66 子供の才能は無限大
拠点の住人になったジロさん一家
子供達は楽しそうに何やらやってます
楽しそうですけど……大丈夫でしょうか
66話 はじまります
ライアはどうやら子供好きなようです
そういえばノルディカさんも、幼い頃からライアの事を知っているって言ってたような
子供達もライアが好きなようで一緒に何やらやってます
スコットくんがライアに、みてみてーと言ってます
「丸い水が出るようになったよ。」
伸ばした手のひらの先、その前に水の玉が浮いてます
「あら、やるわね。そうしたら前に飛んでけー!って思いながら『水玉』って言ってごらん。」
ライアがそう言うと、スコットくんは頷いて言いました
「飛んでけー!『水玉』!」
手の先にある水の玉が勢いよく飛んでいき、10メートル先の木に当たって弾けました
「すごーい!」
スコットくんは大喜びです
フラックスちゃんも大きな声で言います
「ライアおねーちゃん!私のも見てー!」
見ると広げた手のひらの中で風が小さく渦巻いているらしく、数枚の葉っぱがクルクル回りながら浮かんでいます
「フラックスちゃんも風魔法が発動するなんて凄いわねぇ。」
そう言ってライアはフラックスちゃんの頭を撫でます
フラックスちゃんはニッコリ
次の行商について話していたジロさんと神さまは、ライアと子供達を見て驚きました
「どういうこと??」
近くで神さま達の話を聞いていたゲイルが説明してくれました
「おそらく魔力の濃い森の中で練習しているからでしょう。子供達の魔法の力が格段に上がっているようです。子供は身体が小さく魔力に馴染みやすいので、体内に魔力をぐんぐん吸収しているのでしょう。そして教える先生はライアですからな。太古から今までの魔法を熟知しております。魔法の習得にこれ以上ない先生ですな。」
ジロさんが遠い目をしながら呟きます
「うちの子たちもタイヨー君のように人外になっていく……。」
するとゲイルが笑いながら言いました
「ははは、それは無いですから心配なされるな。タイヨー様は本物の人外ですからな。では我もお二人に身体強化でも教えましょうかな。」
何やら物騒な事を言いながら子供達の元に向かっていくゲイルを見て、ジロさんは引きつった笑いを浮かべていました
神さまはまぁまぁとジロさんをなだめながら行商の話に戻りました
そうです
神さまはジロさんと2人で行商に行く準備をしていたのです
少し話を戻しますと……
ジロさん達が拠点に住み始め落ち着いてきた頃、神さまはゲイルとライアに相談しました
「辺境の村に引き続き、王都にも無事に行ってきました。そして王様から住民証までいただきました。これで僕も堂々と国中を観察しに行くことが出来るようになりました。さっそく旅に出ようと思うのです。」
そう言うとゲイルとライアの目が冷ややかなものに変わりました
ライアが言います
「まさか王都に行ってタイヨー様は、何事もなく穏便に目立たずに帰ってきたとでも言うおつもりですか?街で暴れたあげく王様に呼び出される羽目になったタイヨー様が……ですか?」
「うぐぐ……」
神さま、まったく反論できません
「とはいえ辺境の村ではジロさんに人間社会の常識を教えてもらい、それが身に付いている事も知っていますわ。他から見ても行商人の師匠と弟子にしかみえなかったことでしょう。ゲイル様、どう思われます?」
ライアはゲイルに意見を求めます
「そうですな。ジロ殿とならタイヨー様が問題行動を起こさない限り、どこに行っても普通の行商人の師匠と弟子にしか見えないでしょうな。」
「問題行動なんて起こしません!」
神さま反論します
「王様に謁見し、いろいろ聞かれたそうですな。これはじゅうぶんに目立ってこられましたよね。」
「うぐぐ……」
やはり反論できません
「でもそうですな。先程も言った通りジロ殿が一緒なら大丈夫でしょう。ジロ殿に相談してみましょう。」
ジロさんを呼んできました
神さまはジロさんにお願いします
「ジロさん、ゲイルとライアがジロさんと一緒なら旅に出ていいって言うんだよ。お願い!僕と行商しながらバートン王国の各地を教えてください!」
ジロさんも、元よりそのつもりだったので快諾してくれました
「ただ子供達も一緒ですと、どうしても歩みが遅くなってしまうんですよね。」
そう言うジロさんにライアが言います
「あら、それは心配無用ですわよ。ご家族にはここで生活していてもらえば良いですわ。この場所より安全なところはこの国にはありませんから。」
するとジロさんは
「しかしそれですと子供達が寂しがるのでは……。」
と言いました
そこに駆けつけたスコットくんとフラックスちゃん
「僕たちなら大丈夫だよ。おかーさんもライアおねーちゃんもいるし。」
「おとーさん、いってらっしゃーい。」
まだ出発すらしないのに、ジロさんの背中はとても寂しそうでした




