95 ノルディカ副騎士団長と紅炎
南部地方での行商を終え王都に戻る一行
王都に着くといつものようにノルディカさん登場
お土産は喜んでもらえるかな
95話 「王国南部編最終話」はじまります
すでに南部の街を出発してしまいましたが帰るまでが遠足です
神さまとジロさん、そして新たな仲間で護衛役の紅炎は南部の街と別れ、王都に向かい馬車を走らせました
ドワーフの街では包丁や鍋など調理道具を仕入れました
ドワーフの調理道具は料理人には至高の一品だそうです
帰り道はそれこそ平和なものでした
神さまとドラゴンの気配は強烈らしく周囲に生き物の気配が全くありません
神さまだけでなくドラゴンまで加わると、それは人間にもわかるようで、盗賊等も出てくる気配がありません
トラブルが無いことは良いことなのですがね
数日間の安全な旅ののち、馬車は王都に着きました
そして神さまに気が付いた門兵さんのひとりは王城に走っていきました
いつものように門兵さんと雑談をしていると、いつものようにノルディカさんがやってきました
今回はロキシー王女も一緒に来ています
照れながらもとても嬉しそうです
本当に可愛い王女さまです
「タイヨー君、おかえり。南部の街はどうだったかな?」
そこまで言ってノルディカさんは固まりました
その目線の先には紅炎がいます
「門兵さん!いつもの部屋を貸してください!」
神さまは口早に言うと、急いで皆さんで移動しました
「王女さま。すっかり元気になられて良かったです。」
「ええ。こうして元気でいられるのもタイヨー様のお陰です。」
「王女さま。」
「タイヨー様。」
「おほん。そろそろ良いかな?タイヨー君。」
ちっ!ノルディカさんの邪魔が入りました
「どうしましたか?ノルディカさん。」
「どうしたかではなくてな……まぁよい。新しい顔ぶれを紹介していただけないだろうか。」
「……彼は南部で知り合い、護衛をしてもらった紅炎です。」
「はじめまして。紅炎と申します。」
「こちらこそ。私はノルディカ副騎士団長です。で、横におられるのはバートン王国第2王女ロキシー様です。」
「王女閣下、お初にお目にかかります。紅炎です。」
「あ、あの、はじめまして。ロキシーです。」
紅炎のカッコよさに王女さまもタジタジです
「で、タイヨー君。紅炎殿は何者かな?まさかのただの人間とは言わせないぞ。」
ノルディカさんの眼光がいつにも増して鋭いです
「……獄炎竜さまです。」
「……なるほど。これでタイヨー君は王国の北部の海、西部の森、南部の火山を制覇したわけだが王国を占領するつもりかね。」
ノルディカさんが意地悪な笑顔で言います
「そんな事するわけないじゃないですか!僕は観察したいんです!」
神さま喚きます
「でも……」
「でも?」
ノルディカさんは聞きます
「この国には僕が守りたいものが増えてしまいました。王都も海も森も火山も守りたいものになってしまいました。守る為に守護する者たちを手助けする事はあります。」
そう言って神さまは話題を切り替えます
「この話はここまでです。そんな事より今回は、ピンチの時に助けてもらったり、いつもお世話になっているノルディカさんに、僕とジロさんからプレゼントを持ってきました。気に入ってもらえると良いんですけど。」
そう言って神さまは箱を出しました
「これは?」
ノルディカさんが聞きます
「これはドワーフの村で偶然手に入れたレイピアです。」
箱を開けると、そこには白く輝くレイピアがありました
「こ、これは……とんでもない代物だぞ。」
「じつはドワーフのお店を助けた縁で安く譲っていただいたものです。強力な魔剣で威力も凄いけど使用者への負担も大きく店頭には出せない代物でしたが、ノルディカ副騎士団長様なら使いこなせるだろうと言うことでした。」
神さまが説明しました
「ちなみに素材は、はるか昔に私と勝負を引き分けた剣士に譲った私の牙だ。」
紅炎の説明にノルディカさんが固まった……と思ったら笑い出しました
「獄炎竜さまの牙で作られた魔剣レイピアだと!?絶対に使いこなしてみせる!タイヨー君、この恩は忘れないぞ!あぁ!早速使ってみたい!」
今まで見たことのない光悦の表情をしたノルディカさんに、更に紅炎が追い打ちをかけました
「では早速試してみましょうか。お相手は私がいたしましょう。その剣の持ち主に相応しい御方か見定めましょうぞ。」
ノルディカさんが凄い笑みを浮かべました
「タイヨー君。ありがとう。私は今までこんなにも興奮したことはないぞ!門兵!今から私が模擬戦のために騎士団演習場を貸し切る。その旨伝えてきてくれ!」
「は!」
門兵さんが走っていきました
騎士団演習場に皆で移動してきました
ノルディカ副騎士団長の模擬戦とあって、たくさんの兵士が見に来ています
スミス王もロキシー王女に誘われて観に来ました
スミス王は神さまに確認します
「ノルディカと対峙している、あの男性が獄炎竜さまと言うのは本当かね……。」
「大きな声では言えませんが事実です。今は人の姿に変化しています。あ、そろそろ始まりそうですよ。」
そういった途端、紅炎とノルディカさんの姿が消えました
剣の撃ち合う音と土埃がアチラコチラで舞い上がっているのは確認できるのですが、本人同士は見えません
時々硬直状態になった時のみ姿が見えますがそれも一瞬です
やがて訓練所の真ん中で2人の動きが止まりました
ノルディカさんのレイピアが紅炎の心臓に
紅炎の白い炎の剣がノルディカさんの首に
それぞれの急所に直前で止まった状態でした
やがて2人が構えを解いた時、周囲から大きな喝采が起こりました
「ノルディカ副騎士団長様さすがです!」
「こんな凄い戦いを見たのは初めてです!」
「副騎士団長様と渡り合うあの男は何者だ?!」
スミス王も驚いていました
「ノルディカの動きがいつも以上に冴えていた……いや、もはや人外の動きだぞ。紅炎殿もとても人間とは思えない動き……いや、こちらは本物の人外……ん?ん〜?」
混乱してます
演習場では戦い終えた2人が握手をしています
「紅炎殿。こんなに素晴らしい戦いは生まれて初めてです。ありがとうございました。是非またご教授願います。」
「こちらこそ楽しかったぞ。こんな素晴らしい戦いはいつぶりだろう。是非またお手合わせ願いますぞ。」
はにかむような笑顔でノルディカさんにお礼を言う紅炎
それに対し顔を赤らめるノルディカさん
闘いの中で生まれる何かがあるのでしょうか
神さまは興味深く眺めていました
こちらとは別にロキシー王女の想いを描いた短編「ロキシー王女の日記」を投稿しました
良かったらそちらもよろしくお願いします




