41/93
41.静蓮ウィーン行
41.静蓮ウィーン行
孫励は憂えていた。
一つは、娘の未来だった。
静蓮は満足していたが、まだまだ不十分だった。プロフェッショナルとしての資質が一つ二つ欠けていた。
確かに宝石ではあるが、いまだ原石に近い。
ラファエロ・サンティを模倣している美大生が妥当な評価だった。
二つ目は、陸緑朗がもたらせた凶報だった。
話はすぐに終わった。
*
緑朗が電話をしていた。
「……ウィーンなら問題ない」
フランス語だった。
「待て」
内線が光った。が、すぐ消えた。
「いや、いい。――安全第一だ」
緑朗は坂を下る静蓮を眺めていた。




