼンに想像というか、憶測にすぎない。だからまあ、そういう得がたいニンゲン・人材が、ソコにいるかもしれない。そんざいしている可能性・確率が、たかいかもしれない。っていうレベルのハナシだけどね」
(いくら憶測とはいっても、このヒトの憶測は、どうにもアタル気がする。聞いていて、地に足がついている。というか、ムリ・むじゅん点がない。げんじつ的に、十分にありえるハナシにおもえる)
「たしかに、まだナンの証拠・こんきょ・ウラづけもありませんが、聞いていてい、ワタシは十分になっとくしましたよ。
ありえるハナシだとおもいます。その想定や憶測は、あたっている可能性・確率が、カナリたかい気がします」
「ソレはアリガトウ。となれば、この患者、ほうもん者のなかから、そういう得がたい人材が、ホントウにいるかどうか、しらべてみたいんだけれども、キミも賛成で良いかい」
「ハイ、まったく異存はありません。ナニをおこなうにしても、やはり、まず第一、すぐれた人材がいなければ、ハナシになりませんから。
優秀で有能なずのう・のうりょく・さいのう・知能を持っていて、その上さらに、ニンゲン性が良くて、人徳がある。そういうタイプのニンゲンが、もしもいるんであれば、ソレは、ほかのそしき・勢力にたいして、渡したくはありません。
あるいは、ほかのそしき・勢力に入らないとしても、野に放っておくのはモッタイナイです。とんでもないムダにおもえます。
だったら、コチラに引きいれてしまおう。っていうのは、おおきなプラスのりえき・メリットがあるハナシだとおもいます」
「となると、善は急げ。だね」
こういうと、徳吉は、なにやら書類に書き込みをはじめた。
「コレを、伊藤さんたちにつたえてほしい」
その書類には、今後、何度も医者にたいして会いにきており、医者がハナシをしてみて、じぶんたちと同等か、ソレに近いアタマを持っているのであろうニンゲンで、かつ、ニンゲン性・人柄・人格・性格などに、もんだいがなさそうなニンゲンがいたら、そのニンゲンを返すコトなく、このジム所にたいして行くように、つたえてほしい。というコトであった。
(医者をフィルターのようにして、患者をふるいにかけるワケか。あるいは、リトマス試験紙といってもいいかもしれない。
医者というフィルター、リトマス試験紙を使って、コチラのしめす条件に合うニンゲンがいたら、そのまま、コチラにたいして寄こさせる。そして、その後は、コチラでそのニンゲンと会ってみて、じんぶつ評価や、はんだんをする。というワケか)
「医者がハナシをしてみて、ずのうレベルや知能レベルが、じぶんたちと同等か、ソレに近いニンゲンだとかんじたら、そして、ニンゲン性などに、おおきな欠陥や欠点、もんだいがナイとかんじたら、コッチに寄こさせる。
その後、コチラでも、そのニンゲンについて、はんだんし、評価をする。というワケですね?」
「そういうコトになる」
「つまり、ダブルチェックというワケですね?」
藤柴のこのコトバを聞いて、徳吉はすこし、だまっていた。




