83 何とかしてみよう
白氷竜は魚の取れなくなった原因を知っていました
それは海底火山による環境の変化だと言います
神さまはこの状態をどうするのでしょうか
83話 王国北部編6話目 はじまります
「海底火山の影響ではないかと推測しています。」
白氷竜さまはそう言いました
神さまはどのようなものか見てみたいと思いました
「僕は海底火山というものを見たことがありません。是非近くに連れて行ってもらえませんか?」
神さまがお願いすると白氷竜さまは答えました
「普通、人間が近づけば有毒ガスや熱泉など命に関わる危険がありますが……おそらくタイヨー様なら大丈夫でしょう。わかりました。状況を是非見てください。」
神さまは白氷竜さまに掴まり、海底火山の場所まで連れて行ってもらいました
そこには小高い山が海底にあり、その頂から黒い噴煙のようなガスがブクブクと大量に吐き出されていました
ガスの噴き出している場所にはドロドロしたマグマが見えます
神さまはその光景を興味深げに見ていました
「すごい光景です。」
白氷竜さまがその噴火口を見ながら言います
「あの吹き出ているガスと熱に魚が耐えられず、この場所から逃げ出してしまいました。」
なるほど……と神さまは頷き白氷竜さまに聞きました
「じゃあこれをどうするかですが、2つ対応策があります。」
「2つ……と言いますと?」
「1つ目はこの海底火山を噴火させて島にしてしまうのです。そうすれば島はともかく海の中は落ち着くのではないかなぁ……と。」
白氷竜さまは驚きつつも答えました
「さすがにそれは人間の暮らしにも影響が出てしまうのではないでしょうか。海底の地形も大きく変わってしまいますし。」
「それじゃあ2つ目の案で。海底火山の活動を止めてしまいましょう。」
神さまは簡単に言います
白氷竜さまは
「はぁ……?」
と気の抜けた返事をしましたが、神さまは気にすることなく、なんと火口の中に潜っていってしまいました
神さまはマグマの中を下へ下へと潜っていきます
本体が太陽の神さまにとって惑星のマグマぐらいでは何も問題なく行動できます
きっと白氷竜さまは心配しているでしょうが……
やがて神さまはマグマの本流にたどり着きました
「この噴き出している穴を埋めてしまえば大丈夫なはず。『地形操作』」
その瞬間、地震が起きました
マグマの噴き出している穴を埋めながら、神さまは上に上がっていきます
途中からはマグマも冷え始めてきたようなので、神さまはそのまま上へ上へと上がっていきます
白氷竜には何が起こったのか分かりませんでした
タイヨー様はマグマが吹き出る火口へと飛び込んでいったのです
何も出来ず見ていることしかできませんでした
しばらくすると地震が起きました
陸からはかなり離れた場所なので、大きな被害は無いとは思うのですが……
地震が収まりしばらくした後、タイヨー様がヒョッコリとマグマの中から顔を出しました
そして何食わぬ顔で火口から這い出てくると言いました
「これで大丈夫じゃないかなー」
「大丈夫……とかではないです!!タイヨー様こそ大丈夫なのですか!?」
白氷竜は心配と驚きが混ざって、上ずった声で叫びました
「いきなり無茶なことをしないでください……」
涙目になってしまいました
それを見てタイヨー様は
「ごめんね。」
と笑顔で返してきました
神さまは、白氷竜さまを宥めながら火口を見ました
海水で冷えたのもあって、既にマグマは石になって固まりつつあります
「これで海の状態が元通りになるといいね。」
白氷竜さまに神さまは言いました
そして神さまは続けます
「今見たことは誰にも言わないでね。僕はタイヨー。人間の子供。ドライアドの弟子で今は行商人の見習い。これが僕です。」
白氷竜は神さまに聞きました
「貴方の目的は何ですか?この世界の理すらも変えてしまうその力で貴方は何をするのですか?」
真剣な白氷竜さまに、神さまは笑顔で答えました
「僕はこの世界を観察に来ているんです。その中で困った事を聞いたら少し手助けをしているだけ。そして出来ることなら今のこの世界が平和に長続きすることを祈っているんです。」
「……今のこの世界……とは?」
白氷竜さまの質問に、神さまは少し思考し答えます
「うん、僕がこの青い惑星を造ってから2度世界は滅んだんだよ。僕は変化を加えようと3度目のこの世界にだけ魔力を与えたんだ。そして見守ることにしたんだよ。3度目の世界は以前と違い平和に皆が生きていると思う。だからこの平和が永く続いてほしいんだ。」
神さまの話は白氷竜さまにとって驚きの話でした
3度目の世界?
世界を作った?
世界を作ることができるなら壊すこともできる……
「創造主さま……私は貴方にこの命を捧げ従います。」
神さまは笑いながら言いました
「大袈裟ですよ。でも仲良くしてもらえると僕も嬉しいな。貴方には名前はあるのですか?」
「いえ、白氷竜と呼ばれているのみです。」
「では白く美しい姿をした貴方のことをユキと呼んで良いですか?」
神さまがそう言うと白氷竜さまの身体が金色に輝きました
「私の名はユキ。あぁ……解ります。感じます。私はタイヨー様の忠実なる配下。神の使徒ユキ。どうかこれからよろしくお願いいたします。」
ユキは透き通るような白い肌の女性になりました
「配下ではなく仲間です。これからもこの北の海を守ってくださいね。」
仲間と言う神さまの言葉にユキは迷いましたが、やがて微笑み言いました
「わかりました。タイヨー様。よろしくお願いしますね。」




