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96 あの方のことを、すっかり忘れていました

拠点に向かって馬車を走らせる神さま一行

王城での戦いの話で盛り上がっています

その前方に突如現れる黒い炎


96話 はじまります

王都を出発した神さま達は、拠点に向かって馬車を走らせました


「しかし紅炎とノルディカさんの模擬戦は凄かったね。動きが速すぎて全然見えなかったよ。」


神さまがそう言うとジロさんも続けます


「もはや人の動きではなかったよ。いや、人と括っていいのかすら分からないけど。」


それに対し紅炎は


「それでもタイヨー様には遠く及びませんよ。」


と笑いながら言いました

神さまは少し考えてから言いました


「確かに力とかスピードとかでは負けないかもしれないけど、僕は細かいコントロールが出来ないからね。全力で移動しようと思えば光の速さだし、全力で地面を叩いたらせっかくの青い惑星が砕けちゃうかもしれないし……。」


紅炎とジロさんは冷や汗が止まりません

神さまは続けて話します


「でも、たとえ攻撃されたとしても僕に怪我を負わすことは無理だろうし、攻撃する時は魔法みたいに自然現象を起こせばいいからとりあえず問題はないんだけどね。」


紅炎が慌てて言います


「わかりました。わかりましたからタイヨー様のお力は大災害天変地異の時に発揮していただき、できるだけ戦闘は避けてください。戦いは私達使徒が請け負いますから。」


ジロさんはそれも大災害なのでは……と、怪獣大戦争の様子を思い浮かべて身震いしました


そんな事を話しながら馬車を進めていると、突然前方に不穏な気配が漂いました

そして何もないところから黒い炎が発生しました


ジロさんは異常な状況に目を見張ります

神さまは興味津々といった具合に見つめています

紅炎は何かを思い出したかのような表情をしています


三者三様のなか、黒い炎は人の形に変化し、やがて黒い鎧姿に変わりました

そしてそれは叫びました


「獄炎竜さま!あんまりです!気がついたらマグマの湖畔でひとりぼっちですよ。ずいぶんとアチコチと探しましたよ。どれもこれもその人間の小僧のせいですね。許さん!炎の……」


『絶対零度』


黒い鎧男はイフリート様でした

今はカチコチの氷像ですが……


神さまは紅炎に聞きました


「……イフリート様だけど……どうしましょう。」


紅炎は諦め顔で言いました


「このまま放置したら暴れだしかねません。仕方がないので連れていきましょう。」


神さまも諦め顔でジロさんに頼みました


「拠点に帰りましょうか。」


「そうですね。『拠点に帰りたい』」


ジロさんは顔を引きつかせながら呟きました




馬車は神さまの拠点に瞬間移動しました

すると離れたところで剣の撃ち合う音や魔法を打ち合う光が見えます

子供達は今日も楽しそうに暴れてます


するとこちらに気が付いたライアとディーネが微笑みながら近づいて来ました

しかしその微笑みはだんだんと失せていき、目を三角にした怒り顔のオニの形相へと変わっていきました


紅炎はゲイルとユキのところに行き、やぁ久しぶり……などと再会を喜んでいます

ジロさんはいつの間にか馬車を片付けに行ってしまいました


神さまはイフリート様の氷像を横にオロオロするしかありませんでした

神さまの前に来た2人のオニが話してきました


「タイヨー様。ご説明を。」


神さまはブルブル震えながら説明しました


南部地方に行ったら何者かに呼ばれたので火山に向かったところ、サラマンダーに襲われたこと

サラマンダーを倒すと、神さまを呼び、サラマンダーをけしかけたと思われるイフリート様がその場に現れて襲いかかってきたこと

イフリート様を倒したら地面が崩れ地下空間に落ち、マグマの湖で獄炎竜さまと戦ったこと

倒した後で獄炎竜さまは使徒となり仲間になってくれたこと

そして拠点に戻る時に再度イフリート様に襲われたこと


「と言うことは、そこのイフリートが全て悪い……と言うことですね。」


オニのライアとディーネが神さまに聞きます


「……はい。そうです。」


神さまはイフリート様にすべて押し付けました




イフリートは人間の子供にまったく歯が立たず、瞬時に凍らされてしまいました


凍らされた身体が溶けてゆき、頭が覚醒すると目の前にはドライアドとウンディーネが仁王立ちしていました


「ここは……どこだ?お前達はドライアドとウンディーネ!確か俺は小僧と戦っていたはずでは……」


よく見ると、人間の子供はドライアドの後ろで小さくなっています


「小僧!そこにいたか!どけ!ドライアド!」


イフリートはドライアドに火魔法を放ちました

しかしドライアドは無傷です


「進化した私に貴方の魔法は効きません。」


すると、となりのウンディーネから殺気が漏れてきました

そして一気に冷える空気


「また凍らないと分からないようですね。」


ウンディーネが冷たい目でそう言いました


「待って!待って!お願いだから!もう凍るのは嫌なんだ!」


土下座して謝るイフリート


「私達はそこで小さくなっている少年の配下です。攻撃するならば私達が許しませんよ。」


イフリートは驚いて少年を見ました

少年は怯えているようです


「……配下?その少年はお前達に怯えているようだが?」


イフリートは疑問に思いました


「だまらっしゃい!!凍らせますよ!」


「ひぃ!ごめんなさい!」


イフリート再び土下座です

何故か少年も土下座をしてます


「少年よ。ひょっとしたらお前と俺は敵ではなく仲間だったらしい。」


「イフリート様。分かってもらえて良かったです。」


ヒソヒソ話す2人

2人は仲間になりました



読んでいただきありがとうございました


こちらとは別にロキシー王女の想いを描いた短編「ロキシー王女の日記」を投稿しました


良かったらそちらもよろしくお願いします

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