74 王国の北部と南部について聞く
子供達は進化……成長著しいです
神さまも負けずに見分を広げなくてはなりません
さっそくジロさんと旅の打ち合わせです
74話 はじまります
今日も子供達はゲイルとライアの後ろを、ししょー!と言いながら追いかけています
ゲイルとライアも純粋な子供達がすくすくと成長していくのが楽しいようです
フリッチさんは畑作りを始めました
定住せず行商人として毎日旅をしていたフリッチさんは畑をやるのが念願だったようです
それもエルフの血がさせることでしょうか
そしてジロさんと神さまは行商の準備です
「さて、どこに向かいましょうか。」
神さまはジロさんに尋ねます
「そうだね。ではまず、この国の地理について少し話そうか。」
ジロさんは話し始めました
「王国の北部は海に面していてね、冬になると流氷が漂着するほどの寒い海だよ。北部の森にはイエティと呼ばれる獣人の村があって、森に近い人間の村と物々交換をして助け合いながら生活しているんだよ。」
神さまは尋ねます
「どのようなものを交換しているんですか?」
ジロさんは思い出しながら話します
「イエティは主に狩りと木の伐採をしているんだよ。狩りでは魔獣の肉はもちろん、寒い地方だから毛皮が重宝されるんだよ。それ以外の魔獣素材も引き取られるようだね。特に木の魔物の素材はこの土地の特産品に使われているから重要な素材だよ。木の伐採は寒い場所だからね、たくさんの薪が生活に必要なんだよ。主にそれらを人間の村に持っていくね。」
同じ森でも深緑の森とは違うようですね
「人間の街はというと、そちらは海に面しているから主に魚の漁がさかんだね。あと海の水から塩を作っているよ。農業は……なにしろ冬が長いからね。作物も作ってはいるけど作れる期間が短くて、多くは行商人から穀類などを買って賄っているようだね。」
「冬の生活はどうしているんですか?」
「北部の冬は長いからね。その長い冬の間に人々は魚を乾燥させた加工品や木の魔物の素材で特産品を作るんだよ。前に話したことがあったかな?特殊な木の魔物の素材で作った容器は、中身を冷却し続けて食品を長持ちさせられるんだよ。これがなかなかの高値で取引されているんだよね。ただ大きな容器は作れないようだね。この冷却容器や塩などの特産品、魚の加工品を行商人に売って、他の地方でとれる穀物や生活用品などを買っているよ。」
冷却容器は興味ありますね
ジロさんは今度は王国の南部について話し始めました
「今度は王国の南部だね。南部は山々に隔たれているって感じかな。火山が多く存在する火山地帯だよ。火山の周辺には鉄鉱石の鉱山が多くあってね、採掘から鉄製品の作成まで鉄に関わることなら最高の技術を誇るドワーフという人族の村があるよ。ドワーフの作る鉄製品は高値で取引されているね。わざわざ現地まで行って特注品の依頼をする人もいるくらいだよ。火山のふもとには人間の村があるんだけど、ここは他と比べて特殊かな。」
「特殊ですか?」
「うん。火山のふもとには温泉という火山の熱で暖められたお湯が出ている場所が多数あってね。そのお湯が出ているところを中心に、温泉風呂を作って観光で栄えている町なんだよ。」
「温泉風呂とはなんですか?」
「まず風呂と言うのは、身体がしっかりつかるだけのお湯を溜めて、そこに裸で浸かる場所だよ。温泉風呂とは火山の熱で暖められたお湯を風呂の中に溜めて浸かる場所だよ。温泉には身体によい成分が溶けてていてね、浸かるとそれはとても気持ちいいんだよ。」
ジロさんは温泉を思い出しているのか、幸せそうな顔をしています
「北部と違ってドワーフの村と温泉の村は、助け合って生活しているって程でもないかな。それぞれに行商人も足を運んでいるし産業も豊かだしね。とは言ってもドワーフの村に行く人が温泉の村で宿泊していくのが普通だから、全く付き合いがないわけではないよ。」
なるほど、北部と南部ではいろいろ違いがありそうです
「東部には街はないんですか?」
話に出なかったので聞いてみました
「う~ん。特別珍しい街はないかなぁ。あ、東部の村にはバートン王国の東側にあるチロリア王国の村と取引しているところもあるようだよ。私はあまり詳しくないけどね。」
ジロさんも詳しくないのなら、いずれは行かないといけませんね
「この北部と南部はぜひ行っておきたい場所だね。ほかにも街はあるんだけど、基本的にはどの街も街道沿いにあるよ。街道は北部の街と王都と南部の街を一直線に結んだ南北の街道と、この森と王都と東部の街を一直線に結んだ東西の街道がメインで、あとは細かい道がいくつも延びているよ。」
説明が終わるとジロさんは聞いてきました
「と言うわけで、北に行ってみる?南に行ってみる?」
神さまもどっちも行きたいけど、どちらから行こうかと悩みます
するとそこにゲイルとライアがやってきました
「北部と南部の話なら、人族の話だけではなく私達からも話をしておいたほうがいいでしょうな。」
ゲイルがそういうとライアも言います
「そうですわね。どちらにもそれぞれに私達と同格の存在がいますから。」
何だか話が怪しい方向に流れてきました




