82 神さまと白氷竜
セイレーン、ウンディーネに続き白氷竜の登場
神さまは穏便に問題を解決したかったのですが上手くいきません
また戦いになってしまうのでしょうか
82話 王国北部編5話目 はじまります
「白氷竜さまですね。」
神さまは呟きました
「いかにも。私は白氷竜と呼ばれています。」
海上に出ているのは10メートルはあろうかという首
その姿は神々しく美しくもありました
白氷竜さまが問いかけます
「してお前は何者ですか?ドライアドの弟子という事ですが、それだけではないでしょう。お前には……そう……同族のニオイ……と言うか気配が漂っているのです。」
神さまは答えます
「はい。深緑の森では深緑竜さまにも良くしただいております。」
「なるほど……。森の管理者に加え森の支配者にも守護されていると……。」
しかし白氷竜さまは首を傾げます
「……本当にそうなのですか?私にはどうも違うように感じます。まるで逆……そう……お前が深緑竜とドライアドを守護してるように感じるのですが……。」
神さまは答えます
「そんな訳ありません。僕はただの人間の子供ですよ。」
「あえてしらを切るつもりですか……まぁいいでしょう。それなら試してみるだけです。」
そう言うが早いか、神さまはいつの間にか出てきた白氷竜さまの尻尾に身体を巻き付かれていました
そして神さまは、そのまま海中へと引きずり込まれてしまいました
「やれやれ……またずぶ濡れです。」
白氷竜さまは神さまを連れたまま海を潜っていきます
向こうでセイレーン達が見ています
神さまはニコニコしながら手を振りました
セイレーン達が驚いた顔をしています
普通の人間なら溺れてしまうでしょう
でも神さまは呼吸をしません
それよりも初めて見る海中に興味津々です
色とりどりの魚がいますが……どうでしょうか?
多いのか少ないのかは神さまにはよく分かりません
魚が捕れなくなったというのだから減っているのは間違いないでしょう
何が原因なのか?
神さまは思考しました
しばらく考えていると白氷竜さまが潜るのを止めたようです
そこはどうやら海の底らしく太陽の光もあまり届いていません
神さまは白氷竜さまに話しました
「海の中はとても素晴らしい世界でした。泳ぐ魚たち、海中に差し込む光、どれも煌めいていていました。そして深くなると差し込む光も弱くなり、まるで夜のよう。そして明るい海とは違う魚たち。素晴らしいです!」
白氷竜さまは驚き神さまを見つめます
そんな白氷竜さまに神さまは言いました
「ところで目的地に着きましたか?」
白氷竜さまは恐れていました
このニコニコして喜ぶ少年に
この深海で景色を楽しむ人間の姿をした……何かに
「タイヨーよ。普通の人間ならとっくに死んでいるはずです。呼吸も出来ないし水圧もかなりのものになります。やはりお前は人間ではないのですね。何者ですか?」
白氷竜さまは全力で警戒しながら聞きました
「見ての通りただの人間の子供ですよ。」
神さまがそう答えました
「……そうか……『竜渦』」
白氷竜さまはそう呟くと海の中に3本の大きく長い渦ができ、それが竜の形になると大きな口を開けて神さまに襲いかかりました
3体の渦の竜
神さまは竜に飲み込まれ渦に巻き込まれる……はずでした
しかし神さまは変わらずニコニコしています
あれだけの渦が命中しながら一歩も動かず
いつの間にか渦の竜は消滅してました
「この程度ではダメですか……なら凍りつきなさい!『氷の息』!」
白氷竜最大の攻撃
氷のドラゴンブレスです
ドラゴンブレスは海を凍らせながら神さまに命中しました
凍る神さま……しかし次の瞬間には氷は溶け始め、すぐに元のニコニコした少年に戻りました
「凄い攻撃でした!渦の竜もかっこよかったです!では僕もお礼に……『絶対零度』」
神さまが呟くと、攻撃が全く効かず驚愕している白氷竜さまの尻尾からみるみる凍り始めました
白氷竜さまがいくら暴れても体は凍り付いていきます
やがて全てが凍りつき、白氷竜さまの氷像になりました
身体の芯まで徐々に凍り付いていく白氷竜さまは、死を覚悟しました
「私は無謀な戦いを挑んだのですね……せめてセイレーン達は生き延びてくれると良いのですが……ウンディーネ……ごめんなさい……貴方を残し、死に往く私を許してください……」
すると神さまが言いました
「いやいや、死なせなんかしませんから。『解凍』『救いの雨』」
神さまがそう言うと、海の上から金色の光が雨のように白氷竜に降り注ぎました
凍り付いた身体は溶けてゆき、金色の雨は暖かく、そして身体を回復されました
驚く白氷竜さま
そして神さまに向けていた畏怖の感情は崇拝に変わりました
「すべてわかりました。タイヨー様……貴方様は神だったのですね。それ以外の何物でもありません。海に住む我々の非礼、どうかこの白氷竜の命をもって償わせてください。さすれば私も本望です。」
神さまは答えます
「貴方の命を奪うつもりはありませんよ。貴方がいなくなったら、この北の海を守護する者がいなくなってしまいます。私はただ話がしたかっただけですよ。」
神さまは続けます
「魚が捕れなくなった。それによりセイレーン族と人間の漁師が争いになっていると聞きました。教えてくれたイエティ族も心配していました。僕は魚が減った理由を知りたいのです。白氷竜さま、何か知らないでしょうか。」
白氷竜さまは自分の崇拝する存在になった神さまに救われました
海の民も救われました
白氷竜は知っている事を話します
「お答えします。おそらく海底火山の影響ではないかと推測しています。」




