79 村て聞く不穏な話
北部の村に向かった神さまとジロさん
村で聞く不穏な話
イエティは何を語るのか
79話 王都北部編2話目 はじまります
翌朝、神さまとジロさんは、北部地方の森の近くの村に向かって馬車を走らせています
馬車の中には王都で仕入れた小麦やジャガイモなどの作物、それと出発前に魚を買って、神さまの氷魔法で凍らせ冷却容器に入れて積んでいます
せっかく村まで行くのなら売り物も持っていかなくてはいけません
行商人なのですから
森に向かって進むと夕方前には村に到着しました
まずは村長さんのところに行商に来たことを伝えに行きました
ジロさんが挨拶します
「村長さん、お久しぶりです。」
村長さんもジロさんと気が付きました
「おお、久しぶりだね、ジロさん。今日はご家族は一緒じゃないんだね。」
「はい。じつは今、弟子を取りまして2人で各地を旅しながら行商しているんですよ。彼がその弟子のタイヨー君です。」
紹介された神さまは自己紹介します
「はじめまして、タイヨーと言います。まだ始めたばかりなのでわからない事だらけですが、どうぞよろしくお願いします。」
村長さんは笑顔で答えます
「これはこれは、こちらこそよろしくね、タイヨー君。何もない村だがゆっくりしていってくれ。」
「はい!ありがとうございます。」
ジロさんが話します
「彼は人間にしては珍しく深緑の森で育った子でね、めっぽう強いんだけど森以外のことをほとんど知らなくてね。私の護衛をしてもらいながら旅をして見聞を広げているところなんですよ。」
村長さんは少し驚いて言いました
「ほう、それは凄いね。いいお弟子さんを持ったね。」
「いいお弟子さんかぁ……あははは……」
ジロさん乾いた笑いです
「ジロさん、ひどい!」
村長さんは笑いながら言います
「ジロさん、商売はしていくんだろ?魚は持ってきてるかい?」
「はい。持ってきてますよ。今回は驚くと思いますよ。タイヨー君は氷魔法の使い手でね、魚を凍らして冷却容器に入れてきたから新鮮ですよ〜」
ジロさん、自慢気です
これには村長さんも驚きました
「氷魔法とは凄いね。新鮮な魚は嬉しいねぇ。最近魚の流通量が減っちゃってね。」
「何かあったんでしょうか?」
神さまはちょっと気になって聞きました
「詳細はわからないけど漁獲量が減ってるようでね。なかなか村の方まで魚が回ってこなくなったんだよ。ジロさん持ってきて嬉しいよ。」
村長さんは喜んでいますが、魚が捕れなくなったのには何か原因があるのでしょうか
神さまは少し考えましたが、まったく理由に見当がつかないので早々に諦めました
「じゃあ、明日の朝から広場をお借りして店を開くのでよろしくお願いします。」
ジロさんはそう言って村長さんと別れました
神さまはジロさんに尋ねます
「魚が捕れなくなったのは何故でしょう?」
「うーん。街では特に気にしなかったからね。ちょっと分からないなぁ。」
2人で話しながら宿をとり休みました
翌朝は朝からお店を広げました
作物も売れましたが特に魚は早々に完売してしまいました
皆さん魚が久しぶりに売りに出ていたからと言うのもあるのですが、それ以上に凍った魚と言うのが珍しかったようです
「あー!もう魚は売り切れちゃったのかい?」
こんな言葉が幾度か聞こえてきました
「ごめんねー。こんなに魚が売れると思っていなかったからね。もっと仕入れておけばよかったね。」
神さまはすまなそうに言いました
すると別の方から声がしました
「なんだ。魚は売り切れたのか。残念。」
見ると全身が薄い茶色がかった白い毛に覆われた大柄な男性でした
ジロさんが小声で教えてくれました
「彼はイエティ族だね。」
神さまはイエティ族の男性に言いました
「ごめんね。魚が不足している事を昨日初めて聞いたんで。こんな事ならもっとたくさん用意しておけばよかったよ。」
イエティ族の男性は
「そうか……残念。」
と言って神さまを見て固まりました
「お前は……何者だ?ただの人間では無いようだが。」
どうやら森の住人には神さまが普通では無いことがわかるようです
なので神さまは少し正体を話しました
「あ、わかりますか?僕は深緑の森で育って今は精霊様の弟子なんですよ。時々こうやってジロさんに付いてきて、森以外のことを勉強しているんです。」
イエティ族の男性は、そうか……と呟くと
「精霊様のお弟子さま。少し話を聞いてもらえないか。」
と言いました
神さまは気になったのでジロさんに了解をもらいイエティさんの話を聞くことにしました
「精霊様のお弟子さま。貴方の噂は深緑の森のエルフから聞いている。精霊様が少年を弟子にしたと言う話を。そしてこうして貴方を見てわかった。ただの人間ではない事を。そこで聞いてもらいたい話がある。じつは今漁獲量が減っているのには理由がある。」
神さまはエルフから話を聞いたというのにも驚きましたが、イエティさんが漁獲量の原因を知っている事に尚更驚きました
「何か理由があるのですね。」
「そうだ。それはセイレーンと人間の漁師との間でトラブルが起きているからだ。」




