ニンゲンのサガ
「ソウはいかない。といいますと?」
ギモンにおもった藤柴が、聞いてきた。
「オレたちとは違って、この第4地区に住んでいるニンゲンは、『マトモにガッコウにかようコトもデキなかったり、あるいは、そしきのなかで、たにんといっしょにシゴトをして、はたらく』っていうコトを、けいけんしていないニンゲンも、たくさんいるとおもう。
つまり、『大たすうを占めている、フツウのいっぱん人と、いっしょになってシゴトをしたり、せいかつをする』というコトを、けいけんしていない。もしかしたら、高校すら、マトモにかよえていないニンゲンだって、おおいかもしれない。
だから、『じぶんよりも、ずのうレベル・知的レベルっていうものが、おおきく下であるニンゲンと、どうやって接したらいいのか』というコトを、けいけんしていない。つまり、くんれんをうけていない。こういうケースは、おおいのかもしれない。
さらにいうと、『じぶんと似たような、知的レベル・ずのうレベルのニンゲンが、あるていどの人数が揃っている』というカンキョウを、けいけんしていない」
「といいますと?」
「ダイガクだよ」
「ダイガクですか?」
こう聞きかえしたのであるが、すこしして、藤柴は、徳吉のいいたいコトに気がついた。
(ナルホド、たしかに)
「いわれていると、ダイガクっていうところは、あるていど、似たレベルの学力を持っているニンゲンがあつまりますね。というか、一定以上の学力がなければ、そもそも、おカネがあったとしても、はいるコトはデキない。
そして、似たような学力レベルというコトは、カナリたかい確率で、似たような知的レベル・ずのうレベルになりますね」
「そういうコトになる。そもそも、ダイガクっていう高等教育機関には、いやがおうでも、じぶんと似たような知的レベル・ずのうレベルのニンゲンが、あつまっている。
モチロン、かちかん・性格はちがうかもしれないが、ソレでも、ずのうレベル・知的レベルが似たようなニンゲン同士が、あつまっている。
となると、あとはもう、確率のもんだいで、じぶんとハナシのあうニンゲンが、すこしはいる可能性・確率が、しぜんとたかまる。
たとえ、じぶんとは性格・かちかんは違ったとしても、ずのうレベル・知的レベルが近ければ、あるていどは、共通の話題がある。
つまり、おたがいにハナシが合うから、あいてとコミュニケーションを取るコトが、比較的にはデキやすい。
ソレに、まわりにいるニンゲンのほとんどが、じぶんと、ずのうレベル・知的レベルが近いのであれば、もしかしたら、そのなかに、『じぶんと、性格・かちかん・かんがえかたが、よく似ているニンゲンがいる』という確率・可能性は、しぜんと、たかまるハズだし。
ろこつにいうと、ダイガク以外のばしょ・空間よりも、そういう確率・可能性っていうものは、比較的には、たかくなるとおもう。
オレ自身、高校生のころまでは、まわりのニンゲンと、ほとんどハナシが合わなかったんだけども、ダイガクに入ったら、ホンネをいえたり、気軽にハナシをするコトがデキるニンゲンが、何人か現れたんだよ。
こういうコトは、ほかのニンゲンにも、十分にありえるとおもう。ソウじゃないかい?」
こういうと、徳吉は、藤柴のコトを、ジッと見た。
(オレも、ソウじゃないか?といいたいんダロウ)
「まあ、お察しのとおりですね」
「ヤッパリね」
徳吉は、わらいながらいった。
「この第4地区では、そもそものハナシ、高等教育機関がそんざいしてない。まあ、たとえそんざいしていたも、まずしいニンゲンがおおいから、学費を工面するコトがデキず、入学するコトがデキないダロウけどね。
つまり、この第4地区に住んでいる、ずのうレベル・知的レベルがたかいニンゲンは、『まわりに、じぶんと似たレベルのニンゲンがいない』という状態になる。
そういう状態っていうものを、何年どころか、何十年間もけいけんしているニンゲンが、一定数はいるかもしれない。
そして、そういうニンゲンは、おそらく、カナリたかい確率で、ヒドイこりつ感・こどく感を、つね日ごろから、つよくかんじているとおもう」
(かつてのオレが、とくに、強制ろうどう施設にいたときのオレが、ソウだったように)
「類はトモを呼ぶ。っていうコトバは、しんじつを突いているとおもう。たしかにニンゲンは、じぶんとよく似たニンゲン同士で、いつの間にか、それこそ無いしきのうちに、あつまってしまう。そういう傾向というか、とくちょう・性質を持っている。
つまり、似たような性格・かちかん・かんがえかた、似たような知的レベル・ずのうレベルのニンゲン同士で」
「でも、この第4地区に住んでいるニンゲンは、あつまりたくても、そのよく似たニンゲンっていうのが、そもそものハナシ、身近にそんざいしていない。『そういうニンゲンが、一カ所にあつまる』という場が、そんざいしていない。
こうかんがえてみると、徳吉さんのおっしゃるとおり、ヒドイこりつ感・こどく感を、ずっとかんじているかもしれませんね。ソレこそ、何年どころか、何十年間も」
「そういうところに、ある日とつぜん、じぶんと似たような、知的レベル・ずのうレベルを持っているニンゲンが、何人もやってきた。そして、そのニンゲンと、ハナシをするコトがデキる。そういう機会がデキた」
「となると、一度だけでおわらずに、つい何度もやってきてしまうのは、ニンゲンの持っているサガでしょうかね」
「ニンゲンの持っているサガか。ウマイというか、良いコトをいうね」
「ソレはどうも」
「じぶんと似たようなニンゲンがあいてだったら、共通の話題もおおい。だから、ハナシが合うダロウし、しぜんと、かいわも弾むとおもう。
まあソウかんがえてみると、べつに、『一度だけしか、ココにきてはいけない』っていうルールはつくっていないから、何度きたところで、責めるワケにはいかんか。
ソレに、コチラとしても、今のところ、べつに支障はナイ。肝心の医者自身も、イヤがってはいない。業務に支障がでるともいっていない」
「ソウですね。まあ目くじらを立てるコトでもナイですし、放置しておきましょうか」
「ソウしよう」
と、徳吉はいいかけたのであるが、ふと発言を止めた。




