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42.ファーストキス/美濃と淳/春女
42.ファーストキス/美濃と淳/春女
突然のキスだったけれど唇の感触はまだ残っていた。
(自分から……しちゃった……)
静蓮の口許から笑顔が溢れた。ファーストキスだった。
色々考えていた。
(まずはほっぺにして、仲よくなったら額にしてもらって、最後は……。予定が変わっちゃった)
そう思うと足取りは軽くなった。
前を向いて歩いて行く。
小銭が鳴った。小粋なリズムになる。ペースが上がる。
坂を登って行くと偶然、淳がいた。
(あっ!)
思わず笑顔で駆けだした。
小銭の音が大きくなる。
淳の横から来た美濃が、手を上げた。
眼鏡が歪む。
(痛そう……)
何か言おうと近づいたが、二人してお金を拾っていた。
淳が何かを言うと、抱きあって泣いてしまった。
とても「こんにちは」は言えなかった。
前を青い車が通りすぎて、我に返った。
静蓮はポケットを押さえ音を消してその場を離れた。




