99 ロキシー王女の領地視察
ロキシー王女の領地視察再開
話を進めたい宰相と反対するスミス王
対立する意見に結論が出ません
99話 はじまります
ロキシー王女の領地視察
その件について王城会議室では議論が粉砕していました
王女の領地視察については前回の魔獣襲撃を受けて、全てのスケジュールをいったん白紙にしていました
しかし既に王女は回復し、心身ともに元気になっています
そして王女は以前にも増してやる気に満ちています
でも領地視察の再開に、どうしてもスミス王が首を縦に振らないのです
それはそうでしょう
いくら王女が立ち直ったと言っても、スミス王は立ち直ってなどいないのです
あの憔悴しきって廃人のようになってしまったロキシー王女の姿が目に焼き付き離れないのです
「絶対にダメだ!いくら何でもまだ早すぎる!」
スミス王は断固として許しません
宰相はため息をつきます
「そうは言いましても領主達からは視察再開を要望する陳情が多数上がって来ているのですよ。」
「どうせどれもこれもロキシーに婿を……とかロキシーをうちの嫁に……とかばかりなんだろう。そんなものはすべて断ってしまえ!ロキシーは絶対に嫁になどやらん!ガルルルル……」
元々過保護だったスミス王
それが前回の魔獣襲撃事件で鉄壁の過保護になってしまいました
「その割にはタイヨー殿には甘いのではありませんか?」
宰相のツッコミが入ります
「タイヨー君は特別だ。なんたってロキシーの命の恩人だぞ。それに彼に反対できる度胸が宰相にはあるか?ノルディカと懇意にしドラゴン3体が背後にいる怪物だぞ。私はタイヨー君には逆らえんぞ。」
「それならいっその事、タイヨー君に爵位を与えてロキシー王女の婿殿にしてしまえばいいじゃないですか。」
宰相がそんな事を言います
スミス王はため息をつくと言いました
「タイヨー君に爵位を与えたら一緒にドラゴン御一行様がやってくるだろ。ドラゴン御一行様と理由を知らない他の貴族連中が揉め事にでもなってみろ。バートン王国消滅なんて事態はゴメンだぞ。」
宰相もそれはさすがに困ります
「でしたらやっぱり領地視察を再開するしかありませんね。」
「ぐぬぬ……」
そんな話をしていると、ロキシー王女が会議室にやってきました
「国王さま。私の領地の視察は、まだ再開いたさないのですか?」
いきなり核心を突いてきました
慌てるスミス王
「い、いや、ほら、王女は前回の視察で散々な目にあっただろ?だからまだ再開には早いのではないかと思ってな。」
ロキシー王女は少し思案して言いました
「そうでしたか。私も正直なところ、山ほどたくさんのお見合い話には懲り懲りですので、行かなくて済むのならそれでも良いかと。タイヨー様やユキ様達とお茶会でもして過ごしますわ。タイヨー様と同じ時間が過ごせるなんて……」
頬を赤めるロキシー王女
「ま、まぁ待て。もう少し時間をくれないかな。」
スミス王は慌てて言いました
「わかりました。とりあえず、いつでも視察に行けるように準備はしておきますわ。」
そう言ってロキシー王女は退室していきました
宰相がスミス王に言いました
「何かロキシー王女はたくましくなられましたね。」
スミス王もそれは感じています
あの魔獣の事件、その後のタイヨー君との出会いによってロキシー王女は大きく成長した気はしていました
「仕方がないか……。視察に向けて準備を始めよう。」
スミス王は諦め顔で言いました
宰相は視察について尋ねました
「すると今回はどちらに向かっていただきましょうか。」
「そうだな……。王国東部の領地に向かうのはどうだろう。そちらなら大きな森がないので魔獣に襲われることも無いだろう。ドラゴンの話も聞かないしな。」
「確かに魔獣襲撃事件の後ですから、それで良いかと思います。」
ロキシー王女の領地視察に向けて動き出しました
その頃、王国東部の街では……
「なんとか揃えられたな。」
「次の出荷までになんとかなったな。」
「まったくうちの領主様はノルマに厳しくてしょうがねぇ。」
そこは薄暗い裏通りにある古い建物
その部屋で2人の男が話しています
「とりあえず次の出荷までもう少し集めるか。」
「まぁそうだな。ノルマは達成した事だし無理しない程度に集めよう。」
2人の男はそう答えると建物を静かに出ていきました。
王城では……
ロキシー王女は国王の執務室に呼ばれていました
「お父様。御用ということで伺ったのですが。」
「ああ。よく来たね。ロキシー。じつは地方視察についての話なんだがね。」
「行き先が決まりましたか?」
「その通りだ。私はまだ早いと思ったのだが今回は東部地方に行ってもらおうと思う。東部に向かう道は西部と違って大きな森が無いからな。魔獣との遭遇がほとんど無いんだ。」
前回の視察では西部にある深緑の森の近くの街道で魔獣の襲撃を受けました
その事に配慮しての東部への視察なのでしょう
王女もおそらくそうなるだろうと予想していました
「わかりました。しっかり務めてまいります。」
王女は特に異議などせず了承しました
するとスミス王は表情を曇らせ言いました
「……あんまり無理しなくていいからな。頑張りすぎないでくれよ。」
ロキシー王女はスミス王の優しい言葉に嬉しくなりました
「ありがとうございます、お父様。気を付けていってきます。」
そう答えたロキシー王女は、東の街への視察に静かにやる気を見せました
お読みいただきありがとうございました
こちらとは別にロキシー王女の想いを描いた短編「ロキシー王女の日記」を投稿しました
良かったらそちらもよろしくお願いします




