気になる点
伊藤とのハナシを終えて、ジム所の個室にはいった徳吉は、アレコレとかんがえていた。
(すぐれたニンゲンを、すばやく、そして効率的に見つけだす。コレはけっして、カンタンなコトじゃナイ。
でも医者という、優秀ですぐれたニンゲンをとおすコトで、すばやく効率的に、そのこうほ者を、さがすコトがデキるかもしれない。
医療をまなび、そして、医者になる。というコトは、バカにはデキない。デキるハズがない。そのすぐれたニンゲンである医者が、かいわをするときに、『コイツはアタマが良い』とおもったのであれば、そのニンゲンは、カナリの高確率で、すぐれている可能性がたかいダロウ)
この数日後のコトである。患者の情報を記した書類を読みながら、徳吉は、あるコトにたいして気がついた。
(医者が、すぐれているとおもうニンゲンに、印をつけているワケだが、どうも、じぜんにオレが予想した以上に、印の数がおおい)
ナゼ、こういう現象がおきているのであろうか。徳吉は、そのりゆう・げんいんを、アレコレと想像してみた。
(フツウだったら、ずのうレベル、知的レベルがたかいニンゲンは、ソレなりの教育機関にたいして進学して、ソレなりのたかい地位に就くんダロウ。
つまり、こういう辺境ともいえるような土地で、まずしい状況に甘んじているとはおもえない。政府機関にしろ、みんかんの機関・そしきにしろ、それらがおおい、都市部にあつまるハズだ。
でも、この第4地区では、すぐれたニンゲンであっても、出世するコトはデキない。ソレがデキるだけの機関・そしきが、そもそもナイというワケか。
だからこそ、この辺鄙でまずしい土地に、すぐれたニンゲンが埋もれている。という解釈も、成りたつコトがデキるかもしれない)
「こういうコトは、おそらく第3地区のニンゲンは、まったくしらないだろう。というか、片鱗すらおもわないか」
こうつぶやくと、徳吉は、この「うもれている人材」ともいうベキすぐれたニンゲンたちを、「なんとかして、効果的・有効的にかつようし、そのずのう・さいのう・のうりょく・知能というものを、じぶんたちに、役立たせるコトはデキないダロウか」というコトを、かんがえだしたのである。
そして、ふたたび書類に目を向けたのであった。
「ん?」
おもわず、つぶやいていた。
(同じニンゲンが、何度もやってきている)
さいしょ、徳吉は、「病状がヒドイために、一回や数回の診療では、治らないからダロウ」と、かんがえたのである。だがしかし、ソレは、ひとり・ふたりではなかった。数十人もいたのである。
(この数十人の全員が、ヒドイ病状というコトなのか?)
ソウおもったのであるが、医師による診断結果を見てみると、かならずしも、ヒドイ病状ではなかった。ろこつにいえば、軽度のニンゲンばかりであったのだ。
その後、徳吉は、伊藤をはじめとして、何人もの医師にたいして聞いてみたのであるが、やはり、「一回や数回の診療で十分であり、何度もくるりゆう、ひつよう性はまったくナイのだが、何度もやってきている」とのコトであった。
「まあタダだし、やってくる数の制限も設けてない。コチラとしては、もんだいはナイが」
このように、じぶんでなっとくをしたのだが、ソレでも、この些細でちいさな違和感・不しぜんさが、どうにも、アタマにのこったのである。
数日後、ふたたび徳吉は、伊藤をハナシをしていた。
「ところで、チョットだけ気になる点があるのですが」
「ナンでしょうか?」
「この診断にきた患者にかんする書類を読んでいると、病状がかるくて、何度もやって来るりゆう・ひつよう性が、まったくナイのに、何度もきているニンゲンがいますよね。
まあ、ひとり・ふたりだったら、イチイチ気にならないのですが、数十人ともなると、どうしても目を引きます」
「たしかに、おっしゃるとおりですね。そういうニンゲンが、何十人もいます。やってくる数に制限をくわえたい。そういうおハナシでしょうか?」
「いえ、そういうワケではありません」
「となると、ナニが気になるのですか?」
怪訝そうなカオをしながら、伊藤が聞いてきた。
「少数のケースだったら、たんなる例外的な事象・デキゴト・現象として、片づければ良いとおもいます。
ですが、数十件ともなると、コレには、ナニカしらのイミというか、共通点・類似点があるのではないのか。と、こうおもうワケです」
「ナニカしらのイミですか」
「ええ、とはいっても、べつにコレは、もんだいがあるから、どうにかすベキだ。というワケではありません。まあチョットだけ気になる。というレベルのハナシです。
参考までにお聞きしたいのですが、伊藤さんたちお医者さんが、こういう、何十回も診断にやってくるニンゲンを見たときに、接したときに、ナニカ気になる点はありますか?
たとえば、カレら、カノジョらに、ナニカしらの共通点だとか、類似点があれば、おしえていただきたいのですが」
「う~ん、どうなんでしょう。今までまったく気にしていませんでしたので、すぐにお答えするコトがデキません」
「モチロン、今すぐに聞きたい。というワケではありません。ナニカ気がついたり、わかった時点で、おしえていただきたいんです」
「そういうコトでしたら、ほかの医師にも、このコトをつたえておきますね。ナニカ気がついたり、わかった時点で、おつたえします」
「ヨロシクおねがいします」
(べつに、コレにたいして気がついたからといって、ナニカある。っていうワケじゃない。このギモンを突き詰めたところで、コチラにとって、ナニカのプラス、りえき、メリットがあるっていうワケでもない。
でもまあ、些細でちいさなコトとはいえ、ギモン点はつぶしておきたい)




