78 神さま、北部の街に着く
神さまは北部の街に着きました
ジロさんから教えてもらうこの地方の話
神さまにはどれも興味深い話です
さて、ここから「王国北部編」です
78話 はじまります
翌朝、神さまとジロさんは北部に向かって王都を出発しました
拠点には戻らずにそのまま北部を目指すので、王女の指輪の事はジロさんとの秘密です
王都北部まではかなり遠く、街道沿いの村に立ち寄りながらののんびり旅です
北部への道は森の街道と違い、魔獣が出る頻度はかなり低いようでとても安全でした
そうして進むこと数日、神さまは北部の街に到着しました
ここは海に面した街で港があります
「ジロさん。やっと北部の街に着きましたね。僕は海を間近で見るのは初めてなんですよ。」
神さまは初めて近くで見る海に大興奮です
青い惑星に来る時、地上に向かって降下しながら見た海は遥か上空から見たものでした
あれもとっても美しい景色でしたが、こうして水平線を眺める景色もまた素晴らしいものです
青い空と青い海が接する水平線
空に浮かぶ白い雲
打ち寄せる白い波
「とても美しい!」
思わず神さまは叫んでしまいました
ジロさんは笑いながらも同感だと言ってくれます
「本当にいい景色だよね。森に住んでいるとお目にかかれない光景だからね。」
そう言ってさらに付け加えます
「これが真冬になると景色が一転するんだよ。流氷って言うんだけど海の沖から大きな氷がたくさんやってくるんだよ。これがまた壮観なんだよ。」
神さまは驚きました
「この広い海が凍るの?誰か魔法で凍らせるとか。」
ジロさんは笑いながら言います
「違う違う。自然の力だよ。もっと北のもっと寒いところで凍った氷が流されてくるんだよ。」
神さまは自分が作ったこの世界にある、自分の知らない自然の姿に感動しました
「是非見たいです!」
「じゃあ真冬にまた来ないとね。」
そう言うジロさんが聞いてきます
「さて、北部の街に着いたわけだけど、これからどうしようか?」
神さまは考えます
「イエティさん達と交流のある村を観てみたいですね。冷却容器ってのも見てみたいし。」
するとジロさんが答えます
「冷却容器はこの街で売ってるよ。イエティと交流のある村は森の近くなんだけど、そこで冬の間に作られた冷却容器がこの街で売られるんだよ。」
なるほど……と神さまは思いました
「村で作ったものが、たくさん人が集まるこの街で売られるんですね。」
ジロさんが頷きます
「そういう事だよ。村の人達はこの街に物を売りに来て、帰りに街で必要なものを買って帰る。村人から買ったものをこの街で旅人に売ったり、私達みたいな行商人と取引したりするんだよ。」
そこまで話してジロさんが提案します
「じゃあ今日はこの街を散策して宿に泊まり、明日の朝、森の近くの村に行ってみようか。」
「わかりました。そうしましょう。」
神さまも同意しました
まずは宿を探します
海に面した街と言うこともあって観光客も多く、宿屋は小さなものから大きなものまでいろいろあります
とはいえ行商人のジロさん
この街にも何度も来ています
ジロさん馴染みの定宿であっさり決まりました
なんでも海産物を使った料理が美味しい宿だそうです
食事を覚えた神さまは初めて食べる海の幸が楽しみです
宿も決まったところで、さっそく商店街に行くことにしました
なんと言っても神さま達は行商人なんですから
「じゃあさっそくお目当ての冷却容器を見に行こうか。」
そう言ってジロさんが歩き出しました
しばらく歩くと商店街に着きました
そして1件の雑貨店に入ります
そのお店で冷却容器を見つけました
冷却容器は様々な大きさがありますが、やはりあまり大きなものはないようです
ジロさんが説明してくれます
「ここは海が近くて漁が盛んでしょ。元々その魚を運ぶ為に作られたのがこの容器の始まりなんだよ。だから容器のサイズも魚に合わせてあるんだよね。」
なるほど神さま納得です
必要だから作る
これは今の世界を作る時に神さまが考えた事です
魔力が無いから科学や技術が発達する
魔力があればいろいろな事を魔法でできるから科学や技術の発達は遅く、以前の世界のように強力な化学兵器であっさりと滅亡……とはならないはずだ
神さまが思考にふけっているとジロさんが
「森の近くの村に行く前に、冷却容器を買って魚を仕入れていこうか?」
と言ったので、そうしよう!と返事をして冷却容器を購入し店を出ました




