100 ロキシー王女、王国東部へ
ロキシー王女は視察に出発します
強力な護衛達と共に
それでもスミス王は心配なのです
100話 はじまります
今日はロキシー王女が東部の街に出発する日です
今回は護衛にノルディカ副騎士団長が同行することになりました
前回の視察で王女が魔獣に襲われたため、どうしても視察に付いていくと言って、断固として引かなかったからです
とはいえスミス王も、今回は最初からノルディカさんにお願いするつもりだったので、止める気もありませんでした
どうせならタイヨー君やドラゴン御一行様達にも護衛についてもらいたいくらいでしたが、さすがに王城関係者ではないのでそこは自粛しました
「くれぐれも無理だけはしないようにな。」
スミス王は心配性です
「何度も聞いております。では行ってきます。」
王女はアッサリと出発していきました
心配顔でいつまでも馬車を見送るスミス王
そんなスミス王を宰相は
「ささ、国王には国王の仕事がありますよ。」
と言って城内に引きずって連れていきました
今回は30名の騎士団にノルディカ副騎士団長という護衛としては過剰戦力での進行です
当然旅の道中は平穏そのものでした
あまりの物々しさに皆が避けています
「さすがにこれは大袈裟ではないでしょうか。」
王女はノルディカさんに言いました
するとノルディカさんは
「いや、前回の魔獣の襲撃以来の視察です。念には念を入れなくてはいけません。」
と当たり前のように言いました
途中で町や村に滞在しましたが、何度か軍隊が攻めてきたと勘違いされてしまいました
そうして数日の後、王女の軍隊は東部の領主が滞在している街に到着しました
ここでもあまりの物々しさに民衆に驚かれていましたが……
とはいえ無事に東部の街に到着です
ここからは王女もお仕事です
まずは領主様の家に伺いました
今回の視察の予定を打ち合わせるためです
領主館は豪華な調度品で飾られていました
私としてはちょっと派手で落ち着きません
しかし随分と懐事情が良いと分かります
日中は街の中を視察しました
領主館を中心に周辺の街並みはとても賑やかです
お店の品揃えは東の国のチロリア王国からの輸入品もあるのか、初めて見る品や食品が陳列されていました
道行く人々も華やかな衣装に身を包み、この街がとても裕福なことを印象づけました
「街の皆さん、とても裕福そうですね。。」
私がそう言うと案内人の方が自慢げに話しました
「ありがとうございます。この街は東の国との窓口となっていまして、バートン王国の特産品がこの街に集まり隣国のチロリア王国の特産品と取引をしております。数多くの品がこの街を流通することによって、ここは商業都市として潤っています。」
なるほど……私は納得しました
しかし中心地から少し離れると途端に街並みは淋しくなりました
私は気になったので話を聞こうとしたところで案内人の方が
「街の視察はここまでとなっています。では領主館に戻りましょう。」
と言って馬車の御者に指示を出しました
私がもう少し街を見たいことを言おうとしたところでノルディカさんに止められました
「王女、街の視察はここまでのようですので。」
そう言うノルディカさんの表情には、今は我慢してください……と言う考えが読めて取れました
なので私もここは素直に引き下げることにしました
「わかりました。とても素晴らしい街ですね。案内をありがとうございました。」
と伝えると案内人の方は
「いえいえ、どういたしまして。」
と満足そうに笑うのでした
私とノルディカさんは領主館に用意された客室で話していました
私は気になった事をノルディカさんに尋ねます
「先程私は街の中心部から離れたところも見たいと思ったのですが、なぜお止めになったのですか?」
するとノルディカさんは思案するように答えました
「どうもこの街はきな臭いのです。あくまでも私の直感ですが。」
「何か気になることでもありましたか?私は中心地から離れたら急に街の雰囲気が変わったことに不自然さを感じました。」
私が話すとノルディカさんにも思い当たることがあるようで話始めました
「そうですね。中心地とその周りの格差がずいぶんとあるようです。それとこの屋敷の調度品等……街が潤っていると言ってもやや度が過ぎている気がするのです。そして事前に調査しましたが、どうも領主には裏の顔の噂があるようなのです。」
事前に調査していた事に私は驚きました
それについて聞くと
「それは王女が伺うのですからね。事前にある程度調べておくのは当然です。なので表向きは対魔獣の多めの護衛としていますが、この街を調べるための調査隊も紛れ込ませています。今、斥候に外側の街を調べに向かわせました。後程報告に来るでしょう。」
さすがはノルディカさんです
本人が強いだけではなく指揮もしっかりしてます
では街の様子は報告を待ちましょう
夜になり、私達を歓迎するパーティーが行われました
この日は到着した当日と言うこともあって関係者の紹介と会食で終わりました
明日からは夜会です
とても気が重いです
夕食後に部屋に戻ると、街を調査してきた斥候が戻ってきておりました
早速調査の内容をノルディカさんと一緒に聞きます
「ご苦労だったな。早速だが街の様子はどうだった?」
すると斥候は答えました
「はい。視察に訪れた街の中心部は富裕層の居住地のようで外側に行くに従って平民層、貧民層と広がっているようです。多かれ少なかれどこの街もその傾向はあるのですが、気になった事を聞きまして。」
「それは何だ?」
「どうも貧民層の居住区で子供の行方不明者が少なからず出ているようなのです。」
お読みいただきありがとうございました
こちらとは別にロキシー王女の想いを描いた短編「ロキシー王女の日記」を投稿しました
良かったらそちらもよろしくお願いします




