あたらしいタネ
すこし経ってから、徳吉たちは、アクションをおこしたのであった。ソレは、桂にたいして依頼をして、「この第4地区にたいして、医者を派遣してもらう」というコトであった。さらに、「一定期間、無料で診断をする」というイベントをおこなった。
このコトによって、斎藤たちにたいしては、「勢力のトップが病気になった」というコトを、「コチラが、もうすでにカンづいている」とはしらせずに、あいての勢力にたいして、ムリをするコトなく、接触するチャンスをつくりだすコトがデキたのである。
この第4地区においては、びょうき・ケガをしたにもかかわらず、マトモな医療をうけるコトがデキないニンゲンが、たくさんそんざいしている。
だから、第3地区から、医者を派遣してもらったのである。「医者に診てもらいたいニンゲンは、ジム所にきてもらいたい。ばあいによっては、痛みをやわらげるクスリも、すこしならば処方し、提供するコトがデキるかもしれない。こんかいは、無料で診断をする」というカタチで。
コレに、斎藤がしょぞくする勢力のトップは、食いついてきたのだ。こうして、正式なカタチで、徳吉たちは、その勢力にたいして、ムリせずに接触するコトがデキたのである。
徳吉たちは、あいてと接触したコトによって、「斎藤がしょぞくする勢力は、もはや、今の状態というものを、維持するコトは不可能だ」と、はんだんしたのであった。
そして、この勢力というものを、むしろ、ぶんれつさせる方向に持って行ったのだ。
トップの死後、この勢力は、幹部たちがバラバラになり、各々が、中小キボの勢力を形成した。コレは、俗にいう、「ぶんかつして統治する」という手法に適うため、徳吉たちにとっては、好つごうといえた。
そして、そのときに、「トップの遺産をめぐり、そのコドモや幹部たちが、あらそい、たたかい、抗争する」というキケン・リスクがある。
だから、「トップや勢力が持っている資産・ざいさんを、明確化させるベキだ」と、せつめいしたのである。
ソコで、勢力が保有している資産・ざいさん。さらには、トップが個人的に持っている資産・ざいさんも、データ化し、数値化するコトを提案したのであった。
今までは、コレにたいして、まったく興味も関心も示すコトがなく、ソレどころか、警戒をしていたのだが、こんかいは乗ってきたのだ。
ナニセ、資産・ざいさんが、ハッキリとしていなければ、「ダレが、ナニを、どれだけ手にいれるコトがデキるのか」というコトが、サッパリわからないのだから。
こうして、斎藤がしょぞくする勢力は、ダンダンと、ふくすうの中小キボの勢力にぶんれつしたのであった。
だがしかし、めいかく化し、データ化した資産・ざいさんを、均等にわたしたために、大キボなトラブル・モメごと、あらそいごとは発生しなかった。
たしかに、ちいさなトラブル・モメごとはおきたのであるが、ソレが、大キボに発展せずに済んだ。
さらに、徳吉たちからしたら、ふくすうの中小キボの勢力になったために、コチラのほうが、あいてよりも、相対的につよくなり、上のたちばになった。
その上さらに、あいての持っている資産・ざいさんを、データ化するのを手伝ったのである。そのために、「ダレが、ナニを、どれだけ持っているのか」というコトを、はあくするコトがデキたのだ。
そのために、徴税業務というものを、以前よりも、スムーズにおこなうコトがデキた。このコトによって、今までよりも、徴税額がふえた。
だがしかし、このコトは、第3地区にはだまっていた。つまり、以前よりもふえた徴税額を、じぶんたちのかつどう資金にあてるコトがデキたのである。
ぶんれつした、中小キボのふくすうの勢力は、じぶんたちの資産・ざいさん、さらには、ないぶ事情というものを、徳吉たちには知られて、あくされてしまった。そのために、はんたい・ていこうし、さからうコトが、カナリむずかしくなった。
さらに、おたがいの利害かんけい、交友かんけいなども、徳吉たちは、はあくするコトがデキたのである。
このために、いわば、「徳吉たちの勢力の下部そしき、系列傘下」という位置・たちばになったといえる。
ちいさな勢力であり、持っている資産・ざいさん、さらには、おたがいの利害かんけい・交友かんけいまでも、徳吉たちは知っており、はあくをしている。コレはつまり、徳吉たちからすれば、「あいてのコトを、コントロールしやすい」ともいえた。
さらに、斎藤が言い争っていた勢力は、競争あいてが弱小化したので、『ビジネスがやりやすくなるダロウし、ぶんれつした勢力を乗っ取り、吸収し、あわよくば、テリトリー・ナワバリをうばってしまおう』と、かんがえていたのであるが、コレを阻止し、ふせぐコトもデキたのである。
ナニセ、徳吉たちが、これらの勢力を、傘下に収めたのだから。つまり、「カンゼンにバラバラになり、弱小化した」というワケではナイのである。
たしかに、一個一個はちいさくなったのだが、ソレを、徳吉たちのそしきが、おおきく包み込んでいるのである。
各々が、カンゼンにバラバラにならず、有機的にれんけいしている。いわば、スイカ・メロンのように、ひとつのおおきな果実ではなくて、一個一個はちいさいのだが、カンゼンにバラバラにはなってはおらず、くっついている、ブドウのような状態になったといえる。
そのために、斎藤が言い争っていた勢力としては、「一個一個を切り離し、各個撃破して、一個ずつ吸収し、うばってしまう」というコトが、デキなかったのだ。
そして、徳吉たちは、傘下に収めた勢力がつくっている、農産物、工業製品などを、どくせん的にあつかうコトも、デキるようになった。
コレを、第4地区のほかの勢力であったり、さらには、第3地区などにたいして、ひろく流通させ、販売をおこなうようになった。
徳吉たちは、第4地区のほかの勢力とは違って、第3地区と、一定のかんけい性、つながりを持っているのである。
そのために、体制の情報を使ったり、利用したりするコトがデキるし、あるいは、「第3地区を経由して、モノをはこべる」という利点もあった。
こういう点において、第3地区にいる、桂とのつながり・かんけい性というものが、おおきなイミを持ち、おおきな効果や成果を生んだといえる。
第4地区のほかの勢力たちは、いわば土着であり、その土地にたいして根づいている。だがしかし、その反面、じぶんのテリトリー、ナワバリ以外の土地については、そうカンタンに、手をだすコトがデキなかった。こういう弱点を持っていた。ソコを、徳吉たちは、ズバリと突いたのであった。
さらに、いちおう徳吉たちは、「第3地区の出先機関」というカタチでいる。つまり、末端とはいえ、体制がわに属している。
そのために、「徳吉たちにたいして、オモテ立って、あからさまに反逆・反抗し、てきたいする」というコトは、ほかの第4地区のニンゲンにとって、カナリのリスクがあった。
(徳吉さんは、政略の天才かもしれない)
「結果的に、われわれのひとり勝ちになりましたね」
ジム所の会議室で、藤柴が、徳吉にたいしてハナシをしていた。
「どうダロウね。たまたま運が良かっただけだよ。ツイてた。といってもいい」
「いえいえ、徳吉さんのかんがえた案や策がなければ、コウもスムーズにすすみませんよ。コチラとしては、最小限のリスクで、結果的に、斎藤がしょぞくした勢力を、うまく解体するコトがデキました。
そして、中小キボにぶんかつしたコトで、コチラにたいして、ほとんどキケンがない状態にするコトもデキました。その上さらに、これらをうまく、コチラの傘下にいれるコトもデキました。
つまり、結果的に、われわれが、この勢力の持っていたテリトリー・ナワバリを、『最小限のリスクや出費で、うまくヨコ取りした』ともいえます」
(推理小説にでてくる名探偵は、ジケンがおきたときに、すぐれた知能・アタマをつかい、あるいは、すぐれた推理力・ノウハウ・方法論をつかい、ジケンのナゾだとか、かくれた真相・しんじつ、真犯人を見つけだし、とくていする。
ソレにたいして徳吉さんは、ナニカのジケン・デキごと、事象・現象がおきたときに、政治的なチカラ・のうりょく・さいのう、ノウハウ・方法論。つまり、政略をつかって、そのジケン・デキゴト、事象・現象をざいりょう・基にして、コチラにとって、プラス・りえき・トク・メリットになるような、ナニカの効果や成果を抽出したり、つくりだしてしまう。こういうイメージというか、印象をうける。
しかも、ソレ自体は、とてもちいさなジケン・デキゴト、事象・現象であり、ソレだけでは、フツウのニンゲンだったら、イチイチ気にするコトはないんダロウ。
でも、このヒトは、そのちいさなモノから、あるていど、おおきなモノを抽出したり、つくりだして、手にいれてしまう)
「徳吉さんは、あるイミで、農民みたいですね」
「農民?」
「ええ、ちいさなタネを芽吹かせて、おおきく成長させて、果実を収穫する。いちれんの経過・ながれを見ていると、このようにかんじますよ」
「農民ねえ」
「ハイ、ちいさなジケン・デキゴト、事象・現象っていうタネを、ざいりょう・基にして、ソレを芽吹かせて、プラス・りえき・メリット・トクになるような、なにかのカタチで成果や効果を手にいれる。
こういうのを、あえてたとえるとすれば、政略的というか、政治的な農民。といえるかと」
「どうダロウね」
「政略的で、政治的な農民か。ソレはホメられてるんだよね?」
徳吉は、わらいながら聞いた。
「モチロンですよ」
「まあ、おおきな木でも、さいしょのうちは、ちいさなタネなワケだからね。ぎゃくにいえば、たとえちいさなタネであっても、うまくヤレば、おおきな木になって、たくさんの果実を収穫するコトがデキる。と、こうかんがえるのも悪くはナイか」
「こういう乱世では、たいせつで重要なコトだとおもいますよ」
「すべてのタネが、かならず芽吹いて、おおきく成長するとはかぎらない。でも、そのなかで、ひとつでも芽吹いて、かつ、おおきく成長させるコトがデキたなら、たくさんの果実を収穫することがデキるか」
「たしかに、ひとつでも、タネを芽吹かせて、おおきく成長させるコトがデキれば、ソレはソレで、おおきな勝利や成功といえるとおもいます」
(政略的で、政治的な農民か。ウマイことをいう)
「コレ以上、オレをホメたところで、ナニもでてこんよ」
「どうでしょうね。もしかしたら、ほかにもナニカ、でてくるかもしれませんよ?」
「そうまいかい、つごう良くはいかんさ」
こういうと、徳吉は、会議室をでていった。
(またナニカ、ちがうジケン・デキごと、事象・現象がおたときは、つまり、またべつのタネがあれば、このヒトなら、ナニカを生みだして、つくりだして、手にいれてしまうんじゃないダロウか)
「またナニカ、あたらしいタネを見つけだして、徳吉さんにつたえるベキだな」
こうつぶやくと、藤柴もまた、会議室をでていった。
エピソード②完結です




