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スッキリ

「つまり、君たちみたいなカタチで、ペアを組んで、おたがいに、不足した部分をたすけあい、おぎない合いながらうごいて、かつどうするっていうのが、一番シックリくるというか、キケン性やリスクを減らして、排除できるのかもしれん」

「おどろきました。オレたちが、うすうすアタマのなかでかんがえて、感じてたことを、ぐたいてきにハッキリと、コトバでもっていわれたもんですから、アタマのなかがクリアになり、ハッキリして、鮮明化したような気がします」

「オレも、藤柴とおなじです」

「ソレはどうも。さっきオレが言ったことのつづきなんだけど。藤柴くんは、この書類に書かれてることをおこない、実行するのには、ものごとをまとめて、組織化し、組織的におこなうニンゲンがひつようになる。

 だからこそ、オレをたすけだした。といってたが、ソレはつまり、オレのことを、直観がすくなくて、ほとんど理づめでかんがえるタイプのニンゲンだと、判断したってことで良いよね?」

「ええ、そのとおりです」

 藤柴は答えた。

「その評価や判断は、オレがじぶんでかんがえても、あたってるとおもう。じぶん自身のことを、自己分析してみると、正直なところ、直観っていうものは、ほとんど持っていない。かなりニブイといっていい。

 だからこそ、オレはいつも、ものごとを理づめでかんがえて、判断するようにしてる。レンガを一個一個積みあげて、タテモノをつくるようにして、リクツを一個ずつ、積みあげていくようにしてる。

 だから、はじめてのものごとや状態、ジケンやできごとに遭遇すると、理解するのがいつも遅れる。

 過去の前例だとか、参考例がないことだと、データや資料がない。だから、積みあげてかんがえようとしても、その材料がない。

 こうなると、かんがえることができない。こういうときは、ホントウだったら、直観でもって素早く察知して、こまかいところはムリだとしても、大枠というか、大体の概略っていうものを、まず最初に理解すべきだろうけど、どうにもオレは、コレができない。

 こういう自己分析の結果として、どうやらオレは、ほとんど理づめで、リクツをつかってかんがえるタイプのニンゲンだとおもってる。

 リクツが80%かソレ以上で、直観が20%か、ソレ以下だとおもってる。もしかしたら、直観が、ほぼゼロに近いかもしれない。

 だとしたら、オレはどうやら、高井くんと正反対で、真逆のタイプのニンゲンかもしれん。もしそうだとしたら、藤柴くんは、オレと高井くんの、ちょうど中間にいるともいえる。

 こういう評価や判断に基づくんだったら、たしかに、君たちがうごいて、おこなったあとのことを、オレが理づめでまとめて、かためて、組織的に、事務や実務としておこない、ショリしていくっていうのが、ムリのない役割分担といえる気がする。

 なんせ、ものごとをまとめて、かためて、組織的に、事務や実務化して進めるっていうのは、直観というより、理づめでかんがえて、判断・決断・意思決定をして、おこなっていくもんだからね。

 そもそも、組織や事務・実務っていうものには、ルールや形式がひつようになる。で、それらを基にしてシゴトをするもんだけど、そのルールや形式自体が、リクツでもってつくられてるワケだし。

 だからこそ、一個ずつ、理づめでショリしておこないわないと、そのときは良かったとしても、あとになってから、イロイロと矛盾がでてきたり、ツジツマが合わないことになる。そうなると、たくさんのキケン・もんだい・トラブルが起こることになる」

「なるほど、まさに、徳吉さんが支所にいたときにつくった、書類みたいになるワケですね。最初のスタートと、さいごのゴールは書いてあるけれど、途中経過が省かれてる。

 だから、ホントウだったら、この書類をつかうんだったら、途中経過はどうなってるのか、一個ずつ、理づめでかんがえて、リクツを埋めなければならない。

 でも不用心で、ものごとをチャントかんがることができないバカは、ソレがまったくできない。

だから、あとになってから、ドンドン矛盾だとか、ツジツマが合わないところがでてきて、たくさんのキケン・もんだい・トラブルがおきてしまい、シゴトが止まってしまうと」

「そうそう。ソレで、オレを陥れた元上司は、じぶんがはいった強制労働施設のなかで、せきにんを取らされた。っていうことになる。

 オレのいったことの延長線上を、先まわりするように言うよなあ、藤柴くんは。ほとんど理づめでかんがえてる、オレの思考の先を読んで、その延長線上を言うっていうこと自体、さっき言ったとおり、君が、直観とリクツのバランスや比率が、五分五分の半々っていうことの証といえるかもしれん」

「どうでしょうかねえ」

「ちょうど君が、オレを陥れた、元上司のことをいったけど、もしかすると、コイツがつかまったあと、強制労働施設から、書類をだせ。といわれたときに、オレがつくった書類のなかでも、特に、途中経過が省かれており、そのままおこなうと、トラブルやもんだいが起きやすい書類を、わざと渡したってことはない?

 そういう書類を、あえて、あいてに渡したとか?桂さんにたいして、そうするように、君たちふたりが、アドバイスしたとか?」

 このように徳吉がいうと、ふたりの表情が一瞬だけ真顔になった。

「そうなんです。そのとおりなんですよ。オレと高井で、そうするように、桂さんにつたえました。

 もちろん、ソイツが処刑されてしまう。っていうことまでは、事前に予想がつかず、わからなかったんですがね。

 でも、そういう書類をあいてに渡せば、『強制労働施設のなかで、コイツの評価っていうものは、ダダさがりになるだろう』と、そうかんがえました。

 なんせ、施設のニンゲンからしたら、コイツが言った書類を手にいれて、ソレを基にしてシゴトをしたら、もんだいやトラブルが、大量におきてしまう。そうなる可能性や確率っていうものが、カナリたかくなるはずです。

 となれば、施設のニンゲンは、カナリ怒るでしょうからね。コイツの評価をさげるだろうと。もともとコイツは、徳吉さんを陥れただけでなく、イロイロと、もんだいのあるヤツでしたし。そこにいると、トラブルやもんだい、モメごとをおこすタイプのニンゲンだったんです。

 桂さんも、コイツのことは、カナリ煙たいそんざいとして見ていました。だからこそ、コイツが支所に戻ってくる確率が、すこしでも、さがるようにしておきたかった。

 だから、コイツが理由・原因で、強制労働施設のなかで、なにかのトラブルやもんだいがおきれば、施設のなかで、コイツのたちばが悪化するなりして、さらにヒドイ目に遭うだろうと。

 たとえば、刑期が長引いたり、重い処罰がくだるんじゃないかと。そういうことを期待したんです」

「そうか。ヤツに陥れられて、強制労働施設に送られたオレとしては、ざまあみやがれ。っていう感じだ。よくソレをやってくれたと、ふたりと桂さんには、感謝したいくらいだ」

 アタリマエのことだが、徳吉としては、無実の罪というもので、11年近くも強制労働施設にたいして収容されたことに、まったく納得していないのである。

 そして、その理由・原因をつくった元上司のことを、つよく恨んでおり、根に持っているのだ。だがしかし、じぶんの今げんざいの不運・不幸な状況を招いた、諸悪の根源、元凶ともいえる元上司が、じぶんが直接的に、手を下していないとはいえ、じぶんがつくった書類が理由・原因・キッカケになって、身のハメツを招くことになった。

 こういうカタチになったと知ったので、徳吉としては、長年の怒りやウラミが、収まったとおもえた。つまり、気分がハレて、スッキリしたということであろう。

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