85 平和を望む人たち
神さまにまた新しく仲間が増えました
ライアに怒られるのがちょっと怖い神さまです
王国北部編はここで最終話となります
85話 王国北部編最終話 はじまります
白氷竜のユキ
ウンディーネのディーネ
2人の新たな仲間が増えました
「きっとライアに怒られる……」
神さまは震えながらつぶやきました
するとディーネが事もなさげに言いました
「それなら私達が直接、話に行けばいいのですわ。」
神さまは不思議に思いました
「え?どういうこと?」
これに答えたのはユキでした
「私は神の使途になったことで瞬間移動が使えるようになりました。」
ディーネも続けます
「私は元々水のある所なら何処にでも移動できますわ。なのでタイヨー様が深緑の森に帰られた時に、私達も森にお邪魔して直接説明いたしますわ。それが済んだらまたこちらに戻ってきます。今となっては、たやすいことですわ。」
……どうやら簡単な事なのだそうです
ともかく神さまは港の漁師さんのところに戻りました
「ただいまー」
「おぉ!無事に帰ってきたんだね。ほんと心配したよ。」
漁師さんは、ほっとした表情で言いました
「ご心配おかけしました。」
「ところでセイレーン達とは会えたかい?」
漁師さんはどうなったか気になるようです
「はい。僕が魔法でセイレーンの歌を聞こえないようにしている事がわかると、なんとか話を聞いてくれました。」
もちろんウソです
「セイレーンさんが言うには、海底火山の影響で魚が逃げてしまったようです。ですがセイレーンさんが何とか白氷竜さまにお願いして、魔法か何かで火山の活動を止めたらしく、海の状態は元に戻るとのことでした。」
神さま、ウソが段々と雑になってきています
「そうか!それは良かった!では明日から早速漁に出てみることにするよ。」
漁師さんは神さまの雑なウソを信じてくれました
ホントに申し訳ありません
「はい。僕も魚を仕入れられるのを楽しみにしていますね。」
神さまはジロさんが待つ宿屋に戻りました
「ただいまー」
「お!おかえり、タイヨー君。どうだい?何かわかったかい?」
「ええ、もちろん。無事に解決してきましたよ。」
ジロさんはちょっと怪しみながらも聞きました
「へー。原因は何だったの?どうやって解決したの?」
神さまは説明しました
「セイレーン達に会ったらウンディーネ様が出てきて、さらに白氷竜さまも出てきて、魚が逃げていった原因の海底火山をやっつけたそうです。」
神さまの説明は雑にもほどがあります
「……僕だからって適当なこと言ってるでしょ?」
ジロさんが目を細めて言ってます
神さまは慌てて言いました
「いやいや、大体はこんな感じでしたよ、大体は。そんな終わった事よりも、漁師さんは明日から漁に出てみるって言ってたから、僕たちも明日は魚を仕入れて森の近くの村に行ってみましょうよ。」
ジロさんは、ジトーっと神さまを見ましたが、やがて諦めたようにため息をつき言いました
「そうだね。私たちの本分は行商人だからね。明日は朝からしっかり仕事をしよう。」
そうして夜は更けていきました
翌朝、市場に行くと活気のある風景が見て取れました
その中にはお世話になった漁師さんもいました
「あ、ジロさんにタイヨー君、おはよう。いやはやタイヨー君には助かったよ。漁に出たら大漁とまでは言わないけど、確実に魚が戻ってきているよ。それなりに捕れたからね。是非仕入れていってね。」
そう言って漁師さんは自らが捕った魚を見せてくれました
そこにはいろいろな魚がいました
「すごくいっぱい魚がいる!」
神さまは興奮気味です
ジロさんは笑いながら魚を買い取ります
神さまは冷却容器に一匹一匹冷凍させつつ、それらを入れました
「では森の村に向かって出発!」
森の村に着きました
さっそく村長さんのところに行って明日の商売の許可をもらいに行きました
「こんにちはー」
「お!ジロさんにタイヨー君。こんにちは。荷物もあるようだし明日はお店を開くのかな?」
その時に神さまは自信満々に答えました
「はい。お約束通り今回は魚を多く仕入れてきましたよ。」
村長さんは驚いて喜びました
「それは嬉しいね。明日が楽しみだよ。」
翌日、朝からお店を開店しました
「いらっしゃい!いらっしゃい!魚を仕入れてきたよ。早く来ないと無くなっちゃうよー」
神さま元気です
「魚だって?」
「それは嬉しいね。」
「売り切れる前に買い尽くせ!」
村の皆さんお待ちかねだったようです
お店の周りには人が溢れました
皆笑顔です
神さまも笑顔です
イエティさんが見えました
「イエティさん!魚を持ってきたよ!」
イエティさんも笑顔です
この前よりも多くの魚を持っていましたが早くも売り切れてしまいました
しかし今回は欲しかった人に充分行き渡ったようです
イエティさんは神さまの近くに行きました
「精霊様のお弟子さま。どうやら問題を解決していただけたのだな。」
イエティさんの問い掛けに神さまは笑顔で答えました
「はい。もう大丈夫です。」
「ありがとう。人族同士の争いを回避してくれたこの恩は決して忘れない。」
そう言ってイエティさんは深々と頭を下げました
「頭を上げてください。僕も貴方と同じ気持ちでしたから。」
神さまが笑顔でそう言うと、イエティさんも笑顔で頷いてくれました
神さまと同じく平和を望む人族が、イエティにもセイレーンにも人間にもいた事に、神さまはとても嬉しくなりました




